すき焼き
すき焼きは「牛なべ」あるいは「牛すき」とも呼び、牛肉を日本人の口に合う様にアレンジした鍋料理です。
語源ははっきりしませんけども、「鍬(クワ)焼き」と同じく農耕具の「鋤(スキ)」の上で作ったからだとか、魚のすき身からの転用だとか、諸説あります。
この料理も全国的に広まり、各地でそれぞれ郷土色漂う独自の発展をしていて、作り方もかなり差異があったのですが、現在は大手の万能調味料の普及により全国的に同じ作り方(味)に戻りつつあるようです。
しかし関東と関西の違いは際立っており、すき焼きは大きく「関東風」と「関西風」に分けることができます。
鍋は専用の「すき鍋」を使います。
すき鍋は厚みがある鉄製で、浅くて平たくなっており牛鍋に適しています。
すき焼きの材料については西も東もあまり大きな差はなくほぼ同一。
調味料
関西風
酒・みりん・しょう油・砂糖
関東風
酒・みりん・しょう油・砂糖、これに出汁を加え一煮立ちさせて「割り下」にする
材料
牛肉薄切り
(赤身に細かいサシの入った霜降り肉が理想)
牛脂(ヘット)※普通の油で代用可
長ネギ
しらたき
焼き豆腐
春菊
その他シイタケなど野菜類
麩
溶き卵
雑炊はご飯かうどん
※主役の牛肉が少しでも水っぽくなるのを避ける為に、水分の少ない材料を入れる
関東風すき焼きの作り方
★割り下を作っておく
だし
だしの1/4くらいの酒・みりん・しょう油
砂糖 好みで適量(合計量がカップ1くらいなら大さじ2~3)
★鍋を温め牛脂を薄く広げる
★牛肉を入れ表面だけ焼きつける
※ネギが例えば下仁田ネギのように上質なら、肉の前にネギを入れて少し焦がしてから肉を入れるとネギ・肉共に美味さを増す
★割り下を加える
★他の野菜や焼き豆腐を加えて煮込む
★煮えた順に溶き卵で食べていく
★煮詰まってきたら割り下でのばす
関西風すき焼きの作り方
★鍋を温め牛脂を薄く広げる
★牛肉を入れて焼きつける
★砂糖を加える
★ネギを加える
★他の材料を加えてしょう油・みりんで調味する
★煮えた順に溶き卵で食べていく
★煮詰まったら酒でのばす
※酒・みりん・しょう油・砂糖は基本的に同じ分量
すき焼きのコツ
すき焼きは牛肉を美味しく食べるための料理です。しかし牛肉に馴染のなかった昔の人の作り方は、牛肉の性質を誤解しているものです。
ずばり言って「牛の薄切り肉は煮るものではありません」
ですが普通にすき焼きを作ると、どうしても牛肉が煮えてしまいます。
これを避けるには「煮えばな」を素早く食べるしかありません。
肉の色が変ったか変らぬうちに食べるという事です。
この料理は鍋であり、鉄板焼きではありません。
したがってどうしても水分で煮込む結果になります。
料理の根底に矛盾があるのです。
なので、慌しく煮えばなを食べて行き、肉を何回も追加する格好。
それを緩和するために肉を別のフライパンで表面だけ焼いておくという手もあります。もしくは牛肉自体を薄切りではなくステーキかそれ以上の「厚切り」にする事です。あとは水気が出た後の火加減の調整ですね。
「沸騰した汁で肉を煮れば肉が台無し」であれば、汁の温度を低く保てばいいだけのことです。
※適当な温度はしゃぶしゃぶと殆ど同じです。
→しゃぶしゃぶの作り方
すき鍋料理
魚すき
旬の魚に野菜を合わせた関西風の鍋で「沖すき」とも言う。
淡白な白身魚やエビ類を薄い割り下につけて下味をつける。
鍋で割り下を熱し、材料を煮る。
煮えたものを卵で食べる。
「たらすき」や「たいすき」も同様のもの。
うどんすき
「うどんすき」という名称は大阪は「美々卯」の登録商標。
普通に寄せ鍋を作り、吸地よりやや濃い味付けにする。
魚介や野菜から出た旨味のある汁でうどんを煮る。
うどんを食べやすいようにアルミ鍋を使うことが多い。
鶏すき
若鶏の柔らかい肉を使うすき焼き。
割り下の出汁は水にする。
豚すき
豚肉のすき焼き。
牛脂を豚脂に、割り下を赤味噌と酒、みりん、砂糖、醤油で作る。
牛すきと同じ様に作り、卵で食べる。