軍艦巻きの作り方

  

軍艦巻き

イクラの軍艦巻き

軍艦巻きの作り方を紹介します。すし飯に海苔を巻いて具をのせるだけなので、とても簡単に作れますよ。



手巻き寿司と同じように簡単に作れますし、海苔も材料も手巻き寿司と共通します。手巻きを作るときに軍艦巻きも試しに作ってみて下さい。


手巻き寿司 巻き方


すし飯の作り方

軍艦巻きの巻き方

すし飯を15~20gの俵型か船型に丸め、それに軍艦用の海苔を巻き込んで形にします。この形が船に似ていますので軍艦です。

(1)軍艦巻きの海苔

寿司屋では専用の海苔「ぐんのり」を使いますが、これは特別なものではなく、普通の細巻海苔を海苔屋が三等分にしただけです。

細巻海苔は市販されている「手巻き用海苔」と同じもの。もしこれがなくても全型海苔はどこにでも必ずありますから、全型を半分に切ってそれを三等分にすればOKです。

手巻き用海苔(細巻き海苔)をハサミなどで三等分にします。

※小さくカットされているのは、三等分にする前に1cm弱の幅で切ったものです。そのままだと巻いたとき少し長くなり余ってしまうのでカットしたもの。寿司屋ではこれを玉子などを握るときの「バンド」に使いますが、海苔なのでそのまま食べられますし、捨てる必要はありませんよ。


湿気た海苔を復活させて料理にする

(2)すし飯を船型に丸める

すし飯でシャリ玉を作ります。

※すし飯が温かいようなら少し冷ましておきましょう。握り寿司とは逆に軍艦巻きは冷たいシャリが良いのです。

船型にしたシャリの中心を指で押さえ凹ませる。

※これをしないと「上げ底」になってしまい、イクラなどはポロポロこぼれ落ちてしまいます。すっきりとしたキレイな軍艦寿司にするなら凹ませておく、山盛りに見せたい(ただし見た目が汚い)なら上げ底にしたままに

(3)軍艦海苔で巻く

形を作ったすし飯に海苔を巻きましょう。

巻き方①

海苔のザラザラした面(裏側)をシャリに当てる。

4/6くらいで右を少し長くとり、その中央付近をシャリの向こう側に当てます。

巻き方②

短くとった方を先に手前側に巻いて

巻き方③

すし飯の手前側にくっ付けて親指で押さえる

巻き方④

反対側も持ってきて閉じる

巻き方⑤

巻いたことですし飯がふくらんでいますので、もう一度中央を凹ませる

(4)具をのせて完成

イクラの軍艦巻き

タラコの軍艦巻き

箸や小さなスプーンなどを使うといいでしょう。

まぐろ落ちや貝柱などの生ネタでしたら具を入れる前にワサビを塗ります。もしくは飾りの意味もこめて具の上や脇にワサビをつけます。

ウニの軍艦巻き

生うにの捌き方

柔らかな具は絞り袋があればやりやすいです。

※寿司職人の中には海苔を手に持ち、握りの様にして巻く人もいますが、あれは時間短縮の手法で、仕上がりがどうしても崩れるという弱点がありますので、おすすめは出来ません。(崩れる理由は下記の軍艦巻きのポイントに)

軍艦の具の参考にしてください
すぐ使える手巻・軍艦・ちらしのネタ(手前板前 食材館)

軍艦巻きの応用例

「軍艦」とは読んだまんま船の形からの由来でしょう。俵の形がもっとも食べ良いからこそ握り鮨はあの形に落ち着いているんですが、たまには遊び心も必要です。下のは円形に巻いてあります。

これだと生エビがメインに見えてしまいますが、これは「アンキモ」をもっと違う方法で食べてみたいと思って作った寿司です。アンキモは旨いものですが、毎回ポン酢に紅葉卸ではどうもね。

まずは蒸しアンキモを炙り焼きにします。

ホタテの貝柱も用意

ホタテでアンキモを挟み

さらにホタテにも焼き目を入れます。

これを鮨飯にのせまして、

海苔で円形に巻き込みます。

これに生甘海老をのせて味全体に深みをつけ、

出来上がり。

ポン酢醤油をベースに洋風の隠し味を加えた少々エッセンスの効いた造り醤油を少量かけて食べます。

軍艦巻のポイント

上で紹介しましたように軍艦巻きは簡単なものです。これが汚く仕上がる最大の理由ですが、先ほど書いたネタ乗せると言う部分、これを「ネタを入れる」と言い直さなきゃいけません。

