鮎【アユ】

  

鮎(あゆ)

キュリウオ目・アユ科
[学名] Plecoglossus altivelis altivelis
[英] ayu,・ayu trout・sweetfish,
[仏] truite ayu
[別]香魚・年魚
あい・おいのうお・かつらん・やじ・ひうお・しろいお・あいなご


天然鮎


養殖鮎



アユの基礎知識

旬=夏

漁期は6~10月と定められ、それ以外は禁漁。

主な産地

北海道南部から日本各地に分布。奄美大島と沖縄に分布するのはリュウキュウアユで、本州産と遺伝的にやや異なる別亜種。海外では東アジア一帯に分布。

生態

秋に河川の中・下流域で産卵し、海で育った稚魚は春に河川を遡上(両側回遊)、翌年産卵し生涯を終える「年魚」。河川の中・上流域に定着した後は、侵入する個体を体当たりで追い払う「縄張り行動」をする。(この習性を利用したのが友釣りである)琵琶湖産はこの縄張り性が特に強い。

特徴

淡水産の漁業資源として重要な魚で、年間約2万tが流通するが、その大半は養殖。資源管理のため、全国河川で放流も盛んである。放流の種苗は琵琶湖産が多くを占める。
黄色っぽい青緑色の体で、全体的にはオレンジ色から黄色。胸鰭後方の体側に鮮やかな黄色い斑点がある。大型は30㎝を超えるが、通常は20㎝程。冬になり水温が下がると体色は赤色っぽくなる。

雄と雌

メスの尾ヒレは、オスに比して丸く大きい。
死後、硬直が進むと、オスは青黒くなり、体が締まって体色が青黒くなる。メスは逆に体が柔らかくなり体色は黄色味が強くなる。

語源

「あゆる」(川を下る)の古語から、また奈良時代に占いに使われたことからこの漢字になったと云われる。その美しく清々しい姿から、絵画や歌の題材として多用されている。

食味

「キュリウオ」、「香魚」の名がある通り、釣り立てはきゅうりの香りがする。遡上のときに食べる、河川の底石に付着する「珪藻類」の為である。
養殖鮎はこの香気がほとんど無く、脂肪量は約3倍もあり脂っぽい。
近年は餌や養殖池を改良し、「半天然」、「天然仕上げ」、「天然仕立て」等の名で色や形がより天然に近いものが生産されている。
京都の料亭などで、琵琶湖産の養殖用稚魚を放つ際に、弱った稚魚を釜ゆでしたものが隠れた珍味として出される。

料理・調理

背越しに切った刺身、流水で締めた洗い、煮浸し、唐揚げ、素焼きにして甘露煮、あゆ飯、天ぷら、開いて干物、色々あるが、苔むしたような鮎の香味を堪能するなら塩焼きにつきる。砂袋以外の内臓は全て食べられるので、調理はウロコをすくだけ。
よい塩とタデ酢があれば申し分ない。

蓼酢

鮎の塩焼きや刺身は、タデ酢で食べるのが本格的

ウルカ

鮎の内臓を塩辛にしたものを「うるか」と総称する。
卵巣の「子うるか」
内臓の「苦うるか」
身をまぜる「切りうるか」(身うるか)
精巣の「白うるか」

栄養

脂肪分が多いと言っても、養殖鮎の高めのエネルギーを心配する必要は無い。ビタミンDやビタミンEなどの必須不飽和脂肪酸が多いからである。血液血管環境を改善するDHAやIPAなども豊富。カルシウム源としても良好な魚である。内臓が特にミネラル・ビタミンが豊富なので、内臓ごと食べたい。

小鮎(ひうお-氷魚)

アユの塩焼

アユの栄養成分

成分値(天然鮎100gあたり)
エネルギー100?(418kJ)
水分77.7g たんぱく質18.3g 炭水化物0.1g 脂質2.4g
無機質 ビタミン 脂肪酸
マンガン 0.16mg ビタミンA 35μg 飽和 0.64g
0.06mg ビタミンD 1μg 一価不飽和 0.61g
亜鉛 0.8mg ビタミンE 1.2mg 多価不飽和 0.54g
0.9mg ビタミンB1 0.13mg
リン 310mg ビタミンB2 0.15mg
マグネシウム 24mg ナイアシン 3.1mg
カルシウム 270mg ビタミンB6 0.17mg
カリウム 370mg ビタミンB12 10.3mg
ナトリウム 70mg 葉酸 27μg
パントテン酸 0.67mg
コルステロール 83mg 食塩相当量 0.2g