カワハギの刺身

  

皮剥の姿造りと握り寿司

かわはぎの刺身は、それ自体にはあまり味がないというか、淡泊なものです。美味で知られる「カワキモ」とセットにする事でその真価を発揮すると言えるでしょう。



皮剥の身を刺身や握りにするときは「肝が不可欠」と言ってもいいくらい。

刺身などにする皮剥は、本はぎ、馬づらはぎ、うすばはぎの三種がメイン。本はぎが一番クセがなく食べやすいのですが、いかんせん本はぎは季節によってキモのサイズが極端に違ってしまう。冬場は丸々と大きくなりますが、その他の季節は痩せて小さい。キモがほとんど使い物にならないほど小さくなります。

そこで、うまづらはぎの出番です。本はぎと同じく季節で変化しますが、「まったく使えない」ほど小さくはならないのがウマのキモなんです。

カワハギの代用品扱いで、味もハギより劣るとされるウマヅラハギですが、どっこい新鮮な物は馬鹿にしたもんじゃございません。

ウマの皮を剥いで乾燥品にしたのなんかは、いかにも三流品って感じで貧相に見えたりもしまけすどね、利用範囲が幅広いって事は「つぶしがきく」って意味でつまり優秀な魚ってこと。

本剥も馬面剥も旬は夏に向けて。しかし肝の旬は寒い時期。夏は身は美味くなりますが、肝が痩せちゃう。間をとって春や秋でもバランス良いってことで何のことぁない、年中美味いって考えてもいいですね。

ウマヅラハギ刺身 姿造り

ウマの刺身ですが、やり方は本ハギでもまったく同じです。

活のウマをさばきまして

刺身の準備完了

おろし方は前ページを参考にしてください
皮剥のさばき方

ハギの身は硬いので薄作りにします。

※切り方参考ひらめ刺身薄作り

甘皮(薄皮)はフグと同じく湯引きにして冷水にとり、細く切って刺身に添えます。肝を裏漉しして刺身醤油と合わせた濃厚な肝しょう油で召し上がります。


【皮剥の刺身】 姿造り肝醤油添

活け造り・姿造り

カワハギの握り鮨

カワハギを握ってみましょう。

ネタに切りつけて、

本手返しで握る

ここでは大葉を帯にしてますが、特に必要なものではありません。

このあとカワハギの身にキモを載せるのが定法。

しかし食べるお客は二度手間になりますし、ならぬにしても醤油皿にキモを落としたりとか食べにくいものです。

ポン酢をかけてから出すのもよいですけど、他の方法もあります。

これは蒸したキモですが、ポン酢と醤油他に本山葵を加えてあたりをとって(味を付けて)あります。

これで食べる人は一挙動で口に入れる事ができます。

皮剥の握り

他の寿司と相盛する場合などは、握る時にワサビ代わりに肝をかませて握れば、器を汚しません。

アンキモや白子なども同じ理由で握りにすると食べ難いですが、軍艦にしてポン酢醤油を上からかける以外に、ポン酢ベースのタレをゼラチンでよせて冷やし固め、それを小さくカットしたものを乗せて出すという方法もあります。

どんなに装飾しようと、鮨は「つまんで口に入れる」という型を壊してはいけないという考え方が根底にありますので、こうしたやり方になってきます。要するに食べるお客様の視線を常に念頭におきましょうってことですね。