ミネラルの種類と効用

  

必須ミネラル16種類

多量ミネラル

カリウム
ナトリウム
カルシウム
マグネシウム
リン

微量ミネラル

亜鉛


マンガン
ヨウ素
セレン
クロム
モリブデン
硫黄
塩素
コバルト

その他のミネラル

ケイ素
フッ素
ニッケル
バナジウム
ゲルマニウム
ホウ素
リチウム
臭素


ミネラルとは

人間のカラダは何でできているのか?
まず思い浮かべるのは人体の60~70%を占めるといわれる「水」ですね。つまり原子レベルでは酸素と水素だということです。次に炭素と窒素。

酸素(62.6%)、水素(9.3%)、炭素(19.5%)、窒素(5.2%)、この4つの元素でカラダの97%が作られています。

残りの3%が、カルシウム、リンその他あらゆる種類のミネラル(無機質)です。

少ないからといって存在意義まで小さいわけではなく、その反対に非常に重要な働きをしていて、なかでも必須ミネラルといわれる16種類のミネラルが無ければヒトのカラダは機能しなくなります。

ミネラルの働き

必須ミネラルは、
【骨や血液などの構成成分になる】
【カラダという構造体を建設する作業員である酵素の仕事になくてはならない存在】
【筋肉や神経が正常に働くためにも不可欠】
【体液の浸透圧調整】
こういう極めて重要な仕事をします。

このどれか一つでも不調になると、ヒトは健康ではいられなくなります。生体内のミネラルバランスが損なわれると死に至る可能性もあります。だからこそ「必須」なのです。

必須であっても、必要な量と摂り過ぎると危険な量(上限)の幅が狭いのがミネラルの特徴で、摂取量には注意が必要です。昔は有害でしかない毒物と思われていた物もありますし、薬と毒は紙一重ということです。

日本では必要量100mg以上の5種を「多量ミネラル」、100mg以下の8種を「微量ミネラル」と分けていて、16種類のうち、塩素、硫黄、コバルトを除く13種類に基準を設けています。

元素ですから壊れることはありませんが、流出しますし、体内での生成など出来ませんので、毎日過不足なく食事から摂取するのがベストです。

そして、ミネラルは年齢とともに体内への吸収率がどんどん悪くなっていきます。若者を100とした場合、中高年は50近くに減るのです。食の量ではなく質を改善することによって、ビタミンやミネルラの多い食事を取ることが望まれます。
ミネラルはカラダを作るものではなく、円滑化させる潤滑油のようなものですから、「高齢になったから要らない」ということにはならず、むしろその逆だと言えましょう。積極的にミネラルバランスを整え、病気を遠ざけるようにしましょう。

Potassium

カリウム

(元素記号: K )

どんな効果がある?
利尿効果※一緒にナトリウム(塩分)を排出
血圧を正常に保ち不整脈などを予防
骨粗しょう症の予防
筋肉のエネルギー供給

1日に必要な量は?
国によって大きく違うが日本は2~3gを推奨。

不足したら?
心臓の異常、筋力低下、腸閉塞、反射機能の低下など。 ※通常の食生活で不足することはないが、多尿症や下痢などが続くと不足する。

摂り過ぎたら?
体内濃度が上がると水分とともに排泄されますので、過剰症はありません。
※ただし腎臓に障害のある人は高カリウム血症の危険がありますので医師の指示に従ってください。

多く含まれている食材は?
こんぶ、わかめ、ひじき、イモ類、ダイズ、ピスタチオ、アーモンド、バナナ、アボカド、チョコレート、粉ミルク、肉や魚、その他あらゆる食品に含まれている。

どんなミネラル?
カリウムは生物界に広く存在し、ヒトにとっても必要欠くべからざる元素です。生体の神経伝達において非常に重要な役割を担っており、筋肉の収縮の円滑化、細胞内外の電位差の維持、エネルギー代謝、細胞膜輸送、ホルモンの内分泌などにも重要。

ナトリウムとともに体液の主要成分であり、カリウムは細胞外で、ナトリウムは細胞内で、それぞれ一定の濃度を保つことで細胞の浸透圧を維持していて、細胞内のナトリウム濃度が上昇すると、水分とともに細胞の外へと追い出し、それを腎臓で再吸収されるのを防いで尿として体外へ排泄させます。

