皮剥のさばき方
養殖のトラフグ食うんなら、天然のカワハギの方が旨いんじゃねぇかな。おいら内心そう思ってます。ハギは魚の中でも激安、いまだに数百円で買えるし、釣り好きならタダでいくらでも持ってこれる。(近年は養殖ハギが出回っています)
カワハギのさばき方はいたって簡単。
と言うよりも面白いです。
なにしろ、皮剥ぎの名前通り皮が手でつるつる剥けますんで。
奥様方は、旦那が大漁してたくさん持ち帰っても嫌な顔しちゃいけません。美味い上に、いくら食べても心配ないからです。高たんぱく超低脂肪、ビタミンB6とビタミンDが豊富、脂肪酸やコルステロールは少ない。優良食材です。
メンボウ、ハゲ、ヤスリ、バクチ、なんてガサツな別名がありますが、上の写真みたいにとても可愛らしい顔してるのがハギの特徴。フグの仲間ですから泳ぎ方もヨチヨチ愛らしいもんです。
本ハギの代用品としてウマヅラハギとウスバハギがいますけど、代用といっても味が劣るってわけでもなく、美味さは変わりません。
カワハギのキモ
皮剥は夏が旬になりますが、この魚の持ち味が出るのは寒くなって来る季節です。寒くなると「キモ」(肝臓)が肥えてくるからです。
この魚はキモが文字通り肝要ってわけです。
身を味わうなら夏ですが、淡白な白身は肝無しじゃ魅力半減ですからね。ですんで、一般には秋から冬が旬とされています。
キモの食べ方はそれこそ無限にありますが、新鮮な物ならそのまま数ミリサイズにカットして刺し身の上に乗せて食べるのが一番です。
和食店では蒸して裏漉ししたキモを刺身しょう油に溶かし、【きも醤油】として使ったり、そのまま刺身にあしらいます。身に乗っけるなりしてお食べくださいって事です。
(次ページのカワハギ刺身で紹介します)
本ハギ・ウマヅラハギ・ウスバハギ
淡路島産本ハギ
上の画像が「かわはぎ」(本ハギ)になります。
そして下がその代用品。形ですぐ分かりますね。
うまづら(馬面剥ぎ)
外見でカワハギとの違いはすぐ分かります。
ウスバハギ
白っぽい色、高知では「しろはげ」の別名。
皮剥のオスとメスの見分け方
刺し身に向くのがメスで、オスはイマイチ。だからオスは出来れば他の加熱調理が良いですね。
外見が丸っぽいのがメス、オスはスマートです。おろし身にしてみると、赤い血合いが上下にあるのがオスで、刺身はこの血合いを取らないと引けませんのでその点でもマイナス。
(血合いはウマとウスバに顕著でハギは気にならない程度)
カワハギのオスとメス。そのおろし身
画像下の赤い血合いの身がオス
カワハギのさばき方
ウマを使ってさばき方を説明しますが、本ハギもまったく同じやり方です。
活けなら、まず〆ます。
中骨まで切断。
(死んでいるハギは必要なし)
ツノと口先とヒレを落としておきます。
こうしますと皮が剥きやすく、後の調理にも便利。
口先の切り口から剥いていきます。
ツルツル剥けます
そのまま魚体を回す様にすれば、
全部を一気に剥けます。
頭を落とします
ここがカワハギだけの特徴。
内臓に達しない上の部分だけ切り、
※下の腹まで包丁を入れると、肝を切ってしまうからです
あとは手でもって「引きちぎり」ます
こうすると「キモ」を傷つけないですむのです。
キモは引き剥がした頭部分に付いてきて無傷
水洗いして、水気を拭き取りましょう。
カワハギのおろし方
大名におろします。
上で説明したように「赤い血合い」がありますのでこれはオス。
血合いを外します。
カワハギの薄皮を引く
ハギは小骨が簡単には抜けない魚です。ですから縦に二等分にし「背」と「腹」の二本にして小骨部分を避けます。
そうして普通はこうして薄皮(甘皮)を引きます。
ですが、どうせ二等分にしますので、【小骨を避け・二本のサクを取り・皮を引く】 この三つを同時にやってしまいましょう。
おろした片身をそのままに、中心の小骨の脇から庖丁を入れ、皮に達したら皮を切らず庖丁を寝かせて、そのまま皮を引きサクを取ってしまいます。
骨のある部分を確かめ、骨の横から切り込む
刃先が薄皮に達したら、包丁を倒して
そのまま身と皮を分離
反対側も同じようにして4本の節(サク)にします。
サクは清潔な乾いた布や調理ペーパーで包んで落ち着かせます。
良い具合に水分が抜けました(これは本ハギの身)
アラは味噌汁に、フグ同様唐揚げでもいいですよ。
次のページで刺身の切り方を紹介します
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