食べ物の悪い組み合わせ
悪い食べ合わせというのは、昔から民間伝承的に云われているものが多数あります。多くの場合根拠の分からぬ迷信のようなものですが、なかには「それは確かにそうだ」と思える言い伝えもあります。
ここで紹介していますのは、そういう民間伝承に基づくものではなく、あくまでも「栄養学的によろしくない」という事例です。
例えば、貧血気味の方は特に、健常な人でもできるだけ、「食事をしながら緑茶、コーヒー、紅茶を飲まない方が良い」といわれます。その理由は、食事から摂取した鉄分の吸収を、タンニンが妨害してしまうからです。
この反対に、クエン酸とビタミンCをたっぷり含む搾りたてのオレンジジュースは非常におすすめです。
クエン酸やビタミンCは鉄分の吸収を助けるからです。したがって特に女性は食中飲料としてオレンジジュースを飲んだほうが良いわけです。
コーヒーやお茶は食後に飲んだほうが、さっぱりして美味しいし、理にかなっているのですね。
以下で紹介している悪い食べ合わせも、「絶対にいけない」というほどのものではなく、栄養的にはこうですよ、といった程度の意味でしかありませんが、知識の一部としてお役立てください。
悪い食べ合わせ一覧
牛乳と枝豆
枝豆や胡麻や玄米にはフィチン酸という機能性成分が豊富で(殻に多い)、これは強い抗酸化力があり、おすすめしたい成分です。大腸がんの予防にもなります。 しかし、このフィチン酸はミネラルの吸収を邪魔してしまう性質があります。とくにカルシウムと強く結合してしまうので、ただでさえ足りないといわれるカルシウムの吸収率が低下します。 カルシウムの補給の筆頭は吸収率も良い牛乳ですけども、フィチン酸との同時摂取はこれを無意味にしてしまいかねません。これはチーズなどの乳製品も同じです。 ただ、玄米の場合は「発芽玄米」を選べば大丈夫です。フィターゼという酵素を使い、このキレート作用の問題をクリアさせていますからカルシウムもちゃんと吸収されます。 |
牛乳とトウモロコシ
季節のトウモロコシはとても美味しくて栄養も豊富で、おやつに出すことも多いかもしれません。でも、同時に冷たいミルクを飲むのは良くありません。牛乳の成分がトウモロコシの食物繊維で排出されやすいからです。この組み合わせにするときは、加熱調理にするとよいでしょう。 |
牛乳と緑茶
この組み合わせは、「抹茶ミルク」などでよくみかけますが、これは牛乳のタンパク質カゼインの吸収を悪くしてしまうのです。 茶のタンニンがカゼインと結合してしまうからです。 |
牛乳とアンズ
牛乳とアンズを組み合わせたスイーツが結構あります。 これは栄養的な意味では良くないですね。 アンズにはタンニンが多く、これが牛乳のタンパク質とケンカをしてしまうのです。消化も吸収も悪くなり、胃が荒れてしまうことになるのです。 |
牛乳とチョコレート
牛乳に含まれるカゼインは、チョコレートのカカオマスポリフェノールと結合するとカルシウムやナトリウムの吸収を阻害してしまいます。 |
ヨーグルトとスナック菓子
子供のカルシウム不足を心配して、おやつにヨーグルトを使う方も多いようで、これ自体は良いことです。 しかし、スナック菓子を同時に出す場合は、その菓子の表示を必ずチェックしなければいけません。市販のお菓子には必ずというくらいリン酸塩が添加されているからです。 ヨーグルトのカルシウムは腸内でリン酸カルシウムになり、吸収され難くなってしまいます。 リンはありとあらゆる食品に添加されていますので、ただでさえて過剰になっているものです。カルシウム不足の心配よりも、リンの過剰を抑制した方がよいのですよ。リンはカルシウムと1:1を保とうとしますので、いくらカルシウムを補給してもリンが多いとカルシウムは機能を失ったり排出さたりし、まったく意味がなくなります。 |
ニンジンと野菜ジュース
健康野菜の代表ともいえるニンジンを野菜ジュースに加えるのは常識のようになっていますが、これは少し注意が必要です。
ニンジンの酵素、アスコルビナーゼが、ビタミンCを破壊してしまうからです。この酵素を失活させるには少量の酢が効果的なので、まずニンジンだけをジューサーに入れて酢を加え混ぜておくとビタミンCの破壊を抑制できます。 また、大根のビタミンCも同様に壊してしまうため、和食の定番である「紅白なます」もダメなように思いますが、ナマスは酢の物ですので問題をクリアしているのです。 |
カフェインとレモン
この組み合わせですぐに思い浮かべるのは「レモンティー」 何がいけないのかというと、レモンに残留しているポストハーベスト(防カビ剤)です。この防カビ剤と紅茶のカフェインが反応して発ガン性物質を生じるからです。つまりレモンが輸入モノであることが問題なのです。防カビ剤さえなければ良い組み合わせなんですが。 |
