スープ作りの基本
10~20代の頃あれだけ足繁く通ったラーメン屋から、最近めっきり遠のいてしまいました。もうじじいなんで味覚が変化しちまったのか、それともラーメンの味が変わったのか。
「決して嫌いになったんじゃないのよ」ってやつなんですがね(キモイすか、すんません(笑)そん代わりちゃなんですけども、沖縄そばが大好物になりました。沖縄で言う「すばわた」ってやつですかね。特に「ソーキそば」がたまんねぇ
琉球料理には学ぶべき事が沢山あるんですが、中でも特筆は「豚料理」です。ソーキってのは三枚肉(バラ肉)の部分なんですがこの部分の旨さを肉食人種のガイジンさんが見逃すはずねえんで、骨付きのスペアリブは世界中で食べられてますし、琉球と縁の深い中国なんか一匹丸ごと残さず部位ごとに料理法がありまして、「豚で料理できないのは鳴き声だけ」なんて言うくらいです。
そんなかで沖縄料理が輝くのが、「豚調理の下ごしらえ」ですわ。丁寧なんですよ、豚料理のレパートリーが広いせいもあるでしょうが。出来た料理の臭みで仕事が分かるんですよ。
おいら魚にしろ肉にしろ臭みの残る料理にゃ箸をつけないんですわ。食う気しないもの。
で、ソーキ料理はその店の仕事が一発で分かる料理なんです。時間かけて丁寧な下ごしらえしねえと臭みが残るんですから。
最近はあちこちに沖縄料理の店があり簡単にソバ食えるんでいいアンバイなんですが、やっぱりこいつはなじみの店で食べたい料理ですね。おいらは沖縄本島にそんな内緒の店が三軒ほどありやす。ソーキそば食いに沖縄行ってるみたいなモンです。しかし当然、遠い。いっそ沖縄に住もうか、なんてたまに妄想しますね。
琉球蕎麦紅葉排骨深煮添
☆沖縄そばと相性最高、鹿ソーキ☆
変な和献立風お題付けてますが、ちょいと無理矢理って感じですな(~_~;)「ヴェニスンソーキそば」あたりが無難でした^^
沖縄そば、特にソーキそばにとりつかれてから、もう何年になりますか。昔からの有名店や、観光コースに入ってる店、いわゆる「行列のできる店」なんかもあるほど人気になりましたけども、やはりこいつも食べ物、当たり外れは付き物です。国際通りを歩いたり、牧志の公設市場を観に行ったりしただけじゃ、なかなか「自分好み」の沖縄ソバに巡り遇うものじゃありません。
本島中部をまわってみると、色々面白い発見ができると思いますよ。沖縄文化の面白さがよく出てる地域ですから、当然食べ物にも反映されるのかも知れませんねぇ。
この地域の太平洋沿岸(東側)に、泡瀬って所があるんですよ。
昔の話ですが、当時、砂辺(嘉手納と北谷の中間辺りの東シナ海/西海岸沿い)と並んで沖縄の若者達のデートスポットでもありました。地元の子に誘われて小高い山まで車で登り、夜景を見た思い出があります。実はねかれこれ**年前なんですが、助っ人で沖縄県に出張しまして、ちょっとの間住んでいたこともあるんですよ。
その泡瀬から勝連半島に向かい、もう少し足をのばしますと「海中道路」ってのがありまして、その先の平安座って島に石油施設があるんです、ここが夜中に行くってぇとまた綺麗でしてね、イルミネーションを地元の子は「クリスマスツリー」なんて言ってたもんです。すんません、脱線しちまいました(笑
その土地の名をとった『泡瀬そば』って名のそばがあるんです。麺の名ですけどね。その麺は独特のコシがありまして、おいら好きなんです。
もみじ(鹿肉)
この中部界隈で生活なさってる地元の人が日常よく通う店に「沖縄そばの旨い店」が結構ありますね。それは「沖縄そば」だけじゃありませんし。そんな「旨い店」の中に、豚ソーキの代わりに、「鹿ソーキ」を使ってる店が昔ありまして、沖縄に行ったら必ず食べに行ったもんです。
鹿は肉にうるさい米国人の大好物でして、ベニソン(鹿肉)として大変な御馳走だと言います。日本での流通はエゾ鹿かニュージーランド産がほとんどな様です。ともかく鹿肉は旨いもので、和食では馬の「さくら」、猪の「ぼたん」と並び、「もみじ」として賞味されます。
