子持ち昆布とは
子持昆布は正月料理に使われそうでいて、数の子みたいには使われない食材です。子孫繁栄の縁起物数の子、喜ぶの昆布、めでたい同士が二つもひっついている食べ物なんで、もっと使われてもよさそうなもんですけどね。
ニシンは昆布やワカメ等の海藻類に集団で産卵する習性がありまして、春の産卵期に沿岸に入ってきます。まだ腹に入ってる卵巣卵が数の子、昆布に産卵したのが子持昆布です。
子持昆布の親魚、ニシン
ニシンが昆布に卵を産み付けたものが子持ち昆布です
このままの状態で採取した子持昆布は、昔は珍味とされ喜ばれていたんですが、「あるきっかけ」で全国的に使用される様になり、また同じ頃にニンシ自体が国内の漁場から激減したこともあり、囲い込み・追い込みによって昆布を用意した場所で産卵させるという方法が主流になりまして、この方法で採取したものを天然物と呼んでいます。
また、囲い込み産卵による天然は現在ほぼ全て輸入ものです。すこし微妙な感じがしますが、「吹きつけ加工」で作った完全に人工の物が存在しますので、これでも天然は天然なんでしょう。
あるきっかけとは寿司ネタの開発です。
どこかの気の利いた寿司職人が、まぁ昭和の前期でしょうが、にぎり寿司にこの子持昆布を使い始めた。それが一気に広まったのは回転寿司がこのネタを取り入れてからでしょう。そんな需要があればこそ、人工生産されてる訳ですが。
隙間無くびっしり数の子が付いた子持ち昆布が上物です。
子持ち昆布の握り寿司
こいつは天然子持昆布、強塩がしてあります。
カットして、水に浸けて塩抜きします。
(味付けは数の子と同じかやや薄め)
中か外に糸ガツオを挟んで。
子持昆布の握り寿司です。
戻し方や漬け方は数の子と同じですので、下のリンクを参照してください。
子持ち昆布の料理
有名なのは「松前漬け」ですね。他に前菜や小鉢などでも使いますが、どちらかというと酒肴の傾向がありますね和食では。それでは面白くありませんので、家庭向きの料理を紹介しましょう。
飛龍頭の具にしてしまいます。
飛龍頭(ひりゅうず)とは要するに「がんもどき」です。おでんダネや含め煮でお馴染み。木綿豆腐を潰して、野菜と混ぜて揚げ、野鳥肉を模したもの。
その中に子持昆布を小さく賽の目に切って入れて、揚げるだけです。フライにしたのに串を打つと、楽しげな串揚げに仕上がります。
下のは巾着袋、紅衣で紅白に。
濃出汁の天ツユで食べます。
この料理のミソは芯まで火を通さない事です。プチプチした子持昆布の食感が失せては台無しですから。
これは賄いの一種ですから、店で出す品ではありません。もし出すとしたら、サイズをこれの1/3くらいして作ります。