ですので、カリウムが不足すると、結果的に体内のナトリウム量が増えるのです。塩分を多く摂る人や汗を大量にかく人などは不足に注意しなければいけません。

sodium

ナトリウム

(元素記号: Na )

どんな効果がある?
体液の浸透圧を調整、水分量を調節
生命維持になくてはならない重要な物質

1日に必要な量は?
男性: 10g未満
女性: 8g未満

不足したら?
あらゆる食品に含まれていて、現代人は過剰摂取気味とされます。したがって不足はまずありえませんが、もし欠乏状態が続けば死に至ります。

摂り過ぎたら?
摂り過ぎは高血圧を招くとされています。
また胃に負荷をかけて胃がんの要因にも。

多く含まれている食材は?
食塩、しょうゆ、みそ、ソースなどの調味料、魚介や肉の加工品、梅干し、昆布茶、その他ありとあらゆる加工食品。

どんなミネラル?
ナトリウムのほとんどは塩化ナトリウム(NaCl)つまり塩として摂取されます。地球上の大半の生物にとって生命維持になくてはならない重要な物質である反面、過剰にナトリウムを摂取すると、カリウムとのバランスを壊し、浸透圧の調節が狂って細胞の水ぶくれ状態を招きます。 この状態が「むくみ」であり、内部では血管を圧迫して血圧を上昇させてしまうと考えられています。

calcium

カルシウム

(元素記号: Ca )

どんな効果がある?
骨や歯を丈夫にする。
骨粗しょう症を予防。
高血圧や動脈硬化の予防。

1日に必要な量は?
男性:700mg
女性:600mg
※骨粗しょう症予防目的なら800mg程度
上限
2300mg

不足したら?
くる病、骨軟化症・骨粗しょう症、低カルシウム血症、筋肉の痙攣など。

摂り過ぎたら?
腎結石、高カルシウム血症など。

多く含まれている食材は?
牛乳・乳製品、煮干し、ゴマ、豆乳、チンゲンサイなど。

※牛乳で50%、小魚で30%、緑黄色野菜で20%くらいの吸収率ですが、ビタミンDを同時に摂ると損失を抑え吸収を良くすることができます。

どんなミネラル?
カルシウムは体重の2%ほどを占め、その99%が貯蔵カルシウムとして骨や歯の材料になります。残りの1%は機能力ルシウムとして血液中に溶け込んでおり、神経や筋肉の調節、血液凝固、ホルモンの分泌、たんぱく質の代謝などに関与しています。

中高年になると骨の吸収と形成のバランスが偏り、骨量の減少が進みます。したがって高齢者になるほど吸収効率の良いカルシウムを摂取しないといけません。

また、「飽食の日本人にたった一つだけ足りない栄養素」と言われるのがカルシウムです。
骨との関連ばかり言われるカルシウムですが、不足すると高血圧を招くことも知られています。
若者ばかりではなく高齢者にとっても不可欠の栄養素ですので不足しないように配慮しましょう。リンの多い加工食品を減らすと、効果があります。

我が国での推奨量は600~700mgとなっていますが、日本人は欧米人に比べると乳製品の摂取量が極めて少なく、魚や加工食品などに比重があります。牛乳のカルシウムは消化吸収率が50~90%にもなりますけども、魚などは30%程度度であり、こうしたことからもカルシウムは不足しがち。なので目標値を欧米並みの1000mgにしてたおいた方が良いという意見もあります。

小魚などを骨ごと食べても吸収率がよくないのは、骨のコラーゲンが残っているためで、このコラーゲンを破壊するような調理法で食べると、かなり効率的になります。粉砕、高温、高圧、そして酢を使う料理などです。煮干しなら粉にし、小魚なら揚げて酢に漬ける南蛮漬けなどが良い例でしょう。

magnesium

マグネシウム

(元素記号: Mg )

