ご飯の炊き方
当たり前のように日々炊いているお米ですが、意外と基本をご存知ない方が多いように思います。慣れない方はもとより、ベテランの方も「基本を見直す」ことが大切。どんな事でもそうですが基本に立ち返ると色々な面が見えてきます。
米を洗って炊く
炊飯器の容器(釜)に直接でもかまいませんが、できればボウルに米を入れて洗いましょう。さらにそのボウルとサイズの合うザルがあれば便利です。
・ザルをボウルにはめてそこに米を入れる
・水を入れて底の方から大きくザックリと数回混ぜます
・この水は濁りますのですぐに捨ててください
(グズグズしてると濁った水を米が吸ってしまいます。即座に水を捨てること)
(水を捨てる時にザルをボウルから持ち上げればよいわけで、ザルとボウルをセットで使う理由はここにあります)
・ザルをボウルにはめ新しい水を入れて米を洗います
手のひらの手首に近い部分で揉むようにして洗う
ゴシゴシと20回くらい
※力を入れすぎて米を砕かないように注意
また水が濁りますので捨てます
これを数回、水があまり濁らなくなるまで繰り返す
※現在の米はほぼ機械乾燥であり昔の米と違います。なので強く洗うと砕けて逆に不味いご飯になる可能性があります。強くゴシゴシやらず、水を流しながら汚れを落とすだけという感覚でもかまいません。
・水が濁らなくなれば終わり
終わったらザルをボウルから離して水を捨てます
・きれいな水をたっぷり入れて(米の三センチ上くらいの量)30分くらい、できれば1時間ほど放置して米に吸水させます
・ザルをひっぱり出し、水を切っておきましょう
・炊飯器に移し分量の水を入れてスイッチを入れましょう
・炊きあがったら濡らしたシャモジで底の方から大きくかき混ぜます
・混ぜる事で余分な蒸気が飛び、ふっくらご飯になります
※自動炊飯器の釜で米を洗うと、米に擦れて底に細かい傷が出来、そのため熱伝導率が悪くなり上手く炊けなくなってしまいます。面倒でもボールで洗うようにしましょう。
水の分量
炊飯器に付属したカップで計りましょう。
計量カップが無いときは、基本的に水は米と同じ分量にします。
《カップ1杯の米にカップ1杯の水》
しかしこれでは少しかために炊きあがりますので、そこに少し水を足します。一般的に水は米の1・2倍が良いとされています。
目分量ですと、水を張った釜に手を入れて、手のひらで米を水平にして押えた時に、手首の付け根くらいの水がちょうどよい水加減になります。
米がそれほど良いものでない場合、お猪口一杯ほどの酒を足して炊くとツヤがよくなる場合があります。
米は炊き上がってご飯になると、ちょうど倍の分量になります。
(正確には2・2倍弱)
一升を炊くと三キロくらい、2合の米を炊くと約650グラムのご飯になります。目安にして下さい。
水加減を間違えて炊いてしまった
あきらめる事はありませんよ。
下の方法を試してみて下さい。
水が多すぎてベチャベチャに
①平皿などに広げラップ無しで電子レンジ加熱
②そのまま布巾をかぶせ30分放置
③再び炊飯器のスイッチを入れて炊く
水が少ないか、浸水が悪く、ご飯に芯がある
・とても硬い場合
水を足し酒を振りいれてもう一度炊き直す
・少し固いか、芯が残る程度
お猪口の2杯程度の酒をふりかけて炊き直す
あまったご飯
保温しておいても半日でパサついて不味くなってしまいます。
翌日には変色。保温はせいぜい2時間くらいが限度でしょう。
残り飯は保温せずに、容器に取って完全に冷ましたほうがいいです。
それを炒飯・ピラフとか雑炊にした方が美味しく頂けますよ。
あるいは、ほかほかで美味しいうちに冷凍してしまいましょう。
一食分ずつ茶碗に移し、上からラップをかけてひっくり返してラップします。隙間無くラップしたら中央を押えて少し平らにします。それをフリージングの袋に入れて荒熱が取れたら冷凍庫へ。
食べる時はラップのままレンジでチン。
「解凍」を使わずそのまま加熱して下さい。
時間は1分30秒~3分くらい
(電子レンジで違う場合有り。冷たいなら再加熱)
→マズイご飯を再生
炊飯その他
・「釜返り」とは?
