冷え症を改善するには
風邪は仕事を休ませて貰う理由になりますが、「冷え性だから休む」とはちょっと言えません。それはかなり難しいというか、まず無理でしょう。
冷え性で悩んでいる人はかなり多いといいますが、困った事に【冷え症という病気】は存在しないのです。(一部の医療機関では専門的に診てくれますが、稀な例外であり数は少ない)
冷え性が一般的な病気とは認められていない現状。正直、医師も対応に困ってしまうでしょう。薬を処方してくれても、無難な漢方薬あたりになる筈です。冷え症に即効性のある薬がないからです。
どんな病気でも辛さはその本人にしか分からないものですが、冷え症も「他人にはまったく理解してもらえない症状」の最たるものでしょう。
冷え性とは何?どうすれば良くなる?
【他の人は平気なのに自分だけ異様に寒く感じる】
これが冷え性の人の特徴で、特に手足の皮膚温度が常に低い。
就寝前に布団に入っても皮膚は冷たいままで温まらない。寒い冬だけに限らず、夏でもオフィスの冷房が耐えられない。
こういう冷感の自覚が、何なのか、どうしてなのかについては、次のように考えられます。
一. 皮膚の寒さを感じる神経の変調
二. 自律神経の働きが低下し体温調節がうまく出来ていない
三.他の病気が原因である(貧血、動脈硬化その他の血管障害、甲状腺異常、膠原病、遺伝的な機能障害)
四. 熱を発生させる筋肉量が足りない
五. 血液の流れが悪い(血行障害)
これは、一から四までいずれか(あるいは複数)の結果として、五の血行不良につながっていると読み取っていいかも知れません。
そして三でなければ、生活習慣の改善によって軽快する可能性もあると考えられます。三の場合なら、その病気を治療する事で冷え性も改善する見込みがあるでしょう。
いずれにしても、血液が隅々まで滞りなく循環している頑健な人というのは筋肉量もありますし体が冷えてたまらないという事もありません。したがって冷え性を考える場合「血行不良」に重点をおいても的外れにならない筈です。
冷え性に効果のある生活習慣の改善・予防などについては以下のリンク先などを参照して下さい。
ここでは食事(飲食と料理)による冷え性の予防・改善について考えてみたいと思います。
食事で冷え性を改善する
靴下の重ね履きや肌の露出部分をカバーするなどの厚着、そして早寝早起きや運動。ストレスをためない。そういう対策も大切です。
それらの対応策と並行して「飲食習慣を見直す」という事も重要になります。
・体を冷やす飲食を避ける・減らす
・体を温めやすいものを飲食する習慣
体を冷やす飲み物・食べ物
酒、炭酸飲料、コーヒー、菓子類、加工食品、動物性脂肪、果物、生野菜
体を温める飲み物・食べ物
温かいスープや味噌汁、加熱調理・漬物にした根菜類、豆類、発酵食品、卵、魚介類、赤身の肉類、レバーなどの内蔵、香辛料
これらをふまえて具体的にどんな料理や飲み物が良いか。以下その例を紹介します。
冷え性に効果のある料理
体を温める料理を作るために、常備しておくと良い食材がいくつかあります。その中でも効果と使いやすさが抜群のものを2つ紹介しておきます。
冷えで悩む人が常備しておきたい食材
① 加熱または乾燥したショウガ
生のショウガでも胃腸を活性化するなどの効果がありますが、加熱や乾燥したショウガでないと体を温める効果はありません。
(生ショウガでも胃腸を冷えから守る効果はあります。ただ刺激成分が強いので薬味程度に少量を摂りましょう)
作り方は簡単で、ひねショウガをタワシで洗い、皮付きのままスライスして、ザルなどに広げてよく乾燥させるだけです。(日当たり風当たりが悪い等条件が悪い場合は蒸して(レンジ加熱でOK)から乾燥するとよい)
