鮎の甘露煮
佃煮や甘露煮って煮物を、「難しそう」という理由で避けてる方も多いんじゃないでしょうか。実は簡単です。要領さえ理解できれば誰にでも作る事が出来ます。
ある程度大量に作る方が味が落ち着きやすい料理ですが、佃煮屋さんみたいに大量に作る事はまず無いでしょうから、作り方も量に合わせて加減すればよいのです。
佃煮と甘露煮の違い
佃煮って言うのは、江戸時代初期に豊臣側との陣に功労があったとしてその恩賞に江戸の漁労権を得た「森孫右衛門」という人が東京佃島に住み、商品価値の無い小魚を味醂としょう油で煮しめて保存食として売り出したのが最初です。現在では小魚や貝だけでなく、野菜の皮や葉(ふき、竹の子、山椒、パセリ等)など範囲も広くなりました。
甘露煮
甘露とは蜜の事でして、つまり砂糖や水飴をきかせてカラメル様に仕上げた保存食です。主に淡水の小魚(ふな、わかさぎ等)を乾燥(干すか、焼く)したものを、水煮(あるいは酒や番茶煮)して、砂糖、しょう油、味醂で煮しめたものです。
甘露煮の作り方
素焼き、素揚げにした小魚を飴炊きにします。さらに酢で煮たり酒をふって蒸してやると、いっそう柔らかくなります。
下ごしらえで水分を抜いた魚を丁寧に並べ(頭を外にした円形がよい)なべ底に竹の皮や笹などを敷きますと焦付き防止になりますし、まんべんなく煮汁が行き渡ります。竹や金属などを編んだ煮崩れ防止用の籠があれば便利です。
並べた魚に酒と水をかけて紙蓋をし、火を入れます。沸騰したら火を弱くして砂糖、水飴を加えます。そのまま甘味を浸透させるためしばらく煮つめます。
煮汁が半分以下になったら醤油とたまりを加え、数分後に火からおろします。そのまま翌日まで放置します。翌日また同じ事を繰り返します。この繰り返し回数が多いほど柔らかに姿良く仕上がります。煮詰まってきたら酒と水を追い足しましょう。
普通の手順で作ったアユの甘露煮
佃煮も甘露煮も昔の保存食として創られたものです、この調理法では栄養価の方はあまり期待できません。しかしその美味しさも含めて、「副食」としての値打ちは充分ですね。小魚類を大量に入手したり、野菜のクズがたまったりしたら、作っておくと一ヶ月は日持ちしますからトライしてみるとよいでしょう。
アユの甘露煮
鮎は塩焼きにしたいものですが、趣向を変えて甘露煮にしてみるのもまたよいものです。今日は我が店の鮎甘露煮の作り方を紹介しましょう。
オリジナルですので、これをそのまま真似する必要はありません。上の基本的な作り方をおすすめします。
鰹節を使うなど特殊な方法を使っており、料理としての目的が少し異なっていますので。こういう仕方もあるという参考程度になさってください
まず鮎を白焼き(素焼き)にします。
*下の様におどり串を打って白焼きしてから煮るケースもあります。
焦げ付かない様に鍋に植物の葉を敷き並べ(煮ザルでもよい)
ここに鰹節削りを大量に入れます。
その上に鮎を並べて
これを三層ほどにします。
この後、酒と水を加え、柔らかくなるまで煮込み、柔らかくなったら落し蓋をして味醂と黒糖を入れ、最後に濃口醤油を入れます。このまま煮〆てもよいのでが、味を浸透させたいので、いったん鍋をおろし半日ほど休ませた後、さらに水飴を加えた煮汁を煮きります。
佃煮、甘露煮どちらも一気に煮詰めるのが普通ですが、一度鍋をおろし「一晩休ませる」のが板前のこだわりと言うか「技」になります。あと醤油は一番あと、出来れば数回に分けて入れます。