煮物に使うレンコンですと、※前のページで紹介したように単純な輪切りや半月切り、あるいは4つ割(小さいものはそのまま)にして「乱切り」にしますので、生をそのまま剥いて切っても支障はありません。
しかし、少し面倒な飾り切りなどをする場合は、皮を剥いた後(縦に剥く)、酢を加えた湯でさっと茹でて冷水にとったものを使用したほうが断然やりやすくなります。
(皮付きで茹でておくこともあります)
生のまま細かい包丁を入れるとかなり手強い素材になります。それにモタモタしてるとアクがからんで褐色になってしまいます。まぁ、軽く茹でておくほうが無難だと思いますね。前のページと矛盾はしますが、飾りですので出来るだけ白くしておくということです。
花蓮根の切り方
我々板前がこれを剥く場合、皮がついたまま切ることが多いのですが、もちろん皮を剥いてから切ってもよく、そのほうがやりやすいと思います。以下で紹介するすべての切り方は、皮あり皮なし、どちらでもOKです
1)レンコンを縦に持ち、穴と穴の中間に切り込みを入れていく
2)1の切り込みを谷として両側から包丁して切り取る
→花レンコン図解
3)ポイントは穴の形と向き。穴と方向や深さを合わせる
4)用途に合った厚みにスライスし、水に放つ
レンコンの土佐煮
花レンコンは酢バスとか祝い膳などに使うものですが、ここでは写真をとるためだけに剥いたものです。もったいないので賄い用に土佐煮。
薄味で煮て、2回に分けておかかを加える。
仕上げにもおかかをたっぷりのせて
蛇籠れんこん
蛇籠(蛇篭・じゃかご)とは、円筒型に編んだ籠状のもの。
今は土木現場などで使われる擁壁の補強などにする土嚢みたいな長角ものを指すことが多いようですが、元々は円筒の編み籠。
「ざかご」とも呼ぶ場合があり、これは器として使う篭のことです。
まあ、早い話が蛇や竜を思わせる容器ですね。
1)レンコンを3センチ程度の幅に切り
2)それを半分にする
3)四隅の角を落とし、桂剥きにします
4)中心の円筒部分を和え物や前盛りなどに
レンコンの桂剥き(レース蓮根)
蓮根は穴だらけですので、大根のように縦に持っての桂剥きですとバラバラになってしまいます。なので、輪切りの切断面を横に向けて剥くことになります。
まず自分が持ちやすい幅(4~6センチ)にカットします。
1)角を丸くするようにして剥き始める
2)ぐるりと1周。円筒形にしていく
レース状になったものを適当なサイズにカットして料理飾りや酢の物などに。
先ほどの「蛇籠」は何も入らないカゴですが、桂剥きをクルクル丸めると、中に和え物などが入る本来の「蛇籠」にもなります。人参の赤、豆の緑などが真っ白なレースとよく合いますので、五色和えなどを巻き込めば品の良い一品に。
塩水につけてしんなりさせ、花びら風に巻き込んでいけば綺麗な花にもなるでしょう。造りのアクセントなどに使ってみて下さい。大漁盛りに使う網大根とレース蓮根を競わせてみても面白いですよ。
※桂剥き
最初はなかなか大変だと思いますが、桂剥きのコツは「多少厚くなっても気にしないで最後まで切り離さないように剥いてみる」です。これがカツラムキ上達の一番の早道だと思います。
カツラに剥いた芯は少し大き目に残しておき、2~3等分にカット。上と下のカドをぐるりと剥くだけで、里芋のような感じになりますので、小芋の煮っころがし風に煮てみると面白いです。
雪輪
ちなみに大根のように横から桂剥きにし、穴の端まで剥くと、どうなるか。
こういう感じで雪の結晶のような形になります。
「雪輪」という飾り切りの一種で、花レンコンと同じような感じで使います。ただし、「見通す穴」が消失しますので祝膳などには使いません。
蓮根キンピラ / 飾り切りの後始末
切り損じとか、剥きの失敗などが出れば、それで色々試してみましょう。
なにやら子供さんが喜びそうな形になったり(^_^
早出の竹の子と一緒に盛り付けて、「え?」とか言わせてみたり(笑)
「手毬」とか「鈴」などは実用としても使えますね。
