サバ寿司の作り方

  

サバ寿司

サバ寿司の作り方

サバ寿司は、サバを〆て片身をすし飯と合わせ、長形に作った寿司で、「サバ棒寿司」「サバのバッテラ」「サバの押し寿司」「サバの箱寿司」「焼き(炙り)サバ寿司」など名称が多いですが、ほぼ同じ料理です。



他にも郷土料理としてのサバ寿司もいくつかあり、作り方に多少の違いはありますが、どれもサバ寿司には違いありません。「さば寿司」という広義な呼び方ですと、しめ鯖や生サバの握り寿司も含まれてしまいますね。

何か、さば寿司、棒寿司、バッテラ、押し寿司、箱寿司、それぞれ別の料理のような雰囲気もありますが、その曖昧さは後ほど説明しますとして、先にさば寿司の作り方を紹介します。

サバ寿司の作り方

白板昆布(バッテラ昆布)をさっと湯通しし、冷めてから甘酢に漬けておきましょう。

寿司飯を用意し、シメサバを作ります。

すし飯の作り方

サバの下ごしらえ

① サバを捌く


サバのさばき方

② サバを〆る


シメサバの作り方

③ 皮を剥く


サバの薄皮の剥き方

⑤ 腹骨を取る


魚の腹骨の外し方

⑥ 小骨を抜く


魚の小骨の抜き方

バッテラで作るサバ寿司

(1)しめ鯖を箱に合わせる

箱寿司にするサバの身はそのままでは厚すぎますし、丸みがあるとシャリと馴染まずうまく仕上がりませんので、横から身を二枚に削いでおきます。(それほど身が厚くないサバなら省略)

庖丁で抉るようなカーブに出来れば理想的です。

また、下の画像の様に左右からカットする方法もあります。

(2)箱を組み、しめ鯖を並べる

バッテラ箱は濡らしておきますが、水滴はいけませんので拭っておきましょう。

皮目を外になる様にしてサバを入れると、尾の方に少し隙間が出来るはずです。魚は涙滴型ですから尾の方が細くなっており、当然長方形にはならず空間ができます。

その隙間に先ほど削いだ身を入れて空間を埋めてください。

(3)すし飯を入れる

太巻きと同じくらいの量の寿司飯を取って箱の空間に入れます。

巻き物を作るときのように、左から右へ

※寿司飯の量はお好みですが、枠から出るほど大量に入れてはいけません。押して圧をかけるときにはみ出さないくらいに。

※平均的にシャリをならし、全体が均一になるようにします。

※上手に作るコツは角に隙間が出来ないように四隅には多めにシャリを詰めることです。するとクッキリとラインを出すことができます。

(4)押す

鞍型をしたフタの取っ手部分をつかんで押します。左右にそれぞれ両手をかけて全体重をのせて押します。

足が浮くくらい体重をのせて下さい。

いっいん力を抜いて手を放し、箱ごと180度回して反転させてからもう一度強く押します。

枠を抜くとこうなっています。

上下を返して、押し板からまな板へ移動。

(5)切り分ける

箱のサイズにカットしたバッテラ昆布をサバにかぶせます。

サバ寿司を8等分くらいに切ります。

サバ寿司の完成です。

サーモン白身魚の昆布締めなどでも同じ要領で作れます。

押し箱が無い場合

濡れ布巾とラップがあれば作れますよ。

サバの片身をそのまま巻き込んでもいいですが、身の方を少しだけ開いておきますと、すし飯と馴染んで形良く仕上がります。

このような感じで開きます。


詳しくはいわしの観音開き

すし飯をのせて包み、形を作ります。

ラップをしてしばらく置き、形が馴染んだら切ります。
詳しくはあじ寿司 作り方

こうして作ったサバ寿司は、バッテラ昆布を省略しても美味しく頂けます。
ただ昆布がないと乾きやすいので、なるべく早く食べましょう。

穴子寿司

要領は上と同じですが、先にバッテラ箱にラップを巻いておいて押した物です。煮穴子は崩れやすいのでこうした方が良いと思います。

ラップを解いてから切り分けます。

アナゴは煮穴子でも焼き穴子でもいいですが、崩れやすい欠点はありますが、やはり煮穴子が美味いです。


アナゴのさばき方

ハモ寿司

ハモを焼いて押し寿司にし、小さく切れば八寸・前菜にも使えます。

炙り

サンマを焼いて箱寿司にしたもの

さんま寿司

シメサバを炙って寿司にしたものが「炙りとろさば」などという名称で出回っていたりしますが、しめ鯖を炙って箱寿司にすれば「炙りサバ寿司」または「焼きサバ寿司」ですね。

箱寿司とサバ寿司

箱寿司とは、長角の押し箱にシメサバなどとすし飯を詰めて木枠で押し固め、長方形に作った寿司で、「バッテラ」とも言います。「押し寿司」「棒寿司」とも。

しめさば、サーモンの酢締めなどを箱寿司にした場合、昆布を薄く梳いた「白板昆布」を甘酢に漬けたもの(バッテラ昆布、てらこぶ)をネタの上にかぶせてから八等分くらいに切り分けます。
サバの箱寿司

箱寿司用の押し箱

この押し箱自体も「バッテラ」と板前は呼んでいます。

バッテラの語源
上画像の箱寿司用の押し箱は木枠などが小船に似ています。この事からポルトガル語のボートを指す言葉「バテイラ」がつまって、バッテラと呼ばれる様になったそうです。和食が今のような形になり始めた江戸期にはオランダやポルトガルとの交流が多く、和食には似たような話がけっこうあります。

※「バッテラ」は主に関西での呼び方で、関東は「棒寿司」という事が多いのですが、この寿司は元々「関西寿司(大阪ずし)」系のものです。やや曖昧さは残りますが、今では全国的にバッテラで通ります。箱寿司・棒寿司=バッテラと考えても結構ですよ。

郷土料理に多い箱寿司の押し箱は真四角のものが殆どで、寿司屋が使う押し箱は巻き寿司用の海苔とほとんど同じサイズになるように横長に作られていて、これがバッテラです。ですから「箱寿司」「押し寿司」は四角形の箱を指しているという見方もありますが、バッテラも箱には違いないし、押し寿司でもありますから。

江戸前寿司にも「コケラ」「箱ずけ」という箱寿司が存在した

スシから握りずしへの歴史

押し箱を使わず、布巾などで船型に作るのが「棒寿司」かと言うと、それは違いますね。バッテラ箱で押した寿司も棒寿司と呼びますので。

まあそう小難しく考えることもないでしょうが、店によってネーミングが違えば、知らないお客さんが、「これはまったく違う寿司なんだ」と思う可能性もあります。

名称にまとまりがありませんが、料理にはよくあること。関西寿司のバッテラが全国に広まるにつけ、今は呼び方も多彩なった、そうご理解下さい。

徐々に「箱寿司」は大村寿司系の大きな正方形の押し箱でおしたデコレーションケーキのような寿司を意味するようになり、「バッテラ」「棒寿司」は寿司屋用の長角の押し箱で作った寿司に、「さば寿司」は家庭で作るような布巾やラップで丸めたもの。そういうふうに名称も整理されて行くのかも知れません。