レンコンと大豆
レンコンと大豆といえば、両方ともお惣菜によく使われる食材ですね。スーパなどの惣菜コーナーでも煮物などに使われているのを見かけます。 2つとも栄養豊富で優れた食材なのですが、この2つを同時に食べると、せっかくの栄養が台無しになってしまいます。レンコンが大豆の鉄分などの吸収を阻害しますし、腸内の環境が悪くなります。これではレンコンの食物繊維が無意味になってしまいます。煮豆やおつまみの枝豆などを献立にするときは、レンコンの料理を避けましょう。 ちなみに、レバーなどもレンコンによって栄養素の吸収が悪くなります。 |
エビとビタミンC
エビの料理にはレモンが添えられていることが多いですね。実はこれ、とても良くない組み合わせなのです。 エビに含まれる銅がビタミンCを酸化させますし、ビタミンCと反応して毒素が発生する成分もあるのです。 エビフライやシュリンプ・カクテルなどに添えてあるレモンを絞らないようにしましょう。 |
カキと海藻
生牡蠣などに豊富な亜鉛は、その機能性の多様さから注目されているミネラルです。 ところが、亜鉛の吸収を妨げてしまうのが海藻類(ヒジキ、モズク、ワカメ、コンブ、海苔など)です。これらの食物繊維が亜鉛を排出してしまうのです。 |
ハムとジャム
トーストサンドなどでみかける組み合わせですが、両方とも添加物がネックになります。ジャムの保存料であるソルビン酸が、ハムの発色剤亜硝酸ナトリウムと反応して、発がん性物質を生じてしまうのです。 それぞれの添加物は「大丈夫。安全」ということで認可されているわけですが、こういう組み合わせは「想定してない」ということらしいですね。 ハムとソースの組み合わせも危険ですので憶えておきましょう。 というか、添加物を極力減らしたハムを購入すればこうした問題は起きませんので、添加物だらけのハムを避けたほうが早いですね。 |
お茶と黒糖
黒糖を茶うけにしている方は、お年寄りを中心に全国的に多いものです。カリントウでしたらお年寄りでなくてもお茶と一緒に食べている人もいるはず。 この組み合わせは貧血になりやすい女性には良くないですね。 黒糖の非ヘム鉄が、お茶のタンニンと結合して「タンニン鉄」になり、吸収され難くなるからです。 |
お茶とプルーン
ドライプルーンは食物繊維豊富であり、抜群のミネラル源で、とくに鉄の補給が女性にとって嬉しいところ。 ところが、上の黒糖と同じくお茶と一緒に食べるとタンニン鉄になってしまい、吸収され難くなってしまいます。 コーヒー、紅茶、緑茶などと一緒に食べるのは避けましょう。 |
ウメとアンズとビワとモモ
こうしたバラ科植物の果実や種子にはアミグダリンという成分が含まれています。この成分は「青酸中毒」を引き起こすことで知られます。名前からして恐ろしいですが、実際に最悪の場合は死に至る怖い中毒なのです。これらを同時に食べるのはリスクがあることを憶えておきましょう。 |
納豆と卵白
納豆と卵の組み合わせは定番ですね。しかし生卵は良くありません。納豆にはビオチンという健康成分が多いのですが、卵の卵白にあるアビジンがビオチンの吸収を阻害してしまうのです。 卵を加熱して白身が固まるとアビジンは作用を失いますので、温泉卵なら問題ありません。生卵なら卵黄だけにしておきましょう。 |
ダイコンと魚
「しらすおろし」などは美味しいですし、サンマに大根おろしは欠かせません。ところが、この組み合わせは良いことばかりではなく、魚に含まれる必須アミノ酸のリジンを諦めるしかなさそうなのです。ダイコンの成分がリジンの吸収を阻害するからです。だだし、加熱調理すればこの成分は働かなくなります。 また、大根おろしには亜硝酸ナトリウムも含まれていますので、焼きサンマのジメチルアミンと反応して発がん性物質を生じる組み合わせでもあるのです。これはレモンのビタミンCで予防できますからレモン汁は不可欠と言えましょう。 また、市販の漬物にも亜硝酸ナトリウムが添加されていますので、できればサンマの塩焼きと合わせない方がいいでしょう。 |
馬刺と夏野菜
馬肉は脂肪分が少ない肉として評判が上昇しているヘルシー素材です。「桜肉」とか「蹴飛ばし」などとも呼ばれ、刺身の美味さは定評があります。 ただ、馬肉は体を冷やすとされていますので、同じような効果がある夏の野菜(ウリ類やトマト、ナスなど)とか夏のフルーツとは食べ合わせない方がよいです。 馬肉、豚肉、カニなど「体を冷やす系の肉」は、ネギ、ショウガ、ニンニクなどと合わせると冷え過ぎを予防できます。 |
カニとフルーツ
