【蛸の捌き方】生蛸の下拵え・茹蛸の切り方

  

タコのさばき方

蛸の捌き方



タコの捌き方です。生きた状態からボイル(茹でて)して切るまでを紹介します。

今はタコというと「ボイルされたもの」が大半で、そういうボイルタコは下の切り分け方からご覧になればよろしいと思います。生きた生たこを捌いて茹でるまで全体を順番に紹介します。

タコの下ごしらえからボイルは、ヌカ、オカラ、炭酸の使用等いろいろ言われますが、ここでは基本に忠実に「塩のみ」の処理で紹介しています。それでも十分に美味く仕上がりますし、むしろその方が本来のタコの旨味が出るからです。

タコは蛸もしくは章魚と書きます(当に鱆、鮹など)。蛸は虫に似た生き物の意で、章魚は足が沢山ある複雑な格好、「綾をなした魚」といった意味ですが、タコという名の語源はよく分かりません。

瀬戸内海、明石、三陸が有名な産地ですが、関東ですと久里浜産が良いでしょう。ミネラルとタンパクが豊富な、優れた海産物です。

真たこは、だいたい夏から秋口にかけて産卵(マダコ)しますが、メスの卵はタコキン、もしくは袋児(ふくろご)と呼び、煮付けなどにします。これを産み付けた房状の卵が海藤花(かいとうげ)でして、海藤花は塩漬けにして保存し、酢の物や椀種に使います。

タコの卵

では蛸のサバキを紹介していきます。

活ダコをさばく・たこのさばき方(1)

生きたタコをシメるには、胴体と足の間を走る神経を切断するか抜いてしまします。(目の中間あたりを目印にするとわかり易い)活けでない場合も、新鮮なものを選ぶのが原則です。触ってみて反応が鈍いものは避けたほうがよいでしょう。

内臓を出す

その場ですぐにボイルするのであれば、特に〆る必要はありません。手早くワタを出してしまえば結構です。

※もし元気が良すぎて、暴れる、または怖い、などで〆も出来ない場合、少しの間「真水」に入れておけば静かになります

元気のよいタコは逃亡しようとします。逃がさない様に。

①頭の中身を出す

まずは頭(本当は胴体。たこの頭は足の付け根部分だけ)をめくり上げて、中のワタとスミ袋を切り取ります。筋でつながってますので、そこを切断

※うまく出来ない時は包丁で粘膜などを少しずつ切り離す様にして下さい
※この時に頭をひっくり返して(靴下を反対にするイメージ)おくとやりやすくなる
※ひっくり返したままにしておいて茹でてもかまいません
※鋭いクチバシに注意しながら捌いてください

あとは手で取り出します。

②目玉を除去

次は目玉。側面に切り込みを入れて指で押し出す感じで取ります。

③カラスの処理

クチバシ(カラス)はそのままにしておいてもよく、ほとんどの人はつけたまま茹でますけども、ここで取り去っておく方法もあり、そのほうが後の処理が色々楽です。自分はこの時点で取っておく事が多いです。※しなくてもよい作業ですので飛ばして結構です。

頭を持ち、逆さまにすると足の中央に黒いクチバシが現れます、全ての足と足の間(付け根)に三センチほどの切れ目を入れるとこのクチバシをすっぽり円形に取ることができます。

こんな風に持って、クチバシから足の付け根に沿って各足の境界に庖丁で浅く切り込みを入れます。

するとカラストンビが抜けます。

こうしておきますと、後で足をばらす時にも目安があるんで便利です。

生刺身にする場合はここで足を切りとり、皮を剥いて切ります。
(刺身を作る場合、塩揉みはしないでください)


イカのトンビ

タコの塩揉み・たこのさばき方(2)

タコの料理は、生刺身以外殆どの場合ボイルをして使用します。「たこ刺身」と言っても今はボイルダコのスライスが主流で、本来の刺身である生刺身は「生ダコの刺身」と断りを入れるくらいです。

ですからタコの仕込みは茹でる手順だとも言えます。

① タコをボールに入れて大量の塩を加える

ボールに移して塩もみします。ヌメリは粘液状のたんぱく質ですので、塩でこれを固めて除去する作業。

塩の代わりに大根おろし、その他(ヌメリ成分を吸着させる粉類など)を使うケースもありますが、お好きな方法を使ってください。ただ、時間は掛かりますが塩揉みを推奨します。

② 塩揉みする

洗濯する感じで汚れをよく落としましょう。

特に吸盤のなかに泥がたまってる場合が多いので、指でキレイに擦り落とす。(吸盤の汚れは落ち難いので特に注意。指を突っ込む感じで洗い落としてください)

