柳刃白紙包丁
何十年も板前をやってますと
経験を重ねて来た
そして料理人としての道を深めた
そんな感慨を持ちます。
だが、同時に
「垢がこびりついた」
もしくは余分なモノが纏わり付いてしまった。
そう感じる事も多いです。
若い時期にはなかった「腹の脂肪」
自分にこびりついた「なにか」です。
そいつが体を重くします。
視力を衰えさせる
感覚をも鈍くする
味覚すら怪しいもんだ
もう切れるような素直さがねぇ。と思う。
包丁ケースを持ち出し。
中の包丁を全部出して空っぽにしてみます。
長い間、空のケースを眺めてみます。
そしてやがて「忘れていたもの」を思い出す。
板前としての入り口
黒檀だ、本焼だ、錆びない包丁だのと、
忘れ去ってしまった無垢な白紙。
これを見ると
「板前」が何だったか思い出させてくれるんですよ。
自分の仕事が何なのか、
それを教えてくれるんです。