身卸出刃→【柳出刃】【柳身卸】

  

柳出刃・柳身卸

身卸柳包丁



柳出刃包丁とは?

いつぞやの記事のコメにて共同執筆者の鯔次郎†氏が、
「おりゃあ『柳身卸包丁』を買うが何か文句ある?
あったら言ってみやがれコンチクチョウ」


みたいな乱暴極まりないレスをお書きなりました。

おいらは面倒くさくなってしまい、柳は柳、出刃は出刃!
意味のわからネェこと書いてんじゃねぇトウヘンボク。
みたいな返事を書きました。

ですが心のどこかにひっかかっておりました。
(ゴメンね鯔ちゃん。冷たい返事書いて。。 笑)

出刃庖丁には「本出刃」の他に「相出刃」「身卸出刃」その他「鯵切」「貝裂」など色々な種類がございます。

要するに「身卸庖丁」とは出刃庖丁の一種です。
本出刃→相出刃→身卸出刃と順々に庖丁の丈(元幅)が細くなっていく。

この身卸出刃の造作によってこれを『柳出刃』と呼ぶ事があります。



京都稲荷山 刃物フルタさんの柳出刃

早い話、魚を捌き、刺身を引くのに、出刃と柳2本を使わずとも、これ1本ありゃ両方できちゃうっていう便利庖丁。これは釣り人にはとても便利かも。本職の漁師は究極系の〔これ一本〕である「間切包丁」なんてのを持ってるんですが。

ではこの庖丁は柳なのか出刃なのか?

「出刃庖丁」です。
庖丁屋さんがどう呼ぼうと、これは出刃庖丁。

まぁ、今は板場のニーズに合わせ庖丁屋が色々な庖丁を造るご時勢です。例えば「和牛刀」とか「和ペティ」とかです。

柳と出刃の合の子があったとて珍しい事ではありません。
魚によっては本出刃や相出刃よりもこちらがサバキ易いケースもあります。このような応酬によって鰻裂やら泥鰌裂やら骨切などが誕生して和庖丁は40種類にもなってきたのでしょう。

身卸し柳の使いみち

身卸し柳(別名 柳出刃)は二本持ってましたが、あまり使用することはありませんでした。この包丁の中途半端な仕様になにやら抵抗があり、どちらかと言えば関心が薄い包丁でした。まあタマに鱧や鰆を捌いたり。

二本のうち一本はページ上の安来青二鋼の本焼。
もう一つがこのV鋼です。

鋼材の成分はC(炭素)1.0%、Cr(クローム)15%、Mo(モリブデン)1.0%、V(バナジウム)0.2%、Co(コバルト)1.5%。つまりV金の10号です。もともと非常に硬い上に、粘りも増強、しかもCr15%なのでほぼ錆びることはありません。早い話、ステンですので。

色々と使ってみたところ、下のような作業に合う気がしました。

つまり「小物のおろし」です。
出刃の厚みと丈が無いぶん「かかり」が少ないからです。

虎フグでもキロに満たない小さなサイズだと捌きやすい。


このまま包丁を変えずに皮引きまでやれるのもいい。

しかし「包丁の重み」を利用するサイズの魚、要するに2キロクラス以上のものになると適しませんね。そうした魚はやはり出刃包丁を使うべきでしょう。

使い方一つでしょうな、結局どんな庖丁でも。


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