沖縄は軍を通じて米国の食文化とも関わりが深いですから、鹿肉の旨さを知ってるウチナンチュも少なくないのでしょう。
沖縄移住を真剣に考えたりする昨今でもありますけど、そう簡単にゃいきませんよね。しかし気軽に遊びに行ける距離でもない。そこで彼の地に想いを馳せて、ソーキそばを作ってみます。鹿のソーキ(スペアリブ)を使って。
麺に関しては「ラーメン」と、まったくと言っていいくらい同じです。少々硬めに仕上げた方がよいでしょう。形は名古屋のきし麺ですな。縮れ麺の方がより「沖縄そば」らしいと思います。スープとよく絡みますし。
やはり問題はスープです。
これも基本はラーメンと似ています。鶏がら、豚骨、鰹節、昆布を使い、それはラーメン店と同じく各店で様々に違います。
今回作るのはソーキそばなんですが、通常のソーキそばってのはソーキだけ別に煮て味を付けます。それをスープと麺の上に乗せる具にするわけで、チャーシュ-メン(バーコーメンとか)と同じ事ですな要は。
しかしですね、家庭で作る沖縄そばを、スープ別仕立てにするのは大変です。どうせソーキを煮込むんですから、そのソーキからスープを取ればいい。そうすりゃ同時にソーキの仕込みにもなり、一石二鳥です。
ソーキそばの作り方 魚山人ふう
これが鹿のソーキ(スペアリブ/骨付きバラ肉/三枚肉/カルビ/排骨)
鹿肉は普通は加熱を極端に嫌う肉で、ステーキならレアに限ります。鍋に使う「もみじ」も同じです。しかし三枚肉は別。豚ソーキと両方使います。
スープ取り
(1)鶏ガラとソーキを沸騰した湯に入れ、ひと煮立ちさせたらすぐ鍋ごとあける。
水でよく洗い、汚れ等を落とします。
鶏ガラはアバラの内側に血合いがありますので、洗い落とします。
※この血合い(ドリ)は臭みの元になります
【どり】=ドリとは肺臓のことで、雑菌が多いので食べられません
(2)たっぷりの水を大鍋にはり
※煮込み鍋は対流の関係からズンドーが理想的。必要以上の蒸発も防げるし、エネルギーの節約にもなる。(なければ大鍋で)
(3)ソーキと鶏ガラを水から煮込みます。
丁寧にアクを除く
※卵の殻や野菜クズを入れてアク取りと同時にコク出しにしますが、それとは関係なく徹底してアクをすくう必要があります
(4)2時間ほど煮たら酒、泡盛、赤ワイン、を少し加えます。
(5)鶏ガラや野菜クズなどを取り出し、スープを綺麗にします。
(6)漉したスープに可食肉(ソーキ)を加え、鰹節削り、煮干、干貝柱等をミックスした袋を入れて。弱火で煮込む
(7)肉内部に火が通入った頃、昆布とだし袋を取り出し、塩、醤油、酒で、アタリ(味付け)を決めてしまいます。
(8)これでスープは完成。肉だけ取り出し別鍋で煮ます。
肉を追煮してコッテリに味付け。水飴も加えて「あわや」という危険な状態まで黒く煮ます。
麺を茹で、上のスープを張り、このソーキをのせる。
これはスープを張る前の状態。
ネギを添え、好みで錦糸卵、紅ショウガやコーレーグスを。
スープを張れば完成。手前の骨付きが鹿のソーキです。
*実は紹介していない隠し味の素材を色々使っています。ひとつだけ書いておきましょう。沖縄名産の珍味「スク」(ゴマアイゴ)を塩抜きして、燻蒸した後天日乾燥させたのを、煮干に混ぜています。
しかし上記の通り作っても、かなり美味い沖縄そばになる事は保証します。忙しい方は鶏ガラをチキンブイヨンに変え、さらには顆粒の和だしを鰹節に変えるのもありでしょう。ただしソーキだけは生冷凍を使用しないと、この料理の意味がありませんが。
スープは大量に作るのが美味しくするコツです。
冷凍がききますので、冷めてから小分けして固めておけますよ。
「すばわた」(そば腹)を自負する方、一度お試しあれ(^_^)