健康和食の作り方・下拵え編
※魚、肉、野菜の生鮮食材は、やり方に共通の互換性がありますので、全部に目を通しておいて下さったほうが宜しいです。
※その他の食材は下のページを参考にしてください
食材の下処理法~乾物・塩蔵品の戻し方
和食が健康に良い理由
和食が健康に良い理由は、独特の素材と料理だからだと思われているようです。確かにそれもあるんですが、実は「下ごしらえ」という過程こそが、和食を「健康食」にしているのです。
和食は素材を活かす料理です。
濃い味で原型を失くすほど煮炊きする手段はできるだけ避けて、材料の持ち味を残す、あるいは引き出す。そのため独自の下処理法が進化しました。
剥く
洗う
アクを抜く
塩や粉を打つ
寝かす
湯引く
霜を降る
二段階に分けて煮る
このような手法が洗練されてきたのです。
板前達は、このような手段を「材料の味を出したいが為」に模索し、確立して来たのであり、これが【毒出し】になっているなどと思ってはいなかったはずです。
しかし、結果として【除毒・排毒】にもなっているんですね。
生に近い感触が欲しいから「一手間かける」
これが偶然にも【除毒】になる。
素材の持味を「壊さないで仕上げる」
これが繊維質を残し、【デトックス(排毒)】につながる。
具体的に毒とは何を意味しているのか。
有毒ミネラル(鉛、水銀、カドミウム、アルミニウム)や、ダイオキシン類に代表される有毒化学物質。こうした物質は、それ自体が神経や内臓にダメージを与える毒物であり、加えて活性酸素も生み出してガンのリスクも高めます。
食品に添加される物質もそうだし、自然界に存在するあらゆる細菌やウイルス、一部の有機物や無機質などもやはり毒の一種だといえましょう。
しかし、天然由来の細菌等というのは、体内に存在する細菌類などと巧くバランスをとる又は排泄される、それか中毒を起こして最悪死に至るか、その2種類しかありません。やはり問題はカラダが理解できないであろう人工の化学物質の方です。「どうなるか予想がつかない」からです。
そういうこともあり、もっとも気になるのが【残留農薬】
あまり言いたくはないのですが、「有機・無農薬」の野菜でも安全ということにはならないのです。何故かというと【安全なモノなどは無い】からです。
「そのまま豪快に食ったほうが美味い」というのは大昔の感覚であり、今はまったく通用しない蛮行です。(※テレビ等で、土から引っこ抜いた野菜を、洗いもせずそのまま食べているシーンが多いようですが、何を考えているのかと思います。たとえ無農薬だとしてもアレはない。プロの料理人もいるようですが、「プロ」という自覚があるのでしょうか)
北極や南極でさえ「鉛」が検出されるのが現代です。こうした「人類が生み出した汚染物」から逃げることは不可能なのですよ。
放射能すら安全であると云われるような歪んだ世の中で、何かを信じるのは愚かなことです。今の社会は「全てのものが安全でない」というのが正解なのですよ。
自分だけそれから逃れようとして「絶対に安心安全なものしか食べない」と思っても「ムダ」なことです。どんなに大金をかけても無駄なのです。逃れようと思うなら火星あたりに移住するしかありません。皮肉ではなく、真剣に、それしかないでしょう。
ヒトが生きるのに不可欠の「水・空気・食物」が、安全だと言い切れないのですから当然でしょう。絶対に危険だというのは疑似科学(オカルト)だとしても、絶対に安全というのも、同じく疑似科学なのです。
どのような種類であれ、多かれ少なかれ、「毒」が体内に侵入するのは避けられず、その毒がどうなるかは、一人ひとり違ってくるでしょう。生涯まったく健康に影響を受けない人もいれば、ガンなどの難病になってしまう人もいる。つまり、確率の問題であり、簡単にいえば「運次第」ということです。
「運ならどうしようもない」
そう思うでしょうが、逆なんですね。
確率というのは操作できるのです。
「危険回避という大数」を意図的に増やすことで、リスクの確率を小さくしていけるのですよ。これは絶対的な確率論の法則です。
① できるだけ毒を体内に入れない 和食は毒を排除する料理
② できるだけ体内の毒素を追い出す
この2つを実行していれば、ゼロにはならぬまでもジョーカーを引く確率を大きく下げることができるんです。
伝統的な和食というのは、偶然か必然か、この2つにドンピシャリと合致しているのです。
