かつおのたたき
カツオの時期は年二回。秋の親潮ガツオ(戻り鰹)が脂がのって、現代人の味覚に合うのは確かですけれど、やはり「初ガツオ」の響きにゃ勝てません。
秋ガツオは刺身に向きますが、春ガツオはタタキやナマスで食べるのに向いてます。鹿児島などで獲れるヤツは、まだ脂がのりきってはいませんが、鰹節などの加工に向いてます。高知あたりまで来ますと、ちょうどタタキに頃合ってわけで。
タタキひとつにも色々な「タイプ」がありまして
簡単に言えば「混ぜ叩くたたき」「炙るたたき」の二つになるんですね。 カツオの場合は、【炙ってから→たれで食べる&薬味類で混ぜる】という両方を合わせたような感じになります。
スーパーなどで売られている【炙って、節になったかつおのたたき】を利用するやり方「混ぜたたき」と、生カツオを自分で炙る「炙りたたき」の両方をご紹介します。
選ぶコツは、見た目が太いこと、それに出来れば冷凍ケースで凍ったまま売られているものです(カツオの身は鮮度低下が異常に早いので、一度解凍するとすぐにダメになる)
市販のカツオをタタキにする
タタキ用の薬味を用意する
薬味はこんなもんで十分です。
ネギはタタターンって打ち、
大葉もチャチャっと打つ
生姜と大蒜もまとめて一緒にトトトーンってな感じで打ちましょう
白ネギだからって青い部分を捨てちゃいけません。
お皿の上でこう持ってシャシャって感じで薄くハス切り。
節を切る
炙ったカツオをサクサクサクって刺身に切り、
さっきのネギ皿にヒラヒラと並べます。
ガシガシ卸した大根をね、バーンと豪快に載せましょう。
その上にさっきの薬味をバッサバッサと。
青い柑橘も切ってパラパラ。(普通のレモンで結構)
三杯酢でもポン酢でも好みの味にしたタレをゴボゴボかけます。
(酒盗と辛子明太子を刻んで入れておくと絶品)
割合参考:味付け割合一覧表→合わせ酢
ラップをゆるく被せまして、ビンタを張る感じでパチン・・は強いので、ぺチリぺチリといった按配で10回ほど「叩き」ます。
そいで食べる15分前くらいに冷凍庫にぶちこんでおきましょう。
お客さんなり旦那さんなりが食卓に座りビールを飲み始めた頃合に、器ごとギンギンに冷えたカツオぶっ叩きを出してあげると良いでしょう。たぶん箸が止まらなくなり、「もっとビールを、いや、日本酒をくれ」ってな感じになっちまいますよ。
生のカツオをタタキにする
もし新鮮な生のカツオが手に入ったら、自分でタタキを作ってみましょう。最近は出来合いのタタキもなかなかの品質ではありますけども、やはり自家製はいいですよ。
カツオをタタキにする手順を説明します。
正確には「鰹の焼き霜作り」になります。
上に書きましたが、叩きは大きく二種類
「炙るもの」と「薬味などを混ぜて刃叩きするもの」です。
「鰹の叩き」は前者になりますから、和食で言う「焼き霜作り」
カツオを炙る場合、藁(わら)火が最高だとされますが、
そんなもの普通のご家庭で用意できるわけありませんし、料理屋のような焼台もないでしょうし、ガスコンロで炙るにしても、脂が飛び散りますので、これもチョット家庭では厳しいでしょう。
家のコンロを使って炙り、そこらじゅうに脂がついてしまえば、奥さんが鬼のような顔になるでしょう。なにしろ魚の脂は臭いも残るし汚れも簡単に落とせませんから。
バチバチと派手に脂を噴出させるのがカツオ叩きの妙味。
しかし、これをやるとコンロの穴が詰まったり、ガス台の手が入らぬ部分が汚れたりで、後が非常に大変です。
そして、昨今は「IHクッキングヒーター」が普及しておりますので「コンロのガス火」自体が無いというケースもありましょう。
こうした問題をクリアできるのは【カセットコンロ】です。
料理用のガスバーナーでも同様の事ができるんですが、カツオの叩きだけはコンロでないと上手くできません。
それに、ガスバーナーはなくても、カセットコンロなら大概の家にあると思いますしね。
