本手返し・自己流
本手返しと言いましても、あくまで我流、魚山人流である事を最初にお断りしておきます。従って、いわゆる「本手返し五手」とは少々異なります。
現在本手返しで握る寿司職人は極めて珍しく、「本手返し」という言葉は知っていても、実際本手で握る場面を見た事の無い職人も多数いるはずです。
伝統である本手返しが廃れてしまった理由は色々ありますが、「遅く」感じられて、速さが求められる現代とマッチしなくなったのが最大の理由かもしれません。
それと握り鮨の小型化もあります。(ネタが大きくなり、逆にシャリは小さいのが今の寿司。このバランスでは本手返しは不必要というか困難)
おいら自身も、速さが求められる場面では、「こて返し」を使う様にしています。最初は本手返し五手で握っていましたが、だんだん崩していきまして、正統な本手より速く握れる自己流を使うようになりました。
魚山人流本手返し握り手順
タネを左手人差し指と親指で挟みます
指腹全部を使い、タネに触れる面積を少なく
サビをのせ
すかさずシャリをおきます
置くと同時に人差し指でシャリ中心に大きな穴を穿ち
次の瞬間右手に移動させます
左手で包みかぶせる様にしながら
取ります
この一連の動作で上下が回転しています
ここからこて返しの要領で返し、タネを上にします
ここでもう一度上下を回転させ
軽く押さえて形を整えます
最後に右指を添えながら左指の腹を利用し
左右を包み上げて形を仕上げます
以上の動作を途切れ目の無いよう、水の流れるように3秒くらいで行います。画像は撮影の為に下手握りになっていますが、実際はこれを肩から腰に流す感じでやっています。勿論まな板上の下手でもかまいませんけども、全体的な流れと動作美を考えてあえてそうしています。
本手返し五手 本来の手順
●サビの上に乗せたシャリの底辺を右指二本でならす
(コテは左親指)
●同時に鮨を右手に移す
●これを左手でかぶせる様に取る
(これで上下が返る)
●その上下を軽く押え整える
●左手の上を転がしてタネを上にする
(コテ返しと同じ)
●右手で軽く整える
●右手で鮨の上下を返す
●軽く押えて整える
●最後に右手で包むようにし
●両脇をしめて形を整える
捨て舎利→