西洋化が進んだ現在、過去の話になろうとしていますけども、「世界一の長寿国」とか「肥満が極めて少ない」というのは、遺伝的な要因というよりも、食事など環境要因のなせるわざでしょう。
和食が健康的だとして、その和食の基本は、【先ず洗うこと】
日本ほどキレイな水が豊富な国はめったに無いのです。
世界有数の「清水大国」であることも「和食の必然」だったのでしょう。
きれいな水でよく洗うだけで、「地球上に存在するすべての毒素」の50%か、それ以上を、食べ物から排除できるのです。
とにかく「水を徹底的に利用する」のが除毒の基本。 水の温度を上げたり、塩分の浸透圧を加味すれば、さらに「洗い」の効果は高まります。
豆腐などは水を張ったボールに30分程度浸けておくだけで「余分なもの」が抜けますし、油揚げの下処理で下茹でして油を抜いてしまうように、添加物だらけのウインナー・ハム・ソーセージなども、そのまま炒めたりするのではなく、カットした後いったん湯に通すことで添加物の多くは湯に流出します。それから水気を拭いて料理にかかる。
米の場合は、といだ後水に浸けておくだけでも精米後の残留農薬が抜けますが、冷たい水に浸す前に、さっと湯浴みさせるだけで効果がアップします。
パスタや麺類なども、茹でこぼしてからもう一度茹でると「余計なもの」が流出しやすくなります。そのまま茹でると、いったん湯に溶けた成分を再び吸収してしまうからです。
茶葉も例外ではありません。農薬やその他の化学物質を吸着していることを前提に扱ったほうが良いのです。
最初にさしたお湯、いわゆる「一番茶」は捨てて、もう一度湯をさして飲むようにします。緑茶だけではなく、紅茶も烏龍茶も同じです。
野菜から毒物を排除する下処理法
野菜のやり方
●葉物野菜 ・まず外側の葉をはぎとって捨てる ・洗う 徹底的に洗うのが基本です (ビタミンCなどの水溶性成分の流出ですが、10分単位で水に浸したおかないかぎり殆ど影響はありません。さらに言えば、微量のビタミン欲しさで洗いを躊躇し、結果として残留農薬を食べることは愚かです) ・下茹でする 炒めものなどでも、いったん下茹でしてからの方が良いのです。こうすることで「カサ」が減り、結果的にたくさんの野菜を食べることができます。 ●その他の野菜 ・塩で揉む イボイボやうぶ毛などがある野菜は塩をつけて揉みます。 揉んだ後に水洗い。 これは「板ずり」と言ってまな板の上で転がすやり方です。 キュウリやオクラなどをこうします(手もみでも結構です) 枝豆などは手で揉みます。 ・皮を剥く 農薬を使用している野菜・果物は「できるだけ皮を厚く剥く」のが基本です。なぜなら農薬は皮に集中しているからです。 ※皮を剥きたくないゴボウなどは「切ってから酢水に浸ける」 ※セロリなどは筋ごと皮を剥く ※意外なところではトマトも農薬が多い トマトは病害虫に弱いからです 洗うだけではなく、できれば皮を「湯むき」にしましょう ※白ネギも外の皮を剥いたほうが安心 可能であれば薄皮を剥く ・漬ける 野菜でもっともおすすめできる食べ方は「ぬか漬け」です。 家庭で乳酸菌を作れる数少ない方法ですし、ビタミンやミネラルの損失も殆どありません。(一部のビタミンは増加するほどです) 糠漬けの作り方 ※除毒を意識する場合、表面に浮いてくる水をこまめに除去することです。キッチンペーパーなどに吸わせると簡単。 また、ぬか床の表面を削りとって捨ててから混ぜると、さらに安心です。(糠が足りなくなったら新しく加えます) ※野菜の剥き方などは 野菜の切り方・剥き方 ●果物 基本的に野菜と同じく「洗う」「剥く」を徹底します。 亀の子たわしやスポンジなどで皮をよく洗いましょう。 |
魚から毒物を排除する下処理法
魚のやり方
魚も肉も、「洗いすぎると旨味が抜ける」といって、プロの料理人は水を警戒します。その時々のケースによっても違いますが、概ね水を嫌うのは確かです。
ある面では正しいのですけども、しかし今は【どんな材料でもよく洗った方が良い】のです。昔はなかった化学物質を吸収しているのですから当然でしょう。水銀や鉛や放射性物質のリスクは徹底的に排除すべきです。こうした物質はヒトにとって毒以外の何物でもありません。
刺身でさえも、"ふやけるまで水に浸けなければ"旨味が抜けてしまうことはもありませんので、他のケースはまったく問題ないのですよ。