どんな効果がある?
骨の弾性維持
心臓疾患の予防
筋肉痛の緩和
糖尿病の予防
イライラなど興奮を鎮静

1日に必要な量は?
200~370mg
上限
700mg

不足したら?
動脈硬化や血圧上昇を招き、狭心症、心筋梗塞などの心疾患の原因になるといわれます。神経の異常、2型糖尿病発症のリスクも。

摂り過ぎたら?
過剰症はとくにありませんが、動物だとマグネシウムとリンやカルシウムとのバランスが壊れると尿路結石などの原因になるとされています。

多く含まれている食材は?
コンブ、ワカメ、ヒジキ、アサリ、イワシ、ホウレンソウ、ゴマ、カシューナッツ、アーモンド、全粒穀物など

※魚介類、海藻類、種実類に多く含まれいて、典型的な和食を食べていると不足しないミネラルです。

※豆腐の製造に使われる「にがり」にみられるように、濃度の高いマグネシウムはタンパク質を固化する作用があります。

どんなミネラル?
体内にあるマグネシウムの60%は骨に含まれ、カルシウムやリンとともに骨や歯の強化、弾性維持の役割をしています。残りは肝臓、血液、筋肉中にあり、300種類以上の酵素の働きをサポートし、細胞のカリウム濃度調節、エネルギー代謝、細胞核の形態維持などに関与しています。
核酸の合成、糖質・脂質・たんぱく質の代謝、筋肉の収縮を促す、刺激に対する神経の興奮を鎮めるなど、多方面で活躍する重要なミネラル。

加工食品には殆ど含まれず魚介や海藻など主に自然の食材に含まれているため、和食を食べていれば不足しない栄養素ですが、それがゆえに現代人には不足しがちだといいます。今は加工食品がメインになっているからでしょう。また、アルコール多飲でもマグネシウム不足になります。

phosphorus

リン

(元素記号: P )

どんな効果がある?
丈夫な骨や歯を作る
筋肉のパワーをサポート
糖代謝、疲労回復

1日に必要な量は?
1000mg程度
上限
3500mg

不足したら?
通常の食事で不足はしない。

摂り過ぎたら?
骨密度の低下
腎機能低下

多く含まれている食材は?
穀類、肉、魚介、乳製品など幅広い食品に含まれています。

どんなミネラル?
動植物に広く分布する元素で、ヒトの体内にあるミネラルでもカルシウムに次いで2番目に多い。体内にあるリンの80%はカルシウムと結合してリン酸カルシウムとなり、骨や歯の主成分となっていて、残りは脳、神経などに存在しています。
核酸やリン脂質の成分でもあり、細胞膜を構成して細胞の成長と分化に関与。リン脂質は脳の形成にも欠かせません。ビタミンB1やB2と結合して補酵素となり、糖代謝をする。ATP(アデノシン三リン酸)の成分として高エネルギーのリン酸化合物をつくりエネルギーを蓄え筋肉の収縮を助ける。などなど重要な仕事をしています。

便利な元素であるがゆえに、非常に多方面で様々な用途に使われており、食品分野でも添加物として多用されています。 コーラなどの飲料、ハム、チーズ、コーンフレーク、ベーキングパウダー、むしろリンが含まれない食品を探すのが難しいくらいで、インスタント食品、コンビニの弁当などには重複して使われているため、どう考えても今の人は「リン過剰」になっていると言えます。
「カルシウム不足」というのは、実は「リンの食べすぎ」だということでしょう。

自然界(とくに細胞)に不可欠の普遍的なものであるからこそ「バランス」が重要で、そういうものは過剰になると「害をおよぼす」のです。リンは毒物でもあり、公害の主因でもあったのです。
「適量」がいかに大事かということですね。

selenium

セレン(セレニウム)

(元素記号: Se )

どんな効果がある?
老化の予防
ガンの予防

1日に必要な量は?
男性:30~35μg
女性:25μg
上限
男性:450μg
女性:350μg

不足したら?
日常の食事で不足することはない。
不足する環境であればガンのリスクが増加。

摂り過ぎたら?
食事で摂りすぎることはないが、サプリメントなどで800μg以上を摂取すれば中毒することも。
疲労感、脱毛、下痢、嘔吐、呼吸困難、心筋梗塞、腎不全などの危険が。