泡立つくらいまでよく揉み込みます

③ 洗い流す

吸着させたものを水で洗い流す。

隅々までよく洗い落とします。イボ(吸盤)の汚れもチェックして。汚れが残ると味に影響します。

滑り気がなくなるまで水洗いします。

タコを茹でる・たこのさばき方(3)

①大鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩をひとつかみ入れます

大きな鍋に大量(温度低下を避ける為)の湯を沸騰させます。

②沸いたらタコを入れて茹でる

頭を持ち、足先の方だけ入れて出すを、数回繰り返す。こうすると湯の温度が急激に下がらず、キレイに足先が丸くなる。

先が丸まったら全体を入れ、約15分くらい。裏返して5分くらい茹でる。

頭を持って足の方からゆっくりと入れます。

ここで足先を三回ほど出し入れ

出し入れ数回で足の先がきれいに丸くなりますし、湯の温度が急に低下するのを防ぎます。

※新鮮なタコほど足先の丸みが顕著になります

手を離し、そのまま茹でる。

10~15分くらいです。再沸騰してからおよそ10分が目安。(タコの大きさで加減)

ひっくり返してさらに5分ほど茹でます。

③取り出して冷ます

茹であがったら、※菜箸で突き刺す様にして湯から引き上げる。

※網杓子などで取り出すと皮が破ける可能性があるからです

冷水にとって冷ませば出来上がりです。

※ザルあげしたり、フックに吊るして自然に冷ます「オカアゲ」もあります。温かく柔らかいタコを食するならこちらがおすすめ。寿司ネタや普通の刺身なら水で急激に冷ます方法がよいでしょう。(オカアゲでザルに置かず、吊るしておきますと、足が真っ直ぐになります)

※上の茹で時間は、中心まで火を通す場合の目安です。タコをどうやって提供するかによって、茹で時間は大きく変化します。

※ナマコと同じく、「茶ふり」と言って番茶を入れて茹でる事もある。
これは「色どめ」が目的。番茶の成分「タンニン」とタコの蛋白質が結合すると、綺麗な赤褐色になり皮もはげにくくなる。入れない場合はやや桜色に仕上がります。国産の上等な生ダコを入手したら試してみるとよいでしょう。

タコの切り方・たこのさばき方(4)

茹でたタコの切り分け方

頭(本来の意味での)の付け根から庖丁で切断。

足の付け根から八等分に切り分けます。

茹でタコを刺身に切る

いわゆるタコ刺しの切り方です

上の状態(たこ足)から、乱切りやぶつ切りにすれば「タコぶつ」になります。ここではそぎ作りでのタコ刺しを紹介します。これですと寿司にもそのまま使えますよ。

イボの両サイドにある「水かき」を切り取ります。

足の付け根を手前にして、イボ(吸盤)をこちらに向けて切ります。

可能なら「小波切り」にしたほうが食べ良いですよ。庖丁を「ひらひら」させて切り口をギザギザにする切り方です。

ギザギザにする理由と、切り方の説明はこちらのページで紹介してます

さざなみ切り・切り方

もちろん、ザクザクとぶつ切りにしても結構です。

茹でタコの頭(胴体)も食べられる

頭は指を入れれば簡単に皮が剥けます

皮を剥かなくても食べられますが、剥いてから使った方が食べやすいです。酢の物や加熱する料理向きですが、刺身でもOK。

蛸のオスとメスの見分け方は簡単で、オスは右から三番目の足が変形して先の方に吸盤がありません。生殖用の足だからです。それにオスは吸盤の大きさがバラバラでもあります。しかしマダコは雌雄で味の差はありません。水ダコの場合はメスが若干味が良いです。

タコを扱う際の注意は、活タコは真水に弱く油分に弱い点。(油分が苦手なのはボイルした後もです)アブラの強い食材と一緒にしない様にしましょう。新聞紙で包むのもいけません。インクに油分がありますからね。皮がはがれてしまいます。仕込みの時は手の脂をよく洗ってからにしましょう。ボイル後の保存も脂の強いものと並べないよう配慮します。

タコを食べる国はメキシコやスペイン、韓国という例外を除いて日本だけと言ってもよく、不気味な姿と不思議なくらい高い知能をもったこの生き物は、世界的にはゲテモノ扱い。Devil fish ですからね、なにせ。しかし日本人ならばその美味さを説明する必要はないでしょう。

タコは主に8本の足(触手ですから本当は腕)を食用にしますけども、タウリンが豊富でアセチルコリンという神経を癒す効果のある成分も含んでいます。

タコは大きく分けて三種類。マダコ、ミズダコ、イイダコです。地方色もあり、沖縄では地ダコの「島ダコ」なんて良いものもあります。テナガダコ、イイダコ、ミズダコもいいものですが、タコと言えば普通マダコを指しています。