「矢羽切り」なども参考にして下さい。
→矢羽切り
ただ、飾り切りはどうしても切りくずが多く発生します。
それを捨ててしまうのはもったいない話ですよね。
レンコンの場合は、全部を美味しく食べられる料理があります。
「きんぴら」ですね。
レンコンきんぴらの作り方
1)切りくずを集め、ごま油で炒める(厚みを薄く均一に整える)
2)蓮根が透き通ってきたら輪切りの唐辛子を加える
(唐辛子の量はお好み。辛さの調整になります)
3)酒、みりん、醤油で調味
4)煮汁がなくなるまで炒め煮し、最後にゴマを加え盛り付ける
手早く仕上げ、味を薄めにするのがポイントです。
蓮根の煮物>>
Comment
コメントを閉じる
素材の性質や味をとらまえた記事はたいへん参考になります。
レンコンも、少々高価なこともあってこれまでちょっと手を出しづらく感じておりましたが、これを機会にいろいろ食卓に上げてみたいと思います。
元来、あまり料理がうまくありませんが、こちらのHPの記事を元に料理するようになって、おいしいと言われることがちょくちょくあるようになりました。
こちらのおかげと感謝しております。
お忙しいこととは存じますが、更新を楽しみにしております。
2013/01/04(17:50)
やまだ
「後編」ッスか。この蓮根。
お疲れ様です爺。
いやはやなんとも「初仕事」←出前注文が殺到しやがって「俺に板前やらせろ!コラァ(▼=▼;)みたいな」笑!
ありがたい話さ。
で
記事中の写真。
仮面ライダー風&デビルマン風ゎ
笑った。次回に蓮根頂いたら真似してみんね。
が
早生の筍と盛り付けて
「え?」←なんで・・?
生筍も出てるし(高いか中国産すが)
蓮根も旬だし…
相変わらずの鮪初セリ。呆れ返る。が!その話題で持ち切り…
ま
「蓮」
そんな話題なマスコミ閣下様のシモベにゎお似合いだが。
確かに暖かいな
この記事ゎ。
桂剥きなんてのに上達の近道も何もネェ! ヤルか ヤラネーか!だ。
無器用君こそが反復練習を繰り返し技術を得る世界が「職人技」となる。
器用なヤツらで尚且つ速攻コピー出来ちゃう連中ゎ ま あれだな。
俺ゎこの業界に「天才」ゎ存在しない。が モットーなんで。爺ゎたまたまLED電球みたいな方で(笑)
(怒るなよ)汗
ごめんm(__)m酒かっくらって寝るゎ。ハンパねぇ疲れが…
歳かな…俺
2013/01/06
鯔次郎
魚山人様
あけましておめでとうございます。
蓮根、年末商材の定番ですね。
しかし自分としては、印象に残っているのは、
初夏の頃に、蓮の葉を器として出された料理を
思い出します。
中心をくぼませて、水分のある料理を盛る。
ロータス効果(現象)を利用して、
見た目を演出。
椀は新蓮根のしんじょでした。
「さすが料理人は食の世界の花形やなぁ。」
なんて思っておりました。
実際は、地道な長い裏方仕事や下処理、
冷たい暑い糞忙しい眠れない蹴られるなど。
見たり聞いたりしますが、
料理に宿る芸術性や
ある種のエンターテイメント性、
おいしい感動や、弾む会話を生み出す。
やっぱり花形でしょう。
卸、仲卸、八百屋なんていうのは、
(自分もそのうちの一人です)
蓮根みたいなもんで、日々泥の中を
蠢くような存在です。
でもですね、
このブログに訪れる人たちのように
<蓮は泥より出でて泥に染まらず>
そういう気概は持っていたいですね。
2013/01/06
野菜人
魚山人様、皆様、新年おめでとうございます。
ご多忙とは存じますが本年も素晴らしいブログを どうぞ宜しくお願い申し上げます。
蓮根は我が家の五歳になる姫も大好きです。 特に「きんぴら」は食感が好みなのか蓮に限らず 根菜全般をバリボリ食べてくれます。 まだ鷹の爪の塩梅には敏感ですが‥笑
娘やご近所のお子様たちの未来が蓮根のように見 通し良くなってほしいものです。
本年もどうぞお身体には御自愛下さい。関西より駄文失礼致します。
2013/01/06
はなふさ