エンガワの捌き
平目のエンガワとは
ヒラメの上下にある鰭の付け根の部分を「縁側」と呼びます。鰭を動かす筋肉です。
形が家屋の縁側に似てますんでこの名で呼ばれてます。
ヒラメ1匹から四枚だけ取れます。
また、エンペラ、ミミ といった言い方もしますね。
(イカの胴体の先の三角形の部分、アワビの縁のビラビラの部分もエンペラ、ミミ という)
昔は食通のみが知る隠れた逸品でしたが、回転寿司で代用品が広まりましたんで、もう知らない人はいないくらいでしょう。
冬場、旨味の増したひらめの縁側は、やはり美味いモンです。刺身がなによりですが、縁側部分を大きく切り取り、炭火で焼き物にしたりもしますし、煮付けの味もなかなかのモンですよ。
回転寿司のエンガワ
ヒラメのエンガワについての笑い話をひとつ
寿司職人の友達、ショウちゃんが、おいらにこう言った。
「魚ちゃんよぉ、おりゃぁもうイヤんなって来たよ。
お客さんがヒラメの縁側くれってんで、はりきって握ったら、《こんなものエンガワじゃねぇ》ってきたもんだ」
おいら笑って言ってやった
「なにいってやんでぇ、こんな真夏にヒラメなんぞ置いてるからそんな目に遭うんだいバカヤロウ」
今やもう定番になっちまった、あの回転寿司でバカ売れしてる白く脂っぽい「エンガワ」
そのお客はそいつが出てこねえんで怒っちまったわけですな。
「本物出せ」って訳でしょう(笑)
見たことあるでしょう。
回転寿司のやつ。
こいつはね、「ヒラメのエガワ」じゃあなく「カラスかれいのエンガワ」
とんだ「本物」って話ですな。(そう断言できないのが「現代」ですけどね)
エンガワのさばき方
ヒラメは最大で10キロくらいになるといいますけど、よく使うサイズは1~2キロの物。ある種の例外を除いて魚は大きくなり過ぎると筋が粗くなり、食味も落ちます。それで2キロ前後の魚が食べて美味しいとされます。
しかし、ヒラメの場合はその例外でして、大きいほど美味しくなる魚(お値段も↑)です。3キロオーバーが望ましく、欲を言えば5キロ以上の大びらめが欲しいところですが、めったにそんな大きいのは獲れません。
たまたま入った大びらめ
5キロ物です
そのおろし身。分厚いエンガワの美味そうなこと。
これはコブジメにしました。
捌きの手順
前ページのひらめ捌き方を参考に五枚おろしにします。
①
5枚におろしたヒラメの身(節)
②少し身に食い込んだ部分から真っ直ぐ包丁する
③切り離した身と縁側
生食するには皮を引いてから
(②の切り離す前に引いてもよい)
焼物などにする場合、平目をおろす前にエンガワ部分だけを切り取る事もあります。