刺身の切り方初級編
刺身の切り方の基本的「平作り」と「そぎ作り」
そのコツを紹介します。
下はサク(節)取りが済んだおろし身。
カツオ
ハマチ・カンパチ
イカ
タコ
サンマ
刺身は、このおろし身から始まります。
→おろし方
小型なら三枚におろし(使う身は2枚)
中・大型なら五枚におろす(身は4枚)
おろし身が大きすぎたり形が歪なら、刺身を切りやすい長方形のサクに。
そして皮を引きます。
※オロシのどの段階で皮を引くかは決まっていませんが、サクにしてからの方が一番引きやすい。また、皮つきのまま刺身にする「銀皮造り」「八重造り」「湯引き」「焼き霜造り」などもあります。
節やサクの形が良いと、刺身の仕上がりも良くなります。
では、刺身を切ってみましょう。
刺身の切り方
プロは様々な工夫を凝らす場合も多いのですが、ご家庭等で刺身を引くなら、次の二種で必要にして充分ですね。板前も通常はこの二通りの切り方で間に合わせてます。
引き作り(平作り)
基本的に高い方を向こう、低い方を手前にサクをおきます。
※何かの理由があれば高い方を手前にしても構いません
刃を肉に当てたまま、包丁の根元から刃先まで「包丁の切れ」を使い一気に引き切りにし、刃の先でそのまま右に振って並べていきます。
左の指先は出さないように折り曲げ、そこに包丁を当てるのが基本です。
この様に左の指を伸ばしてはいけません。
刃元から切り込んで引きますと、最後に刃先がまな板に接することになりますね。この時点で下まで完全に肉を切断します。刃先がまな板に当たった瞬間、包丁を右に倒してそのまま切り身を右側に送ります。
直線に並べるように意識して送ってください。
※刺身の切り方は長い刺身庖丁を弓のような曲線に使うのがコツです。刃の根元を入れ、刃先を使って切り離す、この作業を半月の弧を描く様なイメージで行うのです。
※こうして右に送る切り方を【重ね造り】または【平造り】と呼ぶ場合もあります。正確に言うと【引き作り】は右に送らず身を切り離すのみの作業です。つまり両者は別にすべきなのですが、ここでは同じものとして紹介しています。そのへんは次の項で説明します。
そぎ作り(へぎ作り)
この切り方は板前が多用する方法です。
どちらかと言えば初心者向けではありません。しかし新鮮な白身の魚などはこの切り方をするしかなく、刺身を作るに必修でもあります。
包丁の刃と、左手の指腹で切り身を挟む感じで引き切ります。
身のしっかりした白身に向く切り方。弾力をころさない為に繊維にそった順目切りが適しています。洗いにする場合もこの切り方をします。極薄く切れば薄作り・フグ作りになります。
刺身を上手に切るコツ
刺身のポイントは二つ
1 包丁が切れること
2 右手の人差し指
2を少し説明しましょう。
刺身包丁(柳刃・蛸引き)は、刃全体を使い引いて切るために細長く作られています。(押し切り、ノコギリ切りは下の下です)
この包丁の特性を活かすには、握り方が大切になります。
人差し指を包丁のマチから真っ直ぐ伸ばし、ミネにしっかり当てる。
残りの親指を含む四本の指でしっかり柄を握る。
これが基本なんですけども、うまく刺身が切れない最大の理由。
それは、
『人差し指に力が入っていない』ことです。
何の為に人差し指を庖丁の峰に当てているのか。ここを考えてみて下さい。そして刺身を引くときに、神経を人差し指に集中させて力を込めてみて下さい。ウソの様に上手に切る事が出来ますよ。
人差し指に力を込め、腕、肩、肘の力は抜く
この力加減が最も重要なのです。
なぜか刺身包丁の構造を忘れ、棒でも握るような加減で「力で切ろうとする」 これは本職の板前でも初心者がやってしまう事です。柔らかい赤身ならそれでなんとかなっても、身に弾力がある白身を一発で切るのは無理。それでノコギリ引きしてみたり押切りしてみたり。出来上がりは当然ひどいもので、とても刺身と呼べないシロモノに。
人差し指が遊んでいるからそうなるんですね。
そのことを意識するだけで、格段に上達するという意味にもなります。
あるていど庖丁に慣れて、刺身作りに興味を深め、もう少し上手になってみたい、そして家庭に訪問するお客様に出しても自慢できるお造りを切ってみたい、そんな方の為に、次のページでは基本にして応用も可という、日本料理お造りの基本的刺身技法を紹介しますので御覧になって下さい。