冷凍マグロのおろし方②中トロ大トロ
マグロの背と腹に鰭がありますが、その付け根部分は骨状に硬い筋の塊になっていますので、サクにする際にここは取り去ります。
途中まで庖丁で皮を剥ぎ、この箇所は指で外しましょう。
この部分を下にして皮を包丁で剥ぎ、ひれ下骨に達したら指を入れます。力を入れてベリベリと皮ごと引きちぎって下さい(包丁でやるとうまくいきません)
これだけは食べてもしょうがない構造ですので使い途がありません。
中トロのサクドリ
中トロ部分の切り出しは下の様に生マグロと基本は同じです。
違いは、冷凍の場合先に皮を包丁で剥いでおくこと。
皮の取り方このような感じです。
(これは大トロです)
分れ身(エンガワ)
これは先ほどのヒレ根画像ですが、白く大きな筋が見えますね。
画像の下二本がこの部分でして、ここを【ワカレミ】と言います。(【背トロ/三角】とも呼ぶ)
脂はありますので、筋を避けて刺身にすれば中トロとしての値打ちは充分あります。
血合いぎし
分れ身の反対側の端が「血合いぎし」になります。
ここは悩ましい部分でしてね、食べて非常に美味い場所なんですが、半分以上は血が入ってますんで寿司ネタにも刺身にも出来ません。
血の線にそって包丁を入れます。
向こう側は良い中トロとして使えますが、手前の部分は血が入って実用サイズにできません。
もったいないからと変なサクにし、「血を移して」はいけません。血の入った手前部分はあきらめて、向こう側を生かすようにしましょう。血を避けてスプーンなどでひっかいてかき身にするか(ネギトロなど)、加熱調理に回します。
※冷凍のマグロは解凍するほどに血が広まり、鮮血は身に浸透しマグロの色を損ないます。黒く染まった身を食べられない訳ではありませんが、真っ黒になったマグロの刺身には誰も食欲が湧きません。
大トロのさばき方
このような大きさであればサクドリも楽なのですが
大間のマグロ
いつもこんな高いモンばかり使うことも出来ないでしょうし、近年の冷凍マグロはサイズがダウンしています。で、小さいのは骨などを除くのが少々面倒になります。
画像の上にあるのが「カマ下」
大トロの中でも一番美味い部分。
冷凍マグロは先に皮を取ってしまいます。
腹上の先端部分は太い筋が走る所謂「ハラモ、砂摺り、蛇腹」になっています。筋の方が多い先端はカットしてしまいます。
皮を剥く前でも
皮を剥いでからでもかまいません
状況で判断してください。
※この部分は解凍してしまうとビロ~ンとした蛇腹になってしまいます。寿司ネタに切る場合逆目にカットするとバラバラになって握れないし、順目にすれば筋が当たります。切り付けには注意しましょう。順か逆かはマグロの状態などで判断します。
腹腔粘膜(腹の皮)を切り取りとれば、大トロのサクに。
次にハラモと中トロに挟まれているトロのサク。
ここは所謂スペアリブですんで、下半分に赤が混じり中トロ状態で上は骨が深く入ってるっていう困ったサクです。
中トロとして扱うか大トロとして扱うか微妙になってきまして、だいたいの職人はここを骨だけ掃除して先端を大トロとして切り、後半分を中トロとして切ります。
しかしですな、こうして大きく縦半分にカットすれば、全部を大トロとして使えます。
困るのは、この中央付近まで入り込んだ硬い骨。SPARERIBS状態。
骨当りで抜くのは無理ですし、半分以上の深さにありますので骨だけ取り去るしかありません。骨の走る向きを指で確認して包丁で切り取ります。
ここは筋引きかペティを使った方がよいでしょう。
先の方に反対側から平たい骨が一本走っています。
この骨を切り取りますと、イビツな切り込みが入りまして刺身にしろ鮨種にしろマトモな形にはなりませんので、切り落として骨を外します。この先端部分はそのまま食べるにはキメが荒すぎますしね。
切りつけ
通常はこれをネタに切ったり刺身に切ったりしますが、どう切ったところでこのデコボコの形は残ってしまいます。
その部分は値段を下げるなら穴ボコでも良いかも知れませんがね、大体は大トロと同じ値段にしてますな。
こりゃちょいと変ですな~
和食ってのは「見た目も料理の内」なんですよ。
失礼ですよねこれじゃ。
骨すき包丁で骨を除いた豚バラ肉と違い(これは煮込み料理がメイン)、生で出す刺身や握りは見た目の華が重要です。
おいらはこのデコボコも根元から「直線」ですわ。
まっすぐなサクにしてから切ります。
だいぶ細くなりますが、デコボコ歪よりはその方が良いからです。
① マグロのおろし方(1)(めじ)
② マグロのおろし方(2)サク
③ 冷凍マグロのサク取り(1)赤身
④ 冷凍マグロのサク取り(2)トロ
⑤ オチとネギトロ
⑦ マグロ刺身の切り方
マグロの種類など