多く含まれている食材は?
カツオ、ニシン、イワシ、サバ、カレイ、カキ、ホタテガイ、タラコ、レバー(豚・鶏)、赤身肉(牛・豚)、ネギ、玄米など。
※ビタミンEを同時に摂ると抗酸化作用が強まります。

どんなミネラル?
活性酸素撃退の最終兵器とも言える栄養素です。
活性酸素が問題なのは、細胞や血液の脂質を「過酸化脂質」にしてしまう点です。これがガンや老化を招く大きな原因の一つだとされます。

この過酸化脂質を迎え撃つ役割をしているのは「SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)」や「カタラーゼ」などの酵素です。酸素ラジカルが細胞核のDNAまで傷つけてガン化させてしまう可能性を阻止するためにこうした酵素が活躍します。

しかしそれだけで防ぎきれないケースもあり、過酸化脂質そのものを無害化してしまうグルタチオンペルオキシダーゼという酵素がカギになります。このグルタチオンペルオキシダーゼの主成分がセレンなのです。

ミネラルは土壌から植物、動物と吸収されているため、その地域の土壌の質がミネラル成分の多寡を決めます。土壌にセレンをまったく含まない土地では、胃ガンなど様々なガンが多いという事実もあるのです。
ただ、摂取しすぎると毒性が生じて悪い過剰症が出ますので、サプリなどは量に注意が不可欠です。

zinc

亜鉛

(元素記号: Zn )

どんな効果がある?
新陳代謝を促進
骨や皮膚の正常な発育
免疫力を高める

1日に必要な量は?
男性:9mg
女性:7mg
上限
男女とも:30mg

不足したら?
味覚に障害がでて味が分からなくなる
成長障害
免疫機能の低下
貧血、皮膚炎
傷の回復が遅くなる

摂り過ぎたら?
鉄、銅の欠乏
腎臓や神経の障害
HDL(善玉コレステロール)の低下

多く含まれている食材は?
カキ・アサリ・ホタテ・タコ・イカなどの魚介、レバーや赤身の肉、大豆製品、その他乳製品や卵など幅広い食品に含まれます。

※豆や穀物に多いフィチン酸は亜鉛の吸収を阻害します。亜鉛の多い献立を最後に出すとか、朝食・昼食・夕食でバランスをとる、などが良いでしょう。

※鉄、銅、食物繊維の摂取量が増えると相対的に亜鉛が不足します。当たり前の献立であれば大丈夫ですが、偏った食事に注意しましょう。

どんなミネラル?
鉄の次に体内に多く蓄えられているミネラルです。
色々な酵素の成分となり、新陳代謝を促進したり骨や皮膚の発育を促したりするほか、免疫機能を高める作用にも関与します。
味蕾(舌にある味を感じる部分)の細胞形成にも深い関連があり、亜鉛が不足すると味覚障害を起こしやすくなります。 ホルモン分泌にも関与していて、女性の月経安定や男性の精子生成に携わっています。(亜鉛だけ摂取しても精力増強にはなりませんので誤解してはいけません)
カルシウムとリンのバランス関係とは少し違う意味で、加工食品の食べすぎとかの偏食によって不足しやすいミネラルです。偏った食事はしないようにしましょう。

iron

(元素記号: Fe )

どんな効果がある?
貧血予防
免疫力を高める
粘膜を強化する

1日に必要な量は?
男性:7.5mg
女性:10.5mg
上限
男性:40mg
女性:55mg
※女性の推奨量が多いのは月経で不足するため

不足したら?
息切れ、めまい、貧血、食欲不振など

摂り過ぎたら?
心臓や肝臓に障害

多く含まれている食材は?
赤貝、シジミ、アサリなどの貝類、赤身の魚や煮干し、ヒジキやノリ、コマツナ、ホウレンソウ、菜の花、大豆と大豆製品、レバーなど。

※ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が良くなります。また、肉や魚のタンパク質から取るとヘム鉄を効果的に吸収できます。

ヘム鉄(heme iron)

赤血球中のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに含まれる。野菜に含まれる鉄は非ヘム鉄という。
吸収率はヘム鉄で20~30%、非ヘム鉄は数%

