和包丁に適する銀三鋼
クロムが11%以上入っている鋼をステンレス鋼と呼びまして、その大きな特徴がサビに強い事
(絶対に錆びないわけではない)
このステンレスの包丁で和包丁に最も適していると思われますのが日立の安来鋼「銀三」ではないでしょうか。
安来鋼(ヤスキハガネ)と言えば青紙や白紙を作っている日本古来の「たたら製鉄」の流れをくむ純日本鋼の元締めみたいなもの。従って和に適したステン鋼がここで誕生したのは当然かも知れませんね。
安来鋼ですので他の和鋼材と同様に銀系も通常「紙」と呼ばれます。
「銀紙」ですな。
錆びに強い銀紙1号や多用途向けの銀紙5号などありますけども、包丁に一番適した銀紙は「銀紙3号」です。通称「ギンサン」
硬度は60前後と炭素系和包丁と同じくらいにしてありますので、ステン独特の「研ぎにくさ」が緩和されてまして、ステンレス包丁としては非常に研ぎやすいと思います。刃が付きやすいのですよ。このへんもプロに好まれる理由の一つでしょうか。
銀三はなぜ和包丁に向くのか
普通、ステンレス包丁ってやつは鋼板を型抜きして作りますけども、この銀三包丁はなんと「手打ち」が可能で、鋼を打って鍛えることができます。つまり「鍛造」できるステン鋼なんですよ。
和食関係の職人に最も多用されているステン包丁もおそらく銀三になると思います。ですので、切れ味については語る必要もないでしょう。