糠漬け
「糠みそ臭ぇ」という言葉そのものが古くなってきた昨今です。
でも相変わらずよく食べられてますよねぇ。
美味いですからねやはり。
糠漬けは日本人の原点のひとつかもしれませんね。原型は千年も前からあるそうですが、現在のかたちになったのは江戸時代。乳酸菌を利用し、また糠のビタミンB1を野菜が吸収しますので、塩分に注意すれば、身体に大変良い食べ物です。
糠漬けの作り方そのものはさして難しくありません。糠床を作るのに2~4ヶ月かかりますけど、その過程自体は誰にでも簡単に出来る程度の作業です。
糠床の作り方
■炒った糠に、煮沸し冷ました食塩水(濃度15%前後)を加え、硬めの味噌くらいの固さに練る
■容器に移し、昆布・唐辛子を入れる
■これに野菜くずを漬けて、保存
■毎日野菜くずを取り替えて1週間から10日で糠床は出来る
しかしこの時点では乳酸菌の発酵が充分ではないので、夏場で2ヶ月、冬場で4ヶ月ほど上の工程を繰り返して熟成を待つ。 熟成済みの糠を足し入れる「床分け」もあり、これだと早いですね。
※床分けは自分の床を複数にするケースもあります。
肉や魚を漬ける場合です。
野菜と動物性の乳酸菌は異なる様ですので、それぞれ別に漬けたほうがよいからです。
糠床が出来れば、塩揉みした野菜を漬け込むだけです。
水気の多い野菜は一日で美味しく漬かります。
茄子を漬ける場合は釘等の鉄を入れると色が出ます。
ぬか床の手入れ
少し手間なのが手入れです。
糠床は腐敗しますので、毎日底からかき混ぜて空気に触れさせなけりゃいけません。必要なのは乳酸菌ですが、他の雑菌も発生します(さく酸菌、酵母、酪酸、等)
これを押さえるにはビオフェルミンが効果的。
けど普通に手入れすれば必要無いでしょう。
・発酵が進み過ぎると酸味が出ますので、卵の殻や重曹を入れます。
・臭いが強いと感じたら、塩水を入れてかき混ぜるとよいです。
・糠床に水が上がったら丁寧に拭き取ってやります。
・漬け直すごとに糠と塩を足して固さを一定にしておく必要もあります。
手間とは言ってもこの程度の事で、食事の支度のついでに簡単にできる作業でしかありません。これで美味い自家製糠漬けが食べれますので、多くのご家庭で是非やってほしいですねぇ。
料理で残った野菜クズ。捨ててはもったいないです。根菜類の葉などは栄養の塊みたいなもの。ひと手間かければ翌日の朝食には美味しい糠漬けが食べれますよ。
糠味噌漬けを美味しくするコツ
糠床は用意してありますから、当然糠漬けは自家製です。
日本料理は形を重視する傾向がありますんで、野菜の剥き方などで多く余分が出ます。いろんな再利用をするんですけども、使いきれない場合もけっこうあります。そんな野菜クズの処理に糠床は重宝するんです。
まかない等で食べるんですけどね、パートさんが言うんですよ。
「家でも漬けてるけど、この味にならないわ。どうしたらこんな風に美味しく漬かるのか教えて下さいな。なんか秘密があるんでしょ、秘訣を教えて」
「あのね、おばちゃん。秘密なんて御大層なモンはないんだよ。これ」
簡単な話でして、「何も特別な事をしない」のが秘訣です。
つまり『基本に忠実に作ってる』だけです。余計なことはしないほうが良い。
ただね、漬けてる事を忘れちゃいけないってことなんです。
水があがってきたら拭き取り
酸味が出れば塩水を足したり、糠を足したり
一番大事なのは漬け過ぎないってことかな。
胡瓜は旨いのでしょっちゅう漬けますが、漬ける時にいつ食べるかによって胡瓜の太さを選び、塩擦りの加減をします。翌日食べるなら細いやつでよく塩で擦ってやり、明後日なら太いのを選ってあまり塩揉みしないとか。
要は食べる頃合を逆算して漬けるんですね。古になっては美味しくありませんので。他の野菜も同じです。
見た感じ、漬物には見えないくらいが最高に旨いと思いますよ。
糠床でこんな料理もできます
→まぐろ鉄砲漬け
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