※フィチン酸、ポリフェノールなどは非ヘム鉄の吸収を阻害します。お茶やコーヒーは食後に。

どんなミネラル?
人体内にある金属元素で1番多いのが鉄。カルシウムと同じく機能鉄と貯蔵鉄に分かれ、60~70%がヘム鉄として赤血球のヘモグロビンに取り込まれ酸素や二酸化炭素の運搬に関与します。したがって不足すると酸素不足により貧血など様々な不調を招きます。
貯蔵鉄は肝臓や脾臓や骨髄に貯蔵され、必要に応じて機能鉄の補給をします。

鉄を過剰に取ると中毒を起こしますので注意が必要です。活性酸素が増加し、肝炎、肝硬変、心不全、癌のリスクが高まりますのでくれぐれも過剰には気をつけること。
鉄に限らず濃度の高い単体ミネラルのサプリメントは自己診断で服用せず、医師など専門家に相談するのが基本。
※鉄は吸収率が悪い(8%程度)ので、食事からの取りすぎは心配無用です。

copper

(元素記号: Cu )

どんな効果がある?
鉄とともに働き貧血を防止
コレステロールや糖の代謝
神経伝達機能の安定
骨を丈夫にする
脳の発育
メラニン色素の合成で紫外線防止
活性酸素の無毒化

1日に必要な量は?
男性0.8~0.9mg
女性0.7~0.8mg
上限
10mg

不足したら?
貧血や骨の異常など。
毛髪のつやが失くなる。
白血球減少で免疫力が低下。

摂り過ぎたら?
過剰症は通常起きません。
なんらかの理由で取り過ぎると中毒を起こし、肝臓障害などに。

多く含まれている食材は?
カキ、ホタルイカ、イイダコ、シャコ、ロブスターなどの魚介、レバー、アボカド、ココア、など。

※ビタミンCや亜鉛を摂り過ぎると銅の吸収を阻害します

どんなミネラル?
100~150mgほどが体内に存在し、鉄のヘモグロビン化に作用します。つまり鉄だけあっても銅がなければ貧血は防げないのです。
また、酵素の構成成分としてメラニン色素のチロシナーゼの合成、骨や血管のコラーゲンやエラスチンといった夕ンパク質の合成に関与したり、神経伝達にも関わっていたりします。
そしてセレンと同じようにスーパーオキシドディスムターゼを活性させて活性酸素の無害化に役だっています。

manganese

マンガン

(元素記号: Mn )

どんな効果がある?
骨の健康
三大栄養素の代謝
活性酸素の無害化

1日に必要な量は?
男性4.0mg
女性3.5mg
上限
11mg

不足したら?
骨の異常、成長異常
平衡感覚異常、疲れやすくなる
糖尿病のリスク、性機能の低下
※ほぼ不足することはありません

摂り過ぎたら?
食事で過剰症になる可能性はほとんどないが、マンガン中毒になると神経障害などが起きます。

多く含まれている食材は?
モロヘイヤ、セリ、大豆製品、玄米など。幅広い植物性の食品に含まれ動物性食品には殆ど含まれない。水にも含まれているため、通常の食生活で不足することはない。

どんなミネラル?
体内に10mgしか存在しない微量ミネラルですが、健康維持に欠かせない働きをしています。 骨、関節の結合組織の合成、糖質、脂質、タンパク質の代謝、活性酸素を分解するスーパーオキシドジスムターゼの成分など、酵素や補酵素として作用します。
性ホルモンやインスリンの分泌にも関与しており、生殖能力関連の機能維持や血糖値正常化の働きもします。

iodine

ヨウ素

(元素記号: I )

どんな効果がある?
基礎代謝を促す
酸素量の増加、皮膚や髪の健康、発育促進

1日に必要な量は?
男女とも:130μg
上限
2.2 mg

不足したら?
甲状腺異常

摂り過ぎたら?
甲状腺異常

多く含まれている食材は?
コンブ、ワカメ、ノリなど海藻や海草、アワビ、タラなど魚介に多い。

どんなミネラル?
甲状腺ホルモンの成分として、基礎代謝、発育促進、エネルギ一生産、などの大事な代謝に関与しています。 海産物に豊富なので和食を食べていれば不足はしませんが、これらの食材を含まないものを常食にしている人は不足に注意してください。

molybdenum

モリブデン

(元素記号: Mo )

