ヒラメの捌き方と卸し方
ヒラメとカレイのさばき方は、ほぼ同じです。
外形の違いは目の位置などほんの些細なものに過ぎませんので、さばきにもたいした違いなどはありません。ここではヒラメを使ってさばき方を説明しますが、当然カレイでも同じ事が可能です。
鮃は寒くなるごとに味に深みを加え、産卵に入る夏前までこの白身を堪能できます。ほとんどを養殖物が占めてますけど、最近養殖もなかなか食える様になってきました。しかし、当然というか天然のヒラメには及びません。
ヒラメの天然と養殖は一目で分かります。
ヒラメは目のある左側が黒で、反対が白色なんですけどね、その白い部分に黒いマダラ模様が入ってるのが養殖で、天然はここが純白です。
マダラが入ったのをパンダビラメといいますが、稚魚を放流したやつもマダラが入ってまして養殖と外見は同じなんですけど、これの味は天然とあまり変わりません。
養殖→放流→天然って感じですね食味は。
平目も鰈も通常は五枚おろしにしますが、場合によっては三枚におろしたり七枚におろしたるするときもあります。以下、簡単に紹介していきます。
ヒラメのさばき方
さてサバキ方です。
下で紹介するのは2キロ弱のよく使う一般的なサイズ。
ヒラメの場合、最初に出刃ではなく、よく切れる柳か相出刃を用意します。
(1)ウロコを梳いてから水洗い
まずヌメリを落とすために大雑把に水洗いします。
(もしくは包丁先でヌメリを除去する。表面粘液の具合によって判断します)
次にウロコを梳き取るとき邪魔になる胸ビレを切り落とします。
両側の背鰭と臀も切り落としてしまいましょう。
ここから柳や相出刃の出番です。ウロコを包丁でスキビキします。
包丁を外に向ける外引き。その反対の内引き。どちらの引き方でもかまいません。身をえぐらないように注意します。
返して裏側もスキビキ
端のほうも角などを利用してまんべんなく引きます。
※スキビキは、よく切れる包丁とある程度の技術が必要です。慣れない方は『金ダワシ』を使い、下の様にこすってウロコを取るとよいでしょう。
次に出刃でエラと腹ワタを出し水洗い、頭を落とします。水気を拭いて五枚おろしにしましょう。
(2)ヒラメの五枚おろし
出来れば逆さ庖丁で、両端のエンガワ下に切り込みを入れておきます。
尾の付け根も切り込んでおきます。
中心に真っすぐ切り目を入れます
(中骨に達するまで)
中心の切り込みから包丁を入れ、
骨に沿わせて片側を切り出します。
ゆっくり切り込んで行くと、先ほどのエンガワ切り込み部分と接して自動的に身が離れます(ですから最初にしっかりと切り目を入れておくのです)
裏も同じようにおろします。合計4回繰り返すと、おろし身が4枚取れ、中骨を加えて5枚。これが【五枚オロシ】です。
これでヒラメのサクが4枚できましたが、平目にはご存知エンガワがあります。このエンガワをどうするかでおろし方を変えます。
(4)平目の九枚おろし
焼き物などにする場合は、切れ込みを入れる前にエンガワ部分だけを中骨ごと切り落とします。するとエンガワが2枚、通常におろした身が4枚、中骨1枚の、合計7枚。これが「平目の七枚おろし」。
加熱調理ではなく刺身目的、あるいは大きなヒラメは、通常に5枚におろしてからエンガワを分離します。これだとエンガワ4枚、身が4枚、そして中骨の合計9枚。「平目の九枚おろし」。
(5)平目の三枚おろし
時と場合によってはヒラメやカレイも三枚卸しにするケースもあります。
特に身がプリプリしすぎている〆たばかりのヒラメでやるおろし方。
なぜかと言うと、そういうケースでは「身が暴れる」ので、通常の5枚おろしにすると身が縮れてしまう可能性が高いからです。
中心に切り込みを入れず、そのまま三枚にしてしまいます。
活の場合、こうして三枚にして寝かせた方が縮小したりしないものです。
(大きさ、その他で微妙に違ってきたりしますので一概に言えず、その見極めには経験が必要)
ヒラメの刺身
全部で四枚(エンガワを含め八枚)になった上身の皮を引きます。
皮のキワがしっかり残るように引きましょう
ヒラメは刺身に尽きると思います。よく比較されるタイのほうが料理法は多彩なのですが、刺身の旨さはある意味タイより勝っているでしょうね。
良質のたんぱく質で、特にイノシン酸が多いのが旨さの元。ヒラメの刺身は、他に比較するものがちょっと見当たらない美味さと言ってもよいでしょう。旬のヒラメをしっかり処理した奴の刺身は本当に美味い。
刺身を引きましょう。
包丁をしっかり持って
刃を下から上へ広く使い
「引いて」切ります
丸皿に盛るときは皿を左に回しながら花模様にします。
キモや真子・白子
これは旨いキモ(肝臓)
新鮮で物が良ければ、さしみ醤油に加えると美味いです。
卵も美味しいですので、棄てないで煮付けなどにして食べましょう。
中骨はカレイのように揚げると美味しく食べられます
かれい唐揚げ
ヒラメとカレイの違い
左平目の右鰈
カレイとヒラメの見分け方
ヒラメもカレイも、頭を左にして、内臓のある部分、つまり「腹」を自分の方に向けて置きます。
そうするとヒラメは黒い側が上になり、カレイは白い側が上になります。
このときヒラメは目がありますが、カレイは目がありません。
カレイの目をこちらに向ける為に頭を右にしてみます。
(画像右)
左がヒラメで、右がカレイです。
頭を左にし、背を上、腹を下という一般的な魚の置き方にした場合(魚体を立て、背を上、腹を下にした場合) 、ヒラメの目は上のように「左側」になり、カレイは向こう側(右)になるのです。この事から俗に『左ビラメの右カレイ』と言うのですね。
これは料理において姿盛りにする時の置き方と同じ。
一般の魚は必ずヒラメのように頭を左に向けて盛りますが、鰈だけは例外でして、「カレイの揚げ物」「カレイの煮物」や「カレイの焼き物」などは、上のように頭を右にして盛りつけます。
しかしこれは代表的な「ひらめ」とか「真鰈」などの一般的なものでして、たとえばヒラメ類になのに「・・・かれい」という名の魚もいますし、大きな「ぬまがれい」は鰈なのにヒラメと同じく目が左にあったりします。そうした例外もあるということですが、普通は上の通りにすれば宜しいですよ。
単価が安くはありませんので、おのずと付加価値の高い品にしなけりゃいけません。つまり高級感のある料理ってわけです。平目を「比良魚」という字に変えてお品書きに載せたりとかだけじゃね・・・
コックやってる友人の厨房を覘きに行ったり、評判の洋食レストランでブランチやディナーするのも役に立つって按配なんですよ。和風はもうやり尽くした感がありますんでね。と言っても結局はいつも「温故知新」になる場合が殆どですが。
まあその悩みが料理人の楽しみでもあるんです。事前に献立組むのが普通ではあるんですが、実際にその魚を捌いておろしている過程で料理が閃く事が多いです。