タイラガイ
タイラ貝の和名は【玉珧(タイラギ)】
タイラガイは別名です。正式名より別名の方が本当っぽいのが魚貝には沢山あり、タイラギもそのお仲間ってわけです。ホッキ、アオヤギしかり、ミル貝しかり、これは深く考えていけば非常に面白く奥が深い現象かも知れませんね。
タイラギの産地
平貝の主産地は東京湾含めた房総半島から南の海。三角形に尖った殻頂を海底の泥に突き刺した格好で、50センチくらいの浅い内湾に生息しています。
80年代までは有明海の名産だったんですが、例の諫早湾干拓事業でしょうな、90年代からは有明モンは激減してます。現在は瀬戸内か三河モンですか。
タイラギの貝柱
今じゃ貝柱といえば帆立が代名詞みたいになっちゃいましたけども、年配の方には平貝だと思いますよ貝柱は。「カイバシラ=タイラガイ」です。
磯臭は少しありますが、それが独特の甘みと相まってかなりの美味。
殻付きなど入手する機会などあまり無いとは思いますが、絶対ないとは言い切れず、もし手に入ってもどうしていいか分からずネットで探す人もいるかもしれねぇ、って訳でさばき方書いときます。
タイラ貝のさばき方
と言いましても、非常に簡単で「さばき方」なんてモンじゃございません。
やり方はホタテとまったく同じが早いでしょう。
→ホタテのさばき方
参考までにタイラ貝の手順も紹介しておきます。
柱の片方の付け根を切り
パカリと開きます。
ヒモやワタが柱の周囲にありますが、これを取り去るのに柱付け根の片方はそのままにしといた方が仕事が早いんですよ。これは帆立も同じ事。
こうして、手で外套膜(ヒモ)ごと貝柱以外のモノは取り去ってしまいます。
このやり方の利点は、ついでに粘膜がキレイに剥けること。
柱にしたモンをいちいち掃除しなくて済むんです。
柱だけになったら、片方の殻ですくい取るみたいにしながら
切断。
※べつに殻を使わず道具でもいいですけどね
冷塩水でしばらくしめて、
水気を切れば出来上がり。
貝柱の刺身と握り
タイラの貝柱は、帆立同様加熱調理にしても旨味が出るんですが、やはり刺身でしょう。独特の甘みと、ホタテにはないコリコリの食感。
コリコリなぶん身が固くツルツルですんで、醤油のつきが悪いです。タコやアワビと同じように「さざなみ切り」でギザギザに切りましょう。(普通に切ってもかまいませんよ)
切り口を見て「湾曲というかなんか歪んでる」と思いませんか?
これは平貝の握り寿司を作るからです。
普通にまっすぐ切ればね、握り鮨にしたらシャリから落ちてしまう。そこでバンド(帯)が必要になりますが、タイラの香りを邪魔するんですよオビノリが。
それでこんな切り方をしました。小波鞍掛け切りとでも言いましょうかね。
それを握るとオビは必要なしです。
アップではこうなっています。
タイラ貝の握り
タイラ貝のヒモ
タイラ貝の旬は真冬。2月いっぱいってとこでしょうか。先ほどヒモが出ましたが、あれは実は食用になります。
ところが捨てちまう料理人が多い。それほど不味い訳でもなく帆立ヒモとどっこい。バター焼きや醤油焼きなどでコリコリしてなかなか(ワタはさすがに食わない方がいいです)。でも自動的に捨てる人が多い。
もうかなり昔の話なんですがね、夏場にタイラの殻付き生が流通してた時代がありました。そん時に「中毒事故」が多発したんですよ。
そんときの記憶が伝承されている部分もあるんですよ。タイラヒモが敬遠されるのは。
今では夏は冷凍しか出ませんけどね。
板前も貝には神経使いますよやはり。
ともかく、和食は勿論、洋食でも素晴らしい一皿が出来るこのデカ貝柱。腕をふるってみるのもいいですね。旬のうちに。