どんな効果がある?
貧血の予防など

1日に必要な量は?
男性:25μg
女性:20μg
上限
男性:300μg
女性:250μg

不足したら?
欠乏症はほとんどない。

摂り過ぎたら?
尿酸の代謝異常や銅の欠乏など
※通常の食事で過剰になることはない

多く含まれている食材は?
レバー、豆類、穀物、乳製品など。

どんなミネラル?
肝臓、腎臓、骨、皮膚などに存在する微量元素。
補酵素としてはたらき、糖質や脂質の代謝、尿酸の代謝、鉄の効果を高めて貧血の予防などをサポートしています。

chromium

クロム

(元素記号: Cr )

どんな効果がある?
糖尿病予防
血中コレステロールや中性脂肪の抑制

1日に必要な量は?
30~50μg

不足したら?
通常の食事で不足することはないが、不足した場合は糖尿病のリスクが増える。

摂り過ぎたら?
クロムは体内に吸収されにくいミネラルでもあり、食事から取りすぎる心配はない。

多く含まれている食材は?
エビ、サザエ、アワビ、アサリ、カキ、サバ、ウナギ、ノリ、ヒジキなどの海産物、レバー、卵、乳製品、種実、豆類、穀類など幅広い食品に含まれます。

※精製した穀類はクロムの大半が失われます
※精製砂糖にはクロムを排出してしまう作用があります

どんなミネラル?
三価クロムは脂質や糖質の代謝に役立つミネラルです。インスリンの作用を補助し糖尿病予防に一役かっているほか、血流の正常化にも関与して動脈硬化の予防にもなります。

sulfur

硫黄

(元素記号: S )

硫黄化合物は、体に必要な栄養素であるビタミンB1ビオチン、アミノ酸のメチオニンやシステインの構成成分になっています。
意識して摂取する必要のないミネラルです。

chlorine

塩素

(元素記号: Cl )

塩素は猛毒であり、ヒトにとっても有害でしかなく、消毒や殺菌洗浄などの用途に使われている場合も細心の注意が必要なものでありながら、極めて微量ですが体内に存在しており、体液の一部として浸透圧調整などの役目をしています。
当たり前ですが、意識して摂取する必要のないミネラルです。

cobalt

コバルト

(元素記号: Co )

コバルトは、塩素と同じく人体に対して猛毒でありながら、どうして必須ミネラルに入っているかと言いますと(日本では含めていない)、ビタミンB12の成分の一部だからです。
当たり前ですが、意識して摂取する必要のないミネラルです。

silicon

ケイ素

(元素記号: Si )

珪素は半導体部品など工業用に重宝されていますが、人体内でも骨の形成に必要な元素で、血管・気管・腱・皮膚などの結合組織に多く含まれ、コラーゲン等を丈夫にしています。

不足すれば、爪が割れ、髪が抜けやすくなり、皮膚がたるむなどの症状が出るといわれます。

ケイ素濃度は加齢とともに低下していきますが、サプリメントなどでケイ素のみを補給してもほとんど意味がありません。

食品では全粒穀物や豆類に多く、ジャガイモなど野菜にも含まれます。食物繊維が多いほど摂取量が増えます。

fluorine

フッ素

(元素記号: F )

飲料水や動物の骨などから自然に摂取されている微量ミネラルです。海藻や緑茶などにも多く、普通の食生活で不足はしないものです。

歯や骨の表面にフッ化カルシウムとして存在し、虫歯の予防や骨を丈夫にするといわれるフッ素ですが、重い過剰症も知られています。歯が茶色くなるフッ素症や骨硬化症、糖質・脂質の代謝障害などです。

適量は大人で3.0~4.0mg、上限量は10mgだとされます。歯磨き程度は問題なさそうですが、サプリメントなどので過剰摂取には気をつけましょう。

nickel

ニッケル

(元素記号: Ni )

ニッケルは他の多くの金属元素と同じく、人体にとってもっぱら有害なのですが、鉄の吸収を助けたり、核酸を安定させたり、尿素を分解する酵素の成分であったりと、意外と活躍している微量元素です。他にも様々な代謝に関与したりホルモン分泌にも関係がありそうだと考えられています。

