アンコウ鍋(どぶ汁)の作り方

  

鮟鱇どぶ汁

アンコウ鍋で味噌を使い、アンキモを溶かしこんだものをどぶ汁と言いまして、こりゃ旨いもんです。



作り方は、途中まではしょう油仕立てと同じで、出汁と酒がベースの決め手になります。これに味噌とキモを加えて仕上げます。

どぶ汁の作り方

どぶの由来は、この肝を加えることで汁が濁るからです。

アンコウで一番美味いとされるキモ。これがないと、この料理は成立しません。

まずは肝に塩をあてて20分ほど蒸しておきます。

血管などをキレイに掃除して蒸さないと臭みが出ますので注意。

あとの道具(アンコウの各部)は、全部湯に通しておきます。煮込むことを計算に入れて、やや大きめにカットしておきましょう。

これも忘れてはいけません。

7つ道具でキモの次に美味い「アンコウの皮」です。

ゼラチン質で口当たりが絶妙。これも湯通しして食べやすいサイズにカットしておきます。

大鍋に水を張り、材料を入れて加熱します。煮立ったら火を弱め、旨味が出るまでくつくつ煮込む。

お好きな野菜を順次加えていきましょう。煮えにくい材料が先、火が通りやすい野菜は後。

30分~程度で火が入り、よい出汁が出てきます。

そしたら味噌を溶いて加え、次に蒸しアンキモを加えます。

アンキモはそのまま豪快に加えてもいいですが、表面の薄膜に切り目を入れてひっくり返し、中身だけを取り出して薄い膜を入れないようにすると汁と馴染みやすくなります。

料理屋によっては「漉してから」入れたりもしますが、そこまでやる事はありません。「どぶ汁」ですから豪快にいきましょう。

旨い出し汁に、味噌とあん肝が混じりあった味ははなんともいえませんよ。

漁師本来の水なしで作る「どぶ汁」

一般には水か昆布出しで作り味噌で仕上げるものですが、元祖の「沖料理」は一味違う。鍋にキモを入れてカラ炒りし、そこに大根を放り入れます。次に皮とアラを加える。大根に火が入ってきたら他の部分も加える。最後に味噌を加えて完成。水は一滴も使いません。アンコウの身と大根から出る水分だけ。

実はアンコウっていう魚は今の釣り師言葉でいうなら「外道」もいとこでして、漁師はこれが釣れたら捨てていた時期があるそうです。船上での「まかない」にこのどぶ汁ばかり食わされるので、船頭に見つからない様に蹴っ飛ばして海に放り捨てていたと聞きます。

市場に持って行ってもセリで値が付かず、どうしょうもない魚なので船で食うしかないが、貴重な水を使うのはもったいない。このあたりから「水なしのドブ汁」が出来たのかも知れませんが、逆に美味い料理になったって按配でしょうけども、毎日こればかりじゃ捨てたくもなるでしょう。高級魚となった現在では考えられん話ですね。