和食箸
箸での食事に難儀をしますので、海外に出る際は必ず自分専用の箸を持っていきます。おいらは行きも帰りも荷物は別便で送っていますので、基本的には手ぶらですけども、小さなバッグだけは一つ持っています。そこに入ってますのが箸箱。
レストランでおもむろに箸を出して海外料理を食べだすなんて厭味ったらしい使い方をする為ではありません。もちろん和食を食べるため。必ず和食関係の店に寄りますので。郷に入らばそこに従うのは当然。洋食はナイフ、フォークで食べるのが常識であり礼儀ってもんです。
妙に日本に詳しい変なアメリカ人の友達がいるんですが、最近は矢鱈と「環境保護」が世界的なお題目なんでその人も言うんですよ。
「ワリバシ」は森林破壊で問題ではないかってね。
水掛け論にしかなりませんのでおいらは一言で切って捨てます。
「アメリカ人の半分がトイレットペーパーを止めて日本のウォシュレットにすれば割箸消費も半分にするよ」
けっこう前のデーターですが、一人当たりトイレットペーパーの年間消費量。日本は約7キロでアメリカは約9キロ。このうち日本はちり紙も含むし人口比率の問題もありますがたいした差ではなさそうに思える。しかしこの数字はどうも疑問に思えます。
向こうの生活実感としてアメリカ人のトイレットペーパーへの執着は凄いもんがあるのです。使い方、そして依存度が半端じゃない。最近の統計ではヨーロッパの2倍ものトイレットペーパーを消費しているアメリカ人は、ウォシュレットを何故か受け付けません。
その執着度を一番よく知っているのは米国にお住まいのご当人。
だから上の一言で話をフリーズできるのです。
しかしよく分からないのが日本のレストランですな。
「ライス」が必ず皿に盛られてきます。
フォークを使って食べなさいって意味でしょうけどね。
皿にライス
フォークで食べる
「ライス」と言っても日本風に炊かれたウルチ米ですよ。
要するに「ご飯」
カレーライスはスプーンなんで仕方がありませんが、ご飯が単体で皿に乗ってくる意味ってものがどうもね。これが海外ならコメはオードブルの一種なんでフォークでしょうが日本は違う。ご飯はあくまでもご飯です。
なんだか妙な話ですなぁ。飯は碗に盛って出せばいいのに。
ってまぁ余計な事を書いてゴメンナサイ(笑)
まぁ洋食のレストランで箸を出す違和感ってものもありましょうからね。
さて、箸の起源は無論古代中国で、その影響を受けているアジアの国々にも伝来して使われています。しかしながら日本の箸使いというのはもはや完全に別物と言ってよいでしょう。
箸の作法なんぞ検索で一杯出てくるでしょうからあまり必要も無いと思いますが、あまり書かれていないであろう事をちょっと。
それは「箸は先端部分のみを使う」ってことです。
使い終えた箸は先端の数ミリのみしか汚れていない。
これが美しい箸使いではないでしょうかね。
もちろんやってみれば分かりますが非常に難しいもんです。料理によっては不可能な場合もありましょう。この使い方が無理ならナプキン等で汚した部分を拭きとって綺麗にしておく。ささやかですがそんなちょいとした心使いが日本の箸作法の美点だと思いますよ。そんな部分に和食の良さがある様な気がします。
和食箸の種類
箸の種類は非常に多いのですが、代表的な箸をあげますと
元禄箸
典型的な割箸です。箸の角を削り溝も深いことから粗製乱造の元禄小判に例えられての名です。
小判箸
頭部が小判に似た形から。
割箸としては安物の部類で大衆蕎麦屋などで使われます。
丁六箸
弁当に付いているゴツゴツ角のある短い割箸。
天削箸
頭部が斜めにカットされ溝が掘られていません。
高級な箸として使用されます。
吉野杉製が上物で高級店が使っています。
利久箸
一目で分かる「両口」が特徴。
両端を左右対称に細く削ってあります。
以下の三種がありハレ、ケで使い分けます。
片口利久箸
普段使い(ケの日)の利久箸で一般の松葉型。
片方は直線カットなので片口。
夫婦利久箸
いわゆる利久箸の割箸
1膳が仲良く引っ付いている事から。
らんちゅう
「バラ利久箸」とも呼びます。
最初から割れている利久箸。
「ハレの日」に使用する高級品で、
おもてなしにはこれを使います。
中央を留めて膳に出します。
象牙や銀、なかにはプラチナの箸をお持ちの方もおられますが、おいらは素朴な『利久箸』が好みです。塗りがなく、杉や竹を削ったのみの質感がなんとも温かい。茶道の祖「千利休」が考案したとされる懐石箸です。
典型的な利久箸
※リキュウバシはこの商品の説明ページでも「利休箸」になっていて、千利休だから利休箸だろうと利休の字を使う事が多いのですがこれは誤り。「利を休む」は商売人には禁句であり忌み言葉なのです。当然ながら飲食商売である和食の世界でも「利休」の字を使ってはいけません。「利久」の字をあてます。