大名おろしとは

  

大名おろし・松葉おろし

キスの大名おろし



まず大名おろしという呼び方ですが、丁寧に三枚におろしますと、中骨に身が僅かしか残りません。しかし、このおろし方で捌くと、中骨に身が多少残ってしまいます。

これが、「もったいない」→「贅沢」ということで、殿様のように余裕があるという意味で大名おろしなったとか。

現在は目的に合わせて「大名おろし」と「三枚おろし」を使い分けています。

キス、サンマ、小アジ、小サバ、サヨリ等の魚は大名おろしにします。つまり小さな魚ですね。次に「細長い魚」。太刀魚とかカマスなどがそうです。

タチウオやサンマなどの場合、このおろし方が必須となり、プロも大名でおろします。

しかしその他の魚は、「特に大名でおろす必要はない」のです。

プロでも大名でおろす時は「小魚を大量にさばく必要がある」「忙しくて時間がない」というケースのみです。

一般の方(家庭料理)が、大名おろしを使う場合、「タチウオ」「サンマ」をおろす時のみの限定だと考えていいでしょう。

他の魚は、わざわざ大名におろす必要はないからです。三枚おろしや背開き・腹開きで捌いても何の問題もなく、逆にその方が良いです。

扁平な魚のみ大名おろしを使うですね。

大名おろしのやり方

こう、切り込みを入れれば通常の三枚おろしですが

三枚おろし

切り込みを無しでいきなりおろすのが大名おろしです




サンマの大名おろし


タチウオの大名おろし

時間をかけて卸していられない例が、活け作り

少しでも新鮮な刺身を出すためで、「水洗い」と三枚オロシを省略して大名でおろしています。

大名おろしの特徴は、
頭を落とした切り口からいきなり腹骨も身と同時に切断してしまうので、引く力が大きくなり抵抗が大きなる、それで魚体の安定がなくなる事。です。

不安定になるので、必然的に魚を押さえる力が強くなります。つまり丸みのある魚だと圧し潰す格好になってしまうのです。イワシとか身の弱い魚なら慣れない人だと身をグズグズにしてしまうでしょう。

だからこそ、厚み(丸み)のない、タチウオなどに向いているのですね。
(逆に丸みがないぶん通常の三枚おろしが困難。だが出来ないわけではない)

松葉おろし

キス、メゴチ、ハゼなどを天ぷらにするときには「松葉おろし」を使います。

大名おろしで卸し、尾の部分を残しておくやり方で、形が松葉に似ているからこの呼び方をします。

大名と同じ要領で尾まで切り

尾鰭の付け根の部分を切り離さず残す

ひっくり返して裏側も同じ様に

そのあと中骨だけを切り取ると、

松葉おろしになります。

尾のついた形が松葉に似ていますね。
ですから「松葉おろし」です。

天ぷらや結びギスなどにします。


天ぷら


結びギスのお椀