ノリとシャリの間にスペースを作るのが軍艦巻きの本来の意味、ですから凹状の空間になっていなけりゃいけません。ここにネタを入れる。しかしこのスペースが凹状ではなく緩やかな凸状になっている、これが見苦しくなってしまう原因です。

海苔で巻き締めますと四方から押される事になり自然に凸状になります。ですから巻き終わりに指先を使い凹空間にしてやんなきゃいけません。

これをしないからネタがこぼれ落ちたりするんです。たったこれだけの事をしない寿司職人が多いのは驚くべきことです。

海苔は秒速で湿気てしまう

すぐにしけるのが海苔。シャリに当てるとその早さも増す。軍艦のネタは海苔が湿気る前に入れなければならない。数十個の軍艦を作る際に、まなに板たくさん空っぽの軍艦巻きを並べる回転板前をよく見ますが、あれでは具を載せる時に海苔がシワシワ。せめてシャリ玉のみにすべき。海苔はネタを入れる直前に巻くべきです。

軍艦巻きは痩せる

シャリは酢飯ですので、即座に水分が飛び、硬くなります。それを海苔で巻くと、海苔の湿気りと、シャリの縮小により、「きつく締め過ぎたバンド」のごとき様になります。

カウンター以外では、たとえ「シャリ小」と言われてもある程度の大きさに作らなくてはいけません。小さくなるのを計算に入れておくのです。倒れそうな細い軍艦で、ネタがこぼれて海苔に引っ付いてたりするのは見苦しいもの。気をつけたいものです。

グンカンとTAKEOUT(おみや)

おいらは基本的に持ち帰りや出前に軍艦巻きを入れるのはお断りしています。それはグンカンという鮨がせいぜい数十分しか形を保っていられないからです。しかしどうしても入れてくれってお客がいらっしゃる場合もあります。

その場合どうしてるかと言いますと、シャリダマを冷まします

握り鮨は人肌の温度が理想的ですが、シャリに温みがあればグンカンはたちまち見苦しくなってしまいます。海苔がしけってすまうからですね。そこで軍艦巻きにするシャリは温度を下げておくんです。

これは店内で作る場合でも、カウンター以外の座敷などに出す時なんか程度の差はあれ同じです。海苔の湿りの影響を少しでも減らす為に、水分の無い人造バラン(仕切り)で一個ずつ巻き込んでおくのもおみやげを食べる人への配慮です。

しかし握り鮨は基本的に「おみやげ」には向いていません。数時間後に食べるそれはまったく別の食べ物になってしまうからです。

夏場はどんなに頼まれてもテイクアウトを断り続けるなどで、おいらのお客様は理解してくれていますが、大型店などは大変ですな。「マグロの色がひどい、どうしてくれる」等のクレームが後を断たないそうです。気の毒と言うか何というか。

そういった事もありますし、鮨屋に行けない場合できればご家庭で作るのが一番良いですね。お寿司好きの方はお試しください。

以前「家庭で作る寿司」って観点から「手巻き寿司の作り方」を紹介したことがありますが、考えてみれば軍艦巻きもその類に入ります。簡単だって事ですね作り方が。なにしろ回転じゃ学生バイトやパートさんが作ってるっていいますし。軍艦海苔をシャリに巻いてネタをのせるだけですから。

軍艦巻きとは何かって言いますと、寿司のウニとイクラを思い起こして頂ければすぐに分かるはずです。昨今はもう説明の必要などないでしょうね。回転寿司に出かけますと色とりどりのグンカンが回ってますからね。マヨネーズ系のサラダ類や珍味類の多さに驚いたりします。

魚介類ですと原価が高くなり利幅が薄い、それでこうしたネタで利益をあげる訳で、回転寿司にとっては無くてはならない商品です。

軍艦巻きが江戸前寿司に取り入れられたのは意外に古く、戦前と言いましょうか開戦の時期昭和16年 に銀座の名店「久兵衛」が考案したというのが定説です。特許が可能でしたら大変な事になっていたでしょうな今頃は。握りようがないイクラなどを握り鮨として定着させた大発明ですのでね。

「久兵衛」本店に行ってウニやイクラを頼むと「さすがに本家」と唸るくらい美しい軍艦巻を出してくれますが、あれは海苔自体が違いますので、あそこまではなかなか出来ませんけども、せめて見苦しい奴だけはお客に出さぬようにしたいものです。
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