食品添加物の概要と表示

  

食品添加物の基礎知識

食品添加物というのは、結論からいうと「食品を売る側の都合」の為にあり、「食品を食べる人」にはもともと関係のないものです。また、食品の"添加物"であって、食品ではありません。



「消費者の安心安全のためにある」という理屈は、それこそ詭弁・言い訳もいいところでして、誰もがひと目で「腐っている」「色が悪い」と分かる食品の方がかえって安全というものです。 「食中毒を防止するため」というに及んでは、最初からそのような危険がある食べ物を販売しなければよいだけの話ですね。

何を言っても結局は、「見栄えを良くしたい」「大量に販売できるように保存性などをよくしたい」というのが本音です。ようするに経済的な動機が全てであり、食べる人のためというのはこじつけでしかありません。新鮮な食品にこのような物は必要ありませんので、はっきり言えば「ごまかすため」に使う薬です。

とは言え、豆腐などは凝固剤がなければ作れませんし、すべての添加物が悪いというのは言い過ぎであり、必要だと思える食品添加物も数多く存在します。

嫌悪感を持たざるを得ないのは、政治に弱く、企業任せの食品安全行政による、食品添加物認定の灰色さがあるからです。国民の安全よりも、企業の思惑や外国の圧力に弱い政治の思惑を優先させて恥じることがない、厚生労働省の姿勢ですね。

現在、厚生労働省が認可している食品添加物は天然香料を除外すると700~800品目ほどになります。
化学合成した自然界に存在しない物質と、自然界に存在する物質を真似て化学合成したものを併せて『指定添加物』と呼んでいて、これは実質的に「合成添加物」といってもよいでしょう。 (この指定添加物という呼び方も、化学合成というイメージを隠そうとする思惑を感じてしまうところです)

天然の動植物、細菌、鉱物から特定の成分を抽出したもの、古来より長年使用されてきたものを併せて『既存添加物』といいます。実質的には「天然添加物」

指定添加物と既存添加物は、厚生労働省が認可したものしか使用が認められません。

ふだん食べている食品から特定の成分を抽出したもの、または食品を添加物目的で使用するものを『一般飲食物添加物』といいます。危険性は低く、100品目近くが厚生労働省のリストに収載されていますが、それ以外のものでも特に使用の制限はありません。

動植物から抽出された『天然香料』も危険度が低いことから規制は特になく、食品用のフレーバーだけでもおよそ600品目程度があります。ただし合成のものは「香料」として指定添加物に含まれ、認可されたものしか使えません。

食品添加物表示の分かりにくさ

食品添加物は原則として物質名を表示しなければいけません。商品にどのようなものを添加しているのか消費者に明示するためです。

明確に表示される添加物

物質名だけではなく、用途名(例えば保存料や着色料)も同時に明記しなければいけないものがあり、この「用途名+物質名」が表示されている場合は危険度が高いと考えてよいでしょう。

以下の添加物がそれになります。
防カビ剤、発色剤、漂白剤、酸化防止剤、保存料、着色料、甘味料、糊料(増粘剤、安定剤、ゲル化剤)
※表示例:甘味料(サッカリンナトリウム)

規制がユルユルの添加物

以下の様な表示規制をみますと、食品行政は製造業者の利益に配慮するだけで、消費者のことはまったく考えていないのではないかと思えてきます。
厳しくしすぎると、煩雑すぎて現実的ではなく、やむを得ないケースもあると思います。しかし、キャリーオーバーや一括名表示など、買う側に正確な情報が伝わらず、これでは何のために表示をしているのか意味が分かりません。

表示しなくてもかまわないケース
・店頭でバラ売りしている食品飲料はどんな添加物を使っているかを表示しなくてもよい
・飲食店で出す料理は添加物を使っても表示しなくてもよい
・お惣菜(スーパー、弁当屋など)は添加物を表示しなくてもよい

こうしたケースでは消費者にまったく情報が開示されないわけですが、だからといって簡単に規制することも不可能でしょう。難しい問題です。

表示が免除されるケース
『栄養強化剤』は、安全性が高いものが多いので表示を免除されますが、こうした商品は自主的に細かく成分名・添加物名が表示されているケースが多いです。おそらく、商品の性格上そのほうが売れるからでしょう。

『加工助剤』は、最終的な製品に添加物が残らない、もしくは微量に残留しても影響がない場合に表示が免除されます。 毒性の強いものが多く、もしもミス等で商品に残量すると大問題になりますので、これには企業も神経を使っているようです。
しかし、「製品に残留していないこと」を誰がどうやって確認するのでしょうか。大量生産品を1個ずつ検査できる筈もなく、ようするに、購入して食べる消費者が実験台であり、被害が出るのを待っているというのが現実ですね。

『キャリーオーバー』は、重複表示の煩雑さをなくすため、その製品を製造する際に使った原材料(調味料など)に含まれていた添加物名の表示をしなくてもよいという意味です。
この決まりを逆手にとって悪用する製造業者も多くいます。

一括名表示

一括名とは、用途名のことです。
具体的な物質名を書かなくても、香料とか調味料などの用途名だけ表示すればよいという意味です。
その用途に何を何種類使っているか消費者にはまったく分からず、これなら表示してもしなくても同じことで、意味不明としか言いようがありません。

一括名表示が認められている添加物(用途名)
酸味料、調味料、苦味料、香料、膨張剤、光沢剤、軟化剤、pH調整剤、乳化剤、酵素、豆腐用凝固剤、かんすい、ガムベース、イーストフード。