いなりずしの作り方
・すし飯を用意する
水加減は米と同割
合わせ酢は気持ち塩を少なめに
・油揚げをまな板に置きほぐす
すりこぎ棒、あるいは菜箸を上から転がしてはがれやすくする
・半分に切る※1
中を隅まで開いて袋状に。破らないように注意。
・油抜きをする
鍋にできるだけ大量に湯を沸かし油揚げを茹でる
時間は1~2分でよい
(あまり長く茹でると油が抜けすぎて味が濃くなるし、破れやすい)
・盆ざる等にあけて広げる
木蓋などで軽く押さえて水気を切る
・煮汁を作る
鍋に出汁を入れて砂糖を加え、油揚げを入れて5分ほど煮る
さらに醤油とミリンを加えてさらに煮る
※味付けは出汁2カップに砂糖5、みりん3、醤油3くらい
砂糖ではなくザラメを使うとコクが出る(三温糖でもよい)
砂糖を減らし、そのぶん水飴を足してもいい
・煮汁が1/3程度になったら火をとめる
そのまま冷まして味を含ませる
(前の日に作って寝かせておくと安定して包みやすく味も良い)
・すし飯を詰める※2
・煮た油揚げを軽く手で絞り口を広げる
(口の縁を少し折り返しておくと詰めやすい)
・角の先までよく開いてからすし飯を詰めるのがポイント
(こうすると形が良い)
・飯を詰めたら口を閉じて片方に折るようにして整える
(飯部分を上に向ける場合は折り返しをそのままにして飯が見えるように)
片方を折って閉じるか
(この詰め方は少し斜めに寝かせて盛る場合に適しています)
あるいは中央に向けて両側を折ってもいい
これは立てて盛りつけるのに適します
多めのご飯を詰めて底を平らに
・器に盛り付ける
※1
関東では角型、関西では狐の耳に似た三角型が一般的
関東タイプは直線に、三角型は斜め二等分すればよい
関東向
関西向
※2
味を含みやすい裏側を表面に向ける方法もあります
この場合は静かに裏表をひっくり返しておく
※いなりのすし飯に混ぜ込む具は非常に多彩。
どのような食材でも可能です。
具なしでも美味しいものですが、お好きな具を混ぜてみるのもいいですね
すし飯を合わせる段階で混ぜ込みましょう。麻の実やゴマを振り、ガリを添えてお召し上がりください。
稲荷寿司の由来など
稲荷ずしは日本のみならず海外でもコーン・スシ(conesushi)として普及。にぎり寿司とは違う意味での「国民食」になりましょうか。
これほど日本人に親しまれていながら、稲荷ずしの正確な起源は不明。
最古の記録としては1800年代初期の様子を描いた古書のみ。その中のいなりすしに関する記述から察するに、この食べ物がさらに古い時代から存在したのは明らかですが、残念ながら正確な歴史などの詳細は書かれていません。
稲荷ずしが稲荷信仰と結びついたのは、1800年代の中葉だとされます。
初期のいなり鮨は油揚げに飯を詰める他、おからを詰めた二種があったそうで、いずれの場合も具を豊富に混ぜた五目が主流だったようです。その形状から「こんこん寿司」、「きつね寿司」などとも呼ばれ、稲荷信仰と不可分なものになって行ったのでしょう。
稲荷ずしは【しのだ寿司】とも呼ばれます。
「篠田ずし」と表記しますが、「信太ずし」が筋に近い。
しのだ寿司と呼ばれる理由は次の一節から、
「恋しくば 訪ねて来てみよ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉」
芦屋道満大内鑑(享保初演の人形浄瑠璃芝居)より
これは「信太狐子別れの伝説」を元にした浄瑠璃です。
「和泉なる 信太の森」つまり大阪にある森の名前ですが、その大阪では稲荷鮨を「ケツネずし」と呼びます。一方で稲荷ずし発祥といわれる尾張三河には篠田なる地名が。こうした事などを考え合わせると、江戸時代どころか戦国時代以前から稲荷ずしが存在したのは確実なのではないでしょうか。もちろん現在の稲荷寿司の姿に近くなったのは江戸中期以降でしょうが。
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