春を呼ぶ菜
初物ってのを殊の外日本人は好みます。
そのなかでも冬の寒さを雪の下で耐えながら、じっと春を待つ植物の新芽ってのは、こりゃ日本人の心の琴線を振るわせる何とも言えない趣がありますよね。「芽吹き」ってやつ。そいつを食卓に添えるってのは、生命そのものを食べるって感覚ですね。暖冬の影響って訳じゃありませんけども、今は1月からこんなものが出回ります。
栽培が盛んだってのもありますんで、天然物はまだ先になりますが。
蕗の薹は勿論フキのつぼみです。
蕗はよく使う野菜でして、色をいかして薄味で焚き合わせに使ったり、逆に真っ黒な醤油味の伽羅煮にしたり(キャラはkaraで黒いという意味)用途は色々です。
蕾のふきのとうは少し苦味がありますが、そこが好まれるみたいですね。これも色んな料理に使えますが、春の香りを味わうなら、生で天ぷらがよいでしょう。味噌と相性が良いのでみそ和えやみそ炒め、生を刻んでみそ汁に浮かべたりも。
フキノトウ天ぷら
たらの芽
たらの芽は落葉樹のたらの木の若芽です。ほろ苦い中にも甘さがありまして、山菜のなかじゃダントツ人気です。選ぶ時は太く肥えたズングリムックリが良いです。
これもやはり天ぷらでしょうね。
菜の花
菜の花料理は春を呼び込む感じがしますねぇ。
菜の花は別名、あぶら菜、菜種、菜花、とも呼びますが、そういう植物があるわけじゃありません。早春に咲く和種の菜の若い蕾の事です。コマツ菜、白菜、キャベツ、ミブ菜(京菜)ブロッコリー、カリフラワー、カブや大根もそうです。カラシ菜とか葉牡丹もあります。アブラナ科の花全体を指すこともあります。独特の苦味と香りが良いですよね。ちなみに和食で「菜の花の○○」という場合は煎り卵を指します。色を菜の花に見立てるわけです。
料理のやり方は簡単です。
一般にアクがありませんので、さっとボイルするだけでよく、多くの野菜みたいにアク抜きの手間が要りません。茹でるときに少量の塩を入れて色を鮮やかに出しましょう。
水にさらす必要はありません。
あとはお好みの料理にします。
辛子和えや白和えなどが代表的ですね。
出汁を含ませると美味しいです。
あまり色を付けない様にしましょう。