「カニを食べると体を冷やす」 これは古くから知られていました。したがって消化吸収され難く、胃腸に負担をかける食材です。これを緩和する意味でも食中毒予防の為にも、酢や生姜などと一緒に食べるわけです。 体を冷やすといえば、スイカ、メロン、キウイフルーツなどのフルーツ。野菜のキュウリやトマトも同じです。ほとんどが「夏物」ですが、柿も要注意です。柿そのものは「医者いらず」といわれる程の健康果物ですけども、そのせいでしょうか、体を冷やすことも有名です。 とうぜんですが、これらとカニの組み合わせは良くありません。相乗効果で冷えすぎてしまい、お腹をこわすコンビです。 ちなみに、体を温めるお酒はこの逆になり、おつまみ系はキュウリなどの体を冷やすものが良くなります。体を温める刺激成分(カラシやニンニクなど)と酒を合わせると、人によってはアレルギーなどを発症する可能性があります。 |
ウナギと桃
夏の定番といえばウナギの蒲焼き。夏から秋に旬を迎えて脂がのるウナギは美味しいものです。 ウナギとの食い合せといえば、昔から「梅干と一緒に食べるな」という伝承が有名です。ところが有機酸は有機酸でも、梅干のクエン酸ではなく、モモに含まれる有機酸がウナギとの相性が悪いのです。 桃の有機酸は脂肪の吸収を妨げる性質があるため、脂のあるウナギとの相性は最悪。夏バテ克服のために食べたはずのウナギが、消化不良で逆に疲労するという結果になるかもしれません。 あまり聞いたことがない組み合わせですが、両方とも夏の食べ物ですので、蒲焼きの後のデザートが桃ということがあるかも知れません。憶えておきましょう。 |
ホタテの刺身とイクラ
この組み合わせは海鮮丼などでよく見ます。 しかし、イクラのビタミンB1を失うという意味で、良くないコンビです。 ホタテやアカガイなどの貝にはアノイリナーゼという酵素があり、この酵素がビタミンB1の吸収を阻害してしまうのです。 このビタミンを強化した米が「強化米」ですが、これも強化した意味が薄くなるので、アカガイやホタテの刺身との相性はバツです。 だだし、この酵素は加熱によって失活しますので、さっと加熱すれば何の問題もありません。 |
ビールと揚げ物
唐揚げとかフライドポテトはビールの格好のおつまみですが、これはメタボ一直線の悪い組み合わせです。 アルコールは肝臓で分解されますが、そのときに脂肪を作る酵素も発生させるので、油物を同時に食べると中性脂肪が増加しやすくなってしまうのです。 |
ギンナンとアルコール
秋の味覚ギンナン。茶碗蒸などで年中使われていますし、和食に欠かせない食材ですね。 銀杏には色々と特殊な健康成分があるのですが、一方で中毒を起こすことも知られています。 ギンコール酸などの成分で皮膚に炎症が起きる症状と、MPNというビタミンB6の類縁体が引き起こす急性ビタミンB6欠乏症とでも言えそうな症状(腹痛、嘔吐、下痢、痙攣、呼吸困難など) こうした中毒は5粒以上を子供が食べた場合に起きやすいとされますが、大人でも酒の肴として炒り銀杏などをつまんでいると発症する可能性があります。アルコールによって解毒機能が低下しやすいのです。 |
ホウレンソウのバター炒め
ほうれん草のバター炒めは、素早く作れる酒の肴として昔からの定番です。しかしこれにベーコンを加えているケースが多いのが気になります。 ベーコンは添加物のかたまりみたいなもの。特に気になるのは発色剤の亜硝酸ナトリウムです。ハムやソーセージも同じようなもの。 亜硝酸ナトリウムがほうれん草の硝酸と反応して、発ガン性物質のニトロソアミンが発生する可能性が高まるのです。それに加えて、ベーコンに添加されているリン酸塩がほうれん草の鉄分の吸収を阻害します。 バターに添加されている酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン)も亜硝酸ナトリウムと反応して発ガン性物質を生成します。 非常に悪い組み合わせだといってもいいでしょう。 また、ホウレンソウは硫黄とも相性が悪いので「ゆで卵」との組み合わせも良くありません。鉄の吸収を硫黄が阻害するのです。 |
グレープフルーツとアルコール
グレープフルーツは肝臓の解毒作用を低下させる成分が含まれています。 グレープフルーツと焼酎の組み合わせが居酒屋などの定番になっていますが、酒は言うまでもなく肝臓に負担をかけますし、グレープフルーツは肝臓の働きを邪魔します。悪酔いコースになりすいということです。人によっては急性アルコール中毒の可能性を高めるでしょう。 また、炭酸が加わることでさらに肝臓機能が落ちますので、「生グレサワー」などは肝臓を痛めやすいドリンクだといえましょう。 |