食品ではダイズやインゲンマメなどに含まれています。
とりすぎや不足を心配する必要はありません。

vanadium

バナジウム

(元素記号: V )

バナジウムは人体に必須のミネラルではありませんが、血糖値の正常化や脂質の代謝などに関与していると考えられているミネラルです。

コンブなどの海藻、エビ、カニ、貝類、パセリなどの野菜、キノコなどに含まれています。
不足の心配はなく、毒性があるため取りすぎを心配すべきものです。一昔前は公害物質として知られていて、ガンを誘発する物質ではないかとの疑いもまだ晴れてはいません。

健康食品として話題になったりしましたが、いうまでもなくバナジウム単体を摂取しても何らの健康効果もなく、むしろその逆だと考えた方がよさそうです。

すべての栄養素は複合的に絡み合って仕事をしているのであり、単体では何の役にも立たないのです。自然の食品から食事で摂取する事で体内でのバランスがとられて機能しているのです。

germanium

ゲルマニウム

(元素記号: Ge )

ゲルマニウムは、無機ゲルマニウムと有機ゲルマニウムに大別でき、海産物やニンニク、クコ、人参、霊芝、アロエ、などに含まれていて、人体に取り込まれるのは有機ゲルマニウムです。
ちなみに、これら食材から食事として摂取しての害は知られていません。

天然の有機ゲルマニウムは、免疫機能を向上させたり、抗酸化作用にも関与するとされています。

無機ゲルマニウムはヒトに有毒であり、摂取すれば死に至る場合もあります。

ゲルマニウム温浴から始まり、「貧血に効果」「疲れが取れる」「ガンに効く」などとして、サプリメントからあらゆる健康器具に「ゲルマニウム」の名が使われる現象がもう数十年も続いておりますけども、こうした効果が証明された事は一度もなく、逆に健康被害を訴える例が積み重なっています。

服用した場合、腎臓障害や死亡する例もみられ、これらは危険な無機ゲルマニウムを有機ゲルマニウムと偽って販売されたケースが多いようです。

しかも、有機ゲルマニウムでさえも安全とは言えないのです。抗酸化作用でガンに効くという研究も一部にありますが、それが証明されたことはなく、逆に有機ゲルマニウムを服用して死亡した例があります。

科学的に認められているのはウイルス性B型慢性肝の薬であるプロパゲルマニウムくらいであり、その他の効果は現在にいたるまで証明されていない俗説にすぎません。

公の機関が「危険である」と警告しているにも関わらず、なぜゲルマニウム信仰が消えないのか不思議になってきます。抗癌サプリであれば、抗酸化ビタミンの方が安いし、こちらは確実に効果が証明されています。

boron

ホウ素

(元素記号: B )

ホウ素は、骨粗しょう症に効果があるかも知れないといわれる微量元素で、ビタミンDの活性化にも役立つのではないかとされます。

本格的な研究は1990年以降のことで、まだよく分かっていない部分が多く、研究中といったところでしょうが、野菜や果物に含まれているホウ素は危険もありませんし、特に意識しなくても不足はしないミネラルです。

lithium

リチウム

(元素記号: Li )

リチウムは、ppb単位で体内に極微量存在してる元素の一つです。精神障害の治療薬(躁うつ病に効果)として使用されていますが、どのような理由で効いているのかは、まだよく分かっていません。

免疫力の向上や血圧を下げる効果があるとして、日に1mgの摂取を推奨されたり、長寿効果の可能性が報告されたりもしていますが、さらなる研究による確かな証拠を待つべきもので、生理作用については「可能性を探っている状態」と言えるかも知れません。

bromine

臭素

(元素記号: Br )

臭素は猛毒ですが、化合物の臭化カリウムはリチウムと同じく精神疾患(小児の難治性てんかん、不安緊張)の治療薬として使われています。

体内にもおよそ200mgくらい存在しているといわれ、塩素の代用を果たす大事な微量ミネラルではないかとされますが、正確なことは分かっていません。
どのような生理機能を持ち、どういう役割なのかが解明されるのはこれからです。