アワビの煮貝
ご存知だと思うんですが、煮た貝は熱いうちはよいのですが、冷めると固くなってしまいます。ところが板前が作った貝の煮物は冷めてもどころか、数日保存しても、とても柔らかいままです。炭酸を加える等特別な事をしてるわけじゃありません。(炭酸で柔らかくなる魚介もあります)
答えは簡単で、「煮る時間」なんです。
貝は火を入れたとたん柔らかくなりますが、加熱を続けると固くなっていき、一定の時間後に、また柔らかくなるって性質があります。
つまりさっと短時間で仕上げるか、長時間煮込むかの二通りを使い分ければ良いって事になりますね。中途半端な煮込み時間が貝を固くする原因なんです。
具体的には、
短時間の場合10分以上煮たらいけません。
大きさによりますけど、7~8分で充分です。
長時間の場合は2~3時間。
煮詰まらないよう煮汁の量に気をつけましょう。
煮貝によく使うのがアワビです。
鮑はコリコリの固い食感が持ち味で、たっぷりの塩で洗い、カチカチにして刺身ってのが普通ですが、こいつは柔らかく煮ても非常に美味しい貝なんですよ。
コハダが金魚に見えちゃうこのデカあわびは三陸モノ。
ですが、コイツは煮貝よりも刺身・水貝に向いてます。
煮るのは黄色っぽいメガイがいいです。
あわびの煮方
普通に水で3時間ほど加熱して味を付ける他に、下の様なやり方もあります。
瞬間煮
スライスしたアワビを熱い煮汁にくぐらせる程度の煮方。
酒蒸し・塩蒸し
蒸しとは言っても、やり方は煮物(蒸し煮)です。
ザルに昆布を敷いてアワビをのせて酒、塩を振り、たっぷりの水を入れた鍋に。沸いたら中火にして水が無くなるまで煮込み続けます。
アワビはタワシで丁寧に汚れを落とし、一度外してから殻に戻しておきましょう。煮たり蒸したりする場合、剥かないでそのままやる場合もありますが、内部の汚れなどを残す可能性があります。
煮貝を柔らかにする最大のポイントは「酒の量」です。酔いそうになるくらい酒を使うんですよ。
その一例
①よく洗ったメガイ(女貝・オレンジ色)を酒10・薄口醤油1の液に漬け、その上から大根輪切りと昆布を乗せラップをゆるく張ります。
②その容器ごと沸いた蒸し器に入れて3時間蒸す。
③冷めてから身を外しスライスする。
この方法で鮑を煮てみました
煮貝を切るときは下の様に波切りにした方が食べやすいですが、普通にカットしても問題ありません。
波切り・小波切り→
とても柔らかく、磯の香りと貝の滋味が相まって非常に美味しいですよ。