ガザミ(ワタリガニ)
ワタリガニの和名は蝤蛑(ガザミ)
扁平した第5脚をオールの様に使い、巧みに泳ぐ特徴からワタリガニの通名が付き、こちらの方が一般には通りが良いようです。
タイワンガザミ・ノコギリガザミ・ジャノメガザミ等の近縁種も多くいますが、これらは甲羅の背面に様々な模様があり、ガザミは青みの強い黄褐色ですので判別できます。(特に青が強いのは雄)
オスメスの判別は他のカニ同様フンドシで簡単
さばき方はガニを取り去るだけといってもよく、非常に簡単。
ガザミ
ガザミは年に二度の産卵期があり(春・夏)、春の卵は「一番子」、夏の卵は「二番子」。しかし一方でみそ(中腸腺・肝膵臓)と卵(内子)を抱えるメスの味は冬場に絶品になり値も上がります。
巨大ワタリガニのエガニ(ノコギリガザミ類)
ですから旬をいつだと言えばいいか迷う部分もありますが、関東、特に東京ではカニといえばガザミを指すくらいポピュラーなカニで旬は昔から秋だとされてきました。
干潟から水深30mほどまでの砂泥底に生息し、日本各地、台湾、韓国、中国北部に分布します。国内の有名産地は三河、瀬戸内、有明でしょうか。地方ではガネ、ガンツなどの呼び名もあります。重要な種ですので種苗放流や蓄養(完全養殖はハサミと攻撃性から難しい)も各国、各地で盛んです。
料理法は、塩茹で、蒸しガニ、味噌汁、揚物、炊きこみご飯、など。
可食部分は少ないですが、味と旨味はかなり濃いですね。活けのガザミを茹でるには、水からでないと足が切れてしまうので注意が必要です。茹でるより蒸した方が旨いと思いますが、その際は足を輪ゴムなどで括り、腹を上にして蒸気が上った状態から15分ほど蒸します。
栄養面では他のカニと殆ど同じでかなりヘルシーな食材。
特に高い抗酸化作用を持ち、老化予防、生活習慣病予防、光障害から目を保護するなどで知られる「アスタキサンチン」(カロテノイドの一種)を殻に含んでいます。ですから出来れば殻も食べたいものです。
そこで注目されるのがソフトシェルクラブ(Soft shell crab)
ソフトシェルクラブは種名ではなくソフトシェルクラブという名前のカニが存在する訳ではありません。脱皮直後のカニか、それを揚げた料理の事です。
※アメリカ東部に生息するブルークラブ(アオガニ)やノコギリガザミなどのワタリガニ科のカニを主に指してます。