蒸し物料理
蒸し物料理は、体が温まるだけでなく、素材の栄養を失わない素晴らしい調理方法です。材料を直に加熱するのではなく、間接的な蒸気の熱を使いますので、栄養素の破壊が最小限ですみます。これは味を逃がさないって意味にもなります。
同時に蒸気が芯まで材料を温めますので、材料の姿形を壊さずにしっかり火入れ出来る。そして暖のとれる料理になるって具合。ですので、魚介や野菜の持ち味を逃がさず活かせる調理方法になりましょう。別の言い方をすれば、蒸し物には新鮮な食材が適しているって事です。
余談ですが健康の為にサラダを好まれる方は、生サラダよりもはるかに健康的な温サラダ、それも「蒸した野菜」を召し上がってみる事です。総合的に生野菜を上回りますよ。
和食の蒸し物
蒸し物料理のバリエーションは多くはありません。
「煮蒸し」や「焼き蒸し」は別のカテゴリになりますし、所謂「蒸らし」も多用するものですが、これも蒸し物料理とは分けて考えます。
茶碗蒸し
酒蒸し
かぶら蒸し
ちり蒸し
蒸し物のコツは蒸気をしっかりたて(沸騰)て、温度を下げてしまう要素を注意深く除く事です。例えば冷たい器とかね。冷たいまま蒸し器に入れてはいけません。ちゃんと温めておきます。全ての材料に下味をしっかりつけて、あるていど余熱を持たせておいた方が良いです。
さて、せっかくですので蒸し物のバリエーションをもう少し紹介しておきましょう。おすすめの料理でもあります。
まず『とろろ蒸し』
これは蒸して裏漉しした山芋を使う方法と、すり鉢でおろした山芋を煮た魚介にかけてから蒸す方法がありますが、後者が簡単で家庭向きです。
とろろ蒸しの作り方
■くず粉で「べっこうあん」を作っておきます。
※和食の味付け一覧を参照 葛は片栗で代用可
■煮ておいた魚貝類を器に入れて蒸し器へ
途中で取り出しとろろを魚介にかけてさらに5分ほど蒸す
■蒸しあがったら取り出してべっこうあんをかけます
羽二重蒸し
これは茶碗蒸しの卵の代わりにシンジョを使うものです。
※シンジョはここでは魚のすり身を指します。
羽二重蒸しの作り方
■卵白、山芋とろろ、すり身をすり鉢へ
昆布出汁でのばしながら擂ります
■蒸し茶碗に入れて蒸しあげます
■おなじくべっこうあん(くずあん)をかけます
べっこうあん(くずあん)をかける事で冷め難く、食感に複雑な重層的深みを持たせ、体が芯から温まる蒸し物になります。
蒸しの注意点
固い食材(アワビ等)は時間をかけて弱火でじっくり蒸す。
新鮮な魚は強火で短時間で蒸しあげる。
茶碗蒸しや上の羽二重蒸しなどは、卵の泡をきれいに除いて蒸し器の蓋を少しずらして13~15分くらいが目安。
蓋をしたままの場合は初め3分は強火、その後は火を落とす。
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