鰹焼霜に必要な物
■カセットコンロ
欲を言えば火力が強いものがいいのですが、必須ということではありません。安いもので結構ですし、安物の方がいいです(汚れますので)
大きなバットなど(「餃子バット」が良い)にコンロを置いて使うと色々都合が良いのですが、無ければ新聞紙やらダンボールなどで(紙は火事に気をつける)
そうすると周囲が汚れても後が楽ですよ。
■金串5本
ぜひ欲しい道具ですが、まぁ無い家の方が多いでしょう。
代わりに大き目の焼き網を使うといいでしょう。
100円ショップの奴で充分です。
■大きめのボールか寸胴
炙ったカツオを急冷するための、カツオの節がすっぽり入るサイズの容器。 普通サイズのボールではカツオの身が曲がってしまいますので、大きな容器を。 キッチンに無くても、押し入れなどにプラの収納容器などがあるはずですので、それを使えば結構です。使った後洗剤で洗い乾燥させれば問題ありません。
■氷
たっぷりの氷を準備します
カツオの炙り方
焼き加減
炙り加減は、
皮目8割 身が2割
皮を重点的に炙ります。
余分な脂を飛ばすと同時に、皮付きでも食べやすくなるように表皮を焼いてしまう必要があるため、しっかり焼かなきゃいけません。
身はさっと炙るだけ。
身のほうは焼きすぎてはいけません。
【表面が白くなればそれでOK】です。
(1)串を打つ
こんな感じで5本の串を打ちます
※鰹が小さければ3本、大きいなら7本。
串の太さ・種類などでも変化します。
あるいは、焼き網にのせる(串が無い場合)
(2)皮目から焼く
・コンロを最大火力に
・斜めに持ち、頭側から焼きながら尾の方に移動
・中央、左右と満遍なくしっかりと焼く
「バチバチ」という音が静かになってくるとほぼOK。
でも1度裏返して目視で確認してみましょう。
皮が全部焼けていれば大丈夫ですが、焼けていない部分がありましたらそこを炙ってやりましょう。
皮目を焦がすのは、「皮ごと食べる刺身」だからでもあります。焼き残しがあると、その部分は食べた時に口の中でゴワゴワしてしまうのですよ。
(3)身の方を焼く
ここは焼くというよりも「加熱するだけ」というニュアンス。
むき出しの赤い身が、全面に白くなれば大丈夫。
表面に色をつけるだけということです。
焼き過ぎないようにしましょう。不味くなります。
焼き加減などを動画でご確認ください
(4)氷水に入れて急冷する
・焼き終えたら、間髪を入れず速攻で氷水に
串を抜いてやり、粗熱がとれて冷えるのを待つ
(2分程度でOK。長く浸けておいてはいけません)
取り出して乾いた布巾で水気を完全に拭き取り、刺身に切りましょう。
【炙り刺身】関連
カツオの刺身
極上のカツオを見ると、「タタキ」にするにはもったいない気がする時もあります。
鰹はとにかく鮮度が落ちるのが早く、古くなると変色し刺身どころではないんですが、捌きたての新鮮なのは刺身が美味いんですよ。
カツオは独特のタンパク臭があり、これがワサビと合いませんのでショウガ醤油で食べます。(もしくはカラシ)
しかしセオリーを打破する狙いで実験中の醤油ダレにてつまみ食いを
ワサビです
旨い。
こういうのを食ってる時はものを言うのが嫌になるって感じです。
(板前のつまみ食い。手づかみは下品ですので真似をしちゃいけません)
みるみるうちに色が黒くなり、生臭みが出てきて、傷んでしまうのです。
したがって、切ってしまったカツオの刺身は「冷蔵庫に入れておいて後で(翌日)食べよう」というわけにはいきません。
できるだけ早く食べてしまいましょう。
食べきれなかった刺身とか、切った時に出た「切りくず」などをまとめて甘辛に煮付けておけば、保存可能の「おかず&肴」になります。
刺身とはまた違った旨味があり、刺身よりこっちの方を喜んで食べる人も多いんですよ。
竜田揚げ・唐揚げなども美味しいです。
鰹の揚げもの→