表面に付着した汚れに毒素もあるので、できるだけ洗い流した方が良いのです。これは姿の魚だけではなく、切り身でもサクでも同じなんですよ。「旨味が抜ける」どころか、逆に美味しくなると思っています(ただし切り身の場合は"加減"をつかまないと難しいかもしれません)
●姿の魚 ・表皮の粘液、エラ、内臓、こうした場所は「毒の集まり」だと考えて、真っ先に除去し、徹底的に洗い流します。 アジの場合 ●切り身の魚 ・塩の浸透圧で毒を排出させる 薄く塩を振ってしばらく放置し、出てきた水分を洗い流す(プロは拭き取るだけの事が多いですが、水で洗い流す方が良いでしょう) ・さっと湯に通して毒を流出させる これは霜降りといい、非常に沢山の方法がありますが、基本は表面が白く変色する程度に茹でて取り出し、その後調理するというもの ・冷水で洗う 毒素や脂分などが抜けて身が引き締まります 洗った後に水分を拭き取るのが肝心 ・漬ける これも塩分の浸透圧を利用して毒素を排出できます 野菜と同じく味噌床などに漬けても良いです これはマグロのしょう油漬け 霜を降ってしょう油に漬け込むことで醤油の浸透を防ぎ、同時に扱いやすくなるのです イカ、タコ、エビ、貝類など、海産物はすべて同様で、とにかく「洗う」ことをおすすめします。「洗う」と「ふやかす」の違いさえ理解できれば、味が抜けることはありません。 海中の環境汚染物質を凄い勢いで吸収してしまう貝類のなかでも、一番汚染物を吸収する貝が「カキ」です。 もし内部に毒素がある場合はどうにもなりませんが、せめて表面は徹底的に洗うようにしましょう。水洗いする前に大根おろしや粉類で揉んだり、ミルクにつけて吸着させたりなど、二段階の「洗い」をすると、美味しさも増してくれます。 二枚貝は、砂を吐かせたあと殻をこすり洗いしてから使うのが基本。貝類の「ワタ」は、できるだけ食べないほうが無難。貝はミネラル豊富であるのは良いが、だからこそ水銀などの有毒ミネラルも体内に溜めている可能性が高いのです。 |
肉から毒物を排除する下処理法
肉のやり方
牛肉、豚肉、鶏肉、いずれにしろ、食用の肉は今や「工業生産品」に近い手法で生産されています。食肉自体は良く管理されていて問題はないとしても、気になるのは「えさ」ですね。BSE問題も、やはり餌に原因があったのです。
成長をコントロールするために「ホルモン剤」や「プロティン」を餌に混ぜるのは常識ですし、餌本体の濃厚飼料もホルモン剤やプロティンと同じく遺伝子組換えによって作られたものが主流になっています。その他、よく分からない物を餌に混ぜている業者も少なくはない。
こうしたものが食べる側のヒトにどのような影響を与えるのか、その辺はまだ曖昧なところがあります。しかし、進んで食べるようなものではない事は確かであり、できるだけ避けた方がよろしいでしょう。(狂牛病(BSE)の教訓を忘れるべきではありません)
ヒトの病変が皮膚に出るのと同じく、食用動物も異常は外皮などに集まるもの。これは異物を排出しようとする体の機能です。排泄物と一緒に出て行かなかった毒素は、皮膚や脂肪に溜まるのです。肉を食べるときはこの点に注意します。
・鶏の皮や、肉の脂身・筋は取り除く。 食用肉も基本的にはヒトと同じで、余剰な物質は「脂肪に蓄積」します。つまり、有害物も脂肪に集中しています。なので、脂の集中している皮や皮目、それに脂身と筋などは、下拵えの段階で除去するのが良いでしょう。(有毒物が無いとしても、そもそも動物性脂肪自体が有害なのです) ・さっと湯に通すことでお湯に毒素が流出します (ゆで汁は捨てること) ・煮込む料理はアクを徹底的に取り去る (毒素がアクになって出てきます) (※煮込み料理も、できればいったん下茹でして、そのお湯を捨ててから新しい水で煮込む二段階をおすすめします。手間を惜しまないことが、除毒をより確実にし、加えて余計な脂等が抜けて美味さが増すのです) ・塩分の浸透圧で排出させる (砂糖にも浸透圧作用がありますが値段的な面などでやる意味はありません) 薄く塩をあてて締める 味噌床に漬け込む 醤油洗い(さっとしょう油に浸ける) ・内臓類、レバーは塩水に浸けた後、流水でよくさらす ・砂肝は、カットして下茹でしておく ・ひき肉は、炒るか湯通ししておく。レンジで加熱して出てくる水気を除去しておいてもよい。 ※その他、各種の粉、おから、赤ワイン、焼酎、牛乳、炭酸など色々とありますが、さっとお湯に通す処理が一番効果的です |