日光に当てたり風を当て脱水することで体を温める有効成分ショウガオールが発生し、さらに長期保存も可能になります。カラカラに乾燥したら保存容器に入れておけば、いつでも必要な分量だけをすぐに使えます。
また、よく知られる「しょうが湯」がいい例ですが、飲み物(紅茶やほうじ茶など)に加えるには粉末のショウガ(生姜パウダー)が良いでしょう。生姜粉末は砂糖などで味をつけたものが多いですが、そうでない場合は黒砂糖で甘みをつけて紅茶などに加えると飲みやすいです。
② オリーブ油に漬けた唐辛子
唐辛子の成分「カプサイシン」は、皮膚の毛細血管を拡張して血行を良くする(つまり皮膚の温度を上昇させる)という、冷え性にドンピシャリの効果があるとされています。
もちろん普通に唐辛子を使ってもカプサイシンを摂取できますが、オリーブ油に漬けておけばさらに広範囲の料理に使えて便利です。油にカプサイシンが溶け込んでますから、油のみ使用する料理でも唐辛子の香味と有効成分が摂れますね。料理のレパートリーが増える事でしょう。この油でビタミンEが多い食品を炒めると、冷えに効果がある料理ができます。
①②ともに、工夫次第でありとあらゆる料理に使うことができます。特徴として、料理の過程で加えるだけでなく、出来上がった料理に「チョイ足し」できる点が優れています。つまり出来合いの中食とかインスタント食であっても後から加える事ができるのですね。広範囲に使えるとはそういう意味でもあります。
では冷えに効果のある料理を何点か紹介します。
冷え性改善に効果がある料理
- しょうが仕立てのとん汁
- 根菜類と豚肉の赤身の部分を使った味噌汁で、生のショウガをたっぷり効かせた体の温まる料理です。ショウガが嫌いな方は七味唐辛子や上記の唐辛子オリーブ油を使うと良いですし、あるいはショウガと両方使ってもかまいません。
① 豚肉の脂身の少ない赤身の部分を適度にカットし、千切り(上記の乾燥ショウガでも可)しょうがと合わせ、オリーブ油を敷いた鍋で炒める(上の唐辛子入でも、普通の油でも可)
② 食べやすく切った、ごぼう、大根、にんじん、きのこ類、白ネギを鍋に加えて①と一緒に炒める
③ みそ(白でも赤でもお好みで)をダシ汁で溶いて②に加え、一煮立ちさせる(冷蔵庫に青菜類があれば煮立った時点で加えるといいでしょう)
④ ③を器に盛っておろししょうが(もしくは七味唐辛子や唐辛子オリーブ油)を加えれば完成です。
参考ページ
とん汁の作り方【動画】
- カツオのペペロンチーノ
- カツオはタンパク質が魚類のなかでも非常に多く、ビタミンDを筆頭にあらゆるビタミンの宝庫でもあり、ナイアシンや鉄分も豊富です。加えてお馴染みのDHA・IPAは血流を良くする効果もあります。カツオはニンニクと相性が良く、タタキ刺身などでもニンニクを使うと美味しいものです。筋肉量を増やしつつ血行不良改善も期待できます。
① カツオの刺し身(皮付き)を用意する(市販されているカツオタタキでもかまいません)
参考ページ
カツオのタタキ
② 上記の唐辛子オリーブ油(または普通のオリーブ油と輪切り唐辛子)、みじん切りにしたニンニクをフライパンに入れて弱火で加熱する
※スパゲティ用に売られている市販のペペロンチーノを使っても結構です
③ カツオを入れて両面に軽く火を通し、取り出して器に盛り付け、②を回し掛け、ネギを散らす
ネギのアリシンはビタミンB1の吸収を良くしてくれます。カツオが用意できたらとても簡単に素早く作れる料理ですよ。自分好みにアレンジもしやすいです。
ですから冷え性気味の方は無理なダイエットは禁物です。冷たいものを避け、バランスの良い食事をしっかり摂って、より多く歩くなど適当な運動を心がけましょう。
本文イラスト:いらすとや