注意を要する食品添加物~保存料

  

保存料

ソルビン酸

ソルビン酸カリウム

安息香酸

安息香酸ナトリウム

パラベン




食品添加物の保存料(ほぞんりょう)とは、添加物の用途名になり、表示には個々の保存料の名称が使われます。
目的は食品中の微生物(細菌やカビなど)の繁殖を抑制し、腐敗や変質を防ぐことです。
ウィンナーなどの食肉製品や漬物類、菓子などの加工食品に使われており生鮮食品には使われていません。

安全性については、「安全派」と「危険派」に分かれている状態ですが、客観的にみますと、どちら側の主張にも問題があるように思えます。
安全か危険かという議論よりも、なぜ保存料を使用しているのかという根本的な話がないからですね。

皆さんは昼食用の弁当を作った経験がある筈ですけども、そのときに保存料を使用しますか、という話ですね。まずそんなものは使わないと思いますが、ではなぜコンビニの弁当や駅弁には保存料が複合して使用されているのかと。
これは保存料だけでなく、すべての食品添加物についていえることでしょう。

この話を単純化しますと、ようするに売る側も食べる側も「腐らないのが当然」だという思考が原因だと分かります。 自分が作る弁当は腐る可能性があると理解しているが、なぜか店売りの弁当は腐らないと思ってしまう。

業者か消費者か、簡単には判別できない、どこまでも平行線になる話になりますし、難しい課題だと言えましょう。

Sorbic acid

ソルビン酸

ソルビン酸は、練り製品を始めあらゆる加工食品に使用されている合成保存料です。少量で食品を腐りにくく出来るため、非常に広範囲に使われていて、これを使用していない加工食品はむしろ珍しいくらいです。

ソルビン酸は不飽和脂肪酸でもあり安全性には問題がないとして多用されているわけですが、動物実験で肝臓、腎臓、精巣などに異常がみられたという指摘があり、経口ではなく皮下注射によるものではありますが発がん性もあったそうです。これが直ちにヒトにもあてはまるとは言えませんが、いつまでも無視しておくような問題でもないという気がします。

ソルビン酸カリウム

ソルビン酸にカリウムを結合させたものが、ソルビン酸K(potassium sorbate)です。

ソルビン酸よりも水に溶けやすくなるので、水分を多く含む加工食品に使用されています。スープ類、調味料、ジャム、果実酒、シロップ、水分の多い漬物、お惣菜などに腐敗防止の為に添加されます。

動物実験ではソルビン酸と同じように発がん性が疑われ、消化器官の機能が低下したという指摘があります。

benzoic acid

安息香酸

安息香酸は1600年代初頭に発見された、合成保存料としては非常に古いものです。早くから抗菌作用を利用されていました。 現在は、キャビア、マーガリン、清涼飲料水、シロップ、醤油の保存料として使われています。

ごく少量を限定的に使用しているので安全と言いたいところですが、動物実験において良からぬ結果が多数報告されています。

また、2006年にイギリスで清涼飲料水に添加されていた安息香酸がビタミンCと反応してベンゼン(発ガン性物質)になっていた事が判明して回収騒ぎになったこともあります。

こうした報告がヒトに対しても妥当かどうかは判断が分かれるところですけども、疑念があるものを使用しなければならない理由の方が本当の問題だという気がします。

安息香酸ナトリウム

安息香酸のナトリウム塩が安息香酸ナトリウム (sodium benzoate)です。水溶性で、安息香酸を使用している食品群に加えて菓子用果実ペースト、果汁に使用されています。

毒性が強いのですが、使用量に厳しい制限がありますのでヒトへの影響は殆どないとは思いますけども、「組み合わせ」はまた別の問題です。安息香酸Naとタール色素の組み合わせは危険であることを知っておきましょう。特に子供に対してこの組み合わせは最悪ですので注意してください。

Paraben

パラベン

パラベンは、保存料(防腐剤)として醤油、清涼飲料水、シロップ、果実ソース、果実・果菜の表皮などに使用されている有機化合物群の総称です。

エチルパラベン(Ethylparaben)、プロピルパラベン(Butylparaben)、イソプロピルパラベン(Isopropylparaben)、ブチルパラベン(Butylparaben)、イソブチルパラベン(Isobutylparaben)、などを含み、正式にはパラオキシ安息香酸エステル(para-hydroxybenzonate)といいます。

動物実験で肝臓障害や成長不良などがみられ、著しい致死性があったという指摘もありますが、この結果からヒトに対しても危険とは言い難いのでないでしょうか。投与量などからヒトとの関連性は薄いと思われるからです。
しかし、だから100%安全というのは無理な話でしかなく、注意を要する物質であるのは確かなことです。安全なものであれば被験動物の大半が死亡する筈がないのですから。