さざなみ切り
刺身の切り方は、細分すれば数十通りもあります。しかし、大別すれば次の三種に収斂すると考えてよいでしょう。
1 引き造り
2 そぎ造り
3 糸造り
この三種類でも、例えば引き作り(平造りともいう)の中に、一文字造りや八重作り等色々あるわけです。フグの刺身をひく時は、そぎ造りの一種である、薄づくりの「ふぐ造り」で拵える、といった具合です。
今回は「そぎ造り」の一種、小波切り(さざなみ作り)を紹介しましょう。(たんに波切りとも呼ぶ)
小波切りの意味
ゆでタコとかアワビ・ツブ貝などの刺身は身質がコリコリとして硬く、それが持ち味でもあります。しかし表面がツルツル・スベスベしてますよね。
これは箸で持ちづらく、しょう油が刺身にからみ難いって事にもなります。
それで表面を凸凹ギザギザにして刺身を引いて、切り身に細かく波状の形をつけるという包丁ができました。滑りを防止し、食べやすくなったというわけです。
切断面がボコボコになり洗濯板のようになるさざ波切り
波切り(浪切り)
さざ波切りは文字通り、波が小さく細かいのが特徴ですが、波の間隔を大きく広くしてやる切り方があります。これは飾り包丁の一種で「なみ切り」(浪切り・波切り)と言います。
この切り方を最も多用するのは「かまぼこ」でして、あとはこんにゃくとか厚焼き玉子あたりでしょうか。その系統のものであれば何にでも応用できます。
玉子の波切り【扇面切り】
小波切りのやり方
小波作りのコツは、柳刃包丁の切っ先を使い、持ち手を細かく左右に振動させながらゆっくりと引き切る様にする事ですね。これは寿司屋もよく使う包丁技法です。
タコのさざ波切り
アワビのさざ波切り
これは鮑と同じくコリコリが美味しいマツブ貝の小波切り。
ホタテの貝柱と違い、固くてつるつるしたタイラギの貝柱をさざ波包丁して握ったもの。
タイラ貝のさばき方
少し分かり難いですが身に細かくギザギザの波が入ってます。
動画を御覧下さい。タコのさざ波切りです。まずは蛸足の「水かき」を取っ払ってから小波切りでカットします。
切り方のコツは刃元ではなく切っ先側に動きを焦点する事。