蒸らしが終わったらすぐにフタを開けて、しゃもじを使い、ご飯を底から返すようにざっくり混ぜること。
これは、内部の「蒸気」を外に追い出すのが目的です。
蒸気は冷えると水滴となりご飯を濡らす。
なので迅速に蒸気を出すのです。
蒸らす時間は10分程度。
・撮影などでご飯をツヤツヤに見せる為「寒天」を加えて炊く
(もちろん食べられます)
・残った赤ワインを炊飯の水に加えて炊くとおもてなしご飯が
自動炊飯器以外で炊く
「はじめチョロチョロ、中パッパ、ブツブツ言ったら火を引いて、赤子泣いてもフタとるな」
これは昔からの炊飯のコツを教えた言葉です。
はじめは弱火で米の中心まで火をじっくり入れてから強火にし、煮立ったら火を落として本格的に炊くという意味です。手順は次のようになります。
1)ザル揚げで吸水させた米を鍋に移す
2)水を入れて米の表面を平らにする
3)蓋をして中火にかける
4)中火で2分、そのあと強火に
5)沸騰したら弱火にする
6)木製などの重い蓋をする(又は重しを載せる)
7)約15分そのまま炊くと、ナベ底から金属音がしてくる
(この音は水が米に回りきって失くなった合図で、炊きあがり)
9)この時に10~15秒ほど最大火力の強火に
(おこげをつけるためです)
10)火を止めて、そのまま10~15分蒸す
11)濡らした木杓文字を鍋肌に沿うように入れ、上下を返す
(細かく混ぜると粘りが出るので大きく返し、空気に触れさせる)
12)木のおひつがあれば移し、布巾をして蓋をする
(なければそのまま茶碗にこんもりと盛る)
炊きあがった時点でさらに「焼く」過程を加えるのが「おこげ」
最後にワラをひとつかみ加えるという訳です。
これで鍋肌の部分のご飯が「お焦げ」になり、メラノイジという成分がとても良い香りになってご飯を美味しくします。
自動炊飯器でオコゲを作る場合、スイッチが上って約10分後に再びスイッチを入れるとオコゲが作れます。
最後に木のお櫃に移し、木肌に余分な水分を吸わせると同時に空気に触れることでより一層美味しいご飯になります。
簡単に言えば、「20分加熱して、20分蒸らす」だけのことです。
不思議なことに例外をのぞくほとんどの食材が「20分加熱」で中心まで火が入ります。米粉で作る和菓子はもちろん、カニから魚までこれは共通。科学的には単純なことなんでしょうが、やはり面白いですね。
もち米を炊く
もち米は白米同様に洗って12時間ほど水に浸けておきます。
水の量は米の上3センチくらいでいいでしょう。
浸けたもち米をザルにあげて30分くらい水きり。
蒸し器を沸かしておきます。
蒸し器に布巾を敷いてもち米を平らに広げる。
フタにも布巾をはさみ、20分蒸します。強火で。
途中で打ち水をします。右手に水を握るようにして三回ほど。
もち米を持ってみて潰れるようならOK。
布巾ごと平たい盆ザルなどにおいてうちわなどで冷ましましょう。
※もち米のみを蒸したものを【白蒸し】と呼びます。
「おこわ」が赤飯。
白蒸しに黒豆を加えたものと、赤飯を弔慶によって使い分けます。
昔の赤米は「強飯(こわめし)」といい、炊いた白米よりもこちらが主食でした。
→おこわ
炊飯で大切なこと
コメは炊く1時間前に洗うのが基本
これは水分を芯まで吸収させてデンプンのアルファー化(糊化)を助けるためです。分かりやすく言うと「芯の残ったご飯にしないため」だとお考え下さい。夏場で30分前、冬場は1時間前に洗ってザルにあげて置くのが基本です。
ザルで水切りする前に水に浸けておくかどうかはコメの種類などで変わります。その方がうまく炊ける米(たとえば無洗米)や、反対に浸水させない方が良い新米など。これは調理人の考え方にもよりますが、料理目的やその米の表示(説明)にしたがって下さい。基本的に浸水時間が長いほど柔らかくなります。どのようなご飯に仕上げたいかで調整してください。
※一般的な炊く前の浸水時間
夏場が30~1時間
冬場が1~2時時
※米が硬いほど浸け時間は長く(つまり新米は短く)
※浸水なしで炊く場合「酒を少量」か「サラダ油を少量」
(いずれも大さじ1~2程度)
これでいくぶん柔らかに炊ける
(ただしこの方法は急ぎの時以外はやらない方がいいです)
水加減
乾燥した生米は急速に水を吸います
(なので最初の水はすぐに捨てないとヌカ臭くなる)
洗うだけで水を吸い、カップ3の生コメは洗った後カップ4ほどに嵩が増える。(これが洗い米)
洗う前の米と同じ量の水で炊くのが基本です。
鮮度の落ちた米は乾燥が進んでいます。なので、2割水を増やします。
他の材料から水分が出る「炊き込み」、酢を加える「寿司めし」は、やや水を減らします。
すし飯は同割、炊き込みは材料次第で0・9~1・2ほどに調整して下さい。
炊飯の科学と「急速 湯炊き」
1、加熱→対流→水がムラなくお湯になる
2、米表面のデンプンが溶ける→対流が止まる
3、コメ中心まで糊化が起きる
4、水は水蒸気になり米が蒸らされる
5、全ての水は糊化によって米に吸収される
6、α化が終わり、自由水(液体の水)は消滅する
1~6の流れがいわゆる炊飯。
米のβ-デンプンを水で加熱し結合水にすることでα化させる作業です。
米のデンプンをα-デンプンに変えればいいわけです。
その条件は大量の水を95℃以上に加熱すること。
必ずしも「水から炊かなければいけない」という条件はありません。 なので「湯から炊き」も可能なのです。
湯炊き
1、通常よりも2割程度増量した水を沸騰させる
2、洗米を沸騰湯に入れる
3、再度沸いたら弱火にして炊き上げる
この方法は急にご飯が足りなくなった場合の緊急手段。
どんな方法を使っても米のα化には「15分必要」
普通に炊いたほうが美味しいのはいうまでもありません。
<<米の選び方
炊きたてご飯の美味さに匹敵するものは、ちょっと他に見当たらないほど
香り良いご飯の秘密はお焦げ
ご飯を一番美味しく炊けるのは、やっぱり土鍋です
※炊飯器具にはまだ上があります。
興味のある方はこちらを覗いてみてください
飯炊きの羽釜