和食の蒸し物
蒸し物 作り方
蒸し物は優れた加熱料理
沸騰した湯の蒸気で間接的に材料に火が入る。
「形が崩れにくい」「栄養を逃がさない」「乾燥しない・焦げない」
品の良い料理になるということですね。
アクがからみやすい
※食材の「素」がものを言う
密閉空間の蒸気加熱ですから食材のアクが抜けないのです。ですから蒸し物の材料は淡泊でアクの少ない材料を使います。そして材料の鮮度の良さが絶対条件です。
調理中は「何もできない」
アクもとれないし、味の調節もできません。蒸気まかせです。なので、蒸し物の素材は蒸す前に「完全に調整」しておく必要があります。アクを丁寧に除き、きちんとした味をつけておくのです。
素材別に蒸気の温度を調整する
湯が沸騰している強火から蒸し始めるのが基本。
材料を入れる為に蓋を開けるので90度くらいになります。
弱火で蒸すもの
卵豆腐や茶碗蒸し、つまり卵生地の蒸し物です。
最初の2~3分は強火で、あとは弱火
火力を弱め、蓋をずらす・箸を噛ますなどで蒸気を逃すと適温の85度くらいを保てます。
中火で蒸すもの
豆腐類がそうです。火力が強いと堅くなってしまい、茶碗蒸し同様「す」が入ってしまいます。
強火で蒸すもの
魚介の蒸し物、饅頭や赤飯など。90度以上を保つように蓋をきちんと閉めて強火で蒸します。
野菜や肉は時間差で調整
魚と青野菜を同じ時間蒸してはメチャクチャな料理になってしまいます。火の入りやすい材料は仕上がり3~1分前に加えるなどして調節。堅めの野菜は下茹でしておく。
蒸し器は布巾をはさむ
せいろは蒸気が適度に逃げるし「しずく」が落ちませんが、金属製の蒸し器は落ちてきますので布巾をふたに挟む必要があります。水滴防止です。ちなみに、蒸し器は金属製のバットが入る大きさが良いです。
蓋を開けるときは向こう側を持ち上げて開ける
熱湯を用意しておき、蒸し器の水をきらさない
火が通ったかどうか確認
卵生地は串で刺すと透明な液が出ればOK。
濁った液が出れば蒸しが足りない。
他の素材は弾力を指先で確かめる。
押し返すような弾力があればOK。
弱ければ中まで火が入っていない。
蒸し物のあん
蒸し物は、卵生地など完全に味を付けて固めるものを除けば、ほとんどの場合材料に味がのりませんので、調理中の味付けは出来ません。ですから、ポン酢などのつけ醤油とか、吸い地程度の煮出し汁を張ったり、餡かけにしたりして副次的に調味します。なかでもよく使うのが「あんかけ」になります。
左が銀餡、右がしょう油餡(鼈甲餡)
代表的な蒸し物のかけ餡
吉野餡
葛餡のことです。
葛の別名が吉野(奈良県の地方)なのでこの名。
「薄餡」とも呼び、吸い地を沸かして葛粉を引いたもの。
吸い地に醤油をほんの少し加えます。
素材の個性が強い場合はトロミを弱く。
淡泊な素材ならトロミを強く。
銀餡
薄葛餡の一種です。
だしに調味して沸かし、淡口醤油を香り程度に加えて色を控えます。水溶き片栗粉や葛でとろみをつける。
鮮やかな色彩を持つ素材の持ち味を損ないません。
醤油餡
銀あんとは逆に濃厚な感じに仕上げたい時に使う餡。
醤油を多くして鼈甲色にします。
野菜餡
数種の野菜をあられ切りや細切りで揃える。
それを煮て、煮出し汁ごと餡かけにする。