ワカサギ

  

公魚

キュウリウオの仲間は、アユ、ワカサギ、キュウリウオ、チカ、シシャモなど。そのなかでダイトツに消費量が多いのが『カペリン』という魚です。

カペリンでピンとこなくとも、『カラフトシシャモ』の別名ですとお分かりでしょう。「子持ちシシャモ」の名前で流通してるのがそれです。当然殆どが輸入ですが大量漁獲が続きましてこの魚も昔に比べ減少傾向。

キュウリウオ科の魚でアユを例外とすれば一番我々に名前が馴染んでいますのはワカサギではないでしょうか。

毎年冬を告げる風物詩として凍てつく湖面にアイスドリルで穴を穿ち釣り糸を垂らす釣り人の姿がニュースで紹介されますからね。所謂『穴釣り』です。

今や北海道ではシシャモに『本シシャモ』と表示しなきゃならない程にカペリン、キュウリがシシャモとして大量に出回っておりますように、ワカサギも同じくチカとの混同がひどく、チカがワカサギの名前で出回っております。

しかしだからと言ってワカサギも環境汚染で絶滅の危惧があるのかといえばそうではなく、むしろ鯉と似て環境の悪化に対して非常にタフな魚ですので消え去る心配はなさそうです。年魚としては珍しい部類でしょう。

江戸時代に公儀御用魚になった事から公魚の字が当てられておりますワカサギとチカは背びれの位置が少しだけ違います。背鰭が腹鰭よりも後にあるのがワカサギで、大きさもチカが20センチサイズになるのに比してワカサギは15センチ止まりの小兵。

さて今回の不況は一過性のものではなく、もっと深刻で根深い様相を呈しております。元来食べ物商売は不況とは無縁といわれたものですが、それも昔話。

心の何処かで予感していた『揺り戻し』が現実に起きているのでしょう。身の丈に合っていない「飽食」のツケはいつか必ず払わされるって予感です。

分りやすい言葉でいえば「でかくなる事ばかり考えすぎた」ってことですよ。進歩ってのを「捨て去る事」とはき違えて来たこの数十年。

なんだって古くから続いているものを何もかも捨ててしまうのか、どうにも納得いかない気持ちで世の流れを見る半生でしたよつくづく。

水質汚濁等の環境変化にも強い適応力でしぶとく生きる三寸の魚。

和食の世界に入り込み、数十種類もの和庖丁を押しのけてしまい、もう手離す事が出来なくなった三寸の洋庖丁。

ここから考えなきゃいけねぇモンがあるのか、ないのか。


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