だし巻き玉子
だし巻き玉子は、和食と切っても切れない間柄。熱々の玉子焼きを、口に頬張ったときにジュワーって来る、あの出汁と卵の感触はたまりません。大根オロシに醤油で肴にもなりますし、朝食、昼食、夕食いつ食べても副菜としてピッタリの便利献立です。これだけは作り方を覚えておきたい和食メニューですね。
だし巻き玉子作りのポイントは味付けと焼き方(巻き方)です。味付けというのは「出汁の量」ですね。だしを増やすとジューシーで美味しくなりますが、すると焼くのが難しくなるんです。
最初からだしを増やしてしまうと、上手く焼くことはできません。初めはだしを減らして練習し、上達したら、だしを増やしてみて下さい。巻き方(焼き方)が上手になれば味も良くなるという事で、味と作り方がつながっている面白い料理がだし巻き玉子です。
だし巻き玉子作り(1)
味付けと卵
まずは作り方の動画をご覧ください
焼いているのはそれほど料理経験のない若い子ですが、ポイントを説明してありますから一応ちゃんと出来ていると思います。以下、動画の補足的な感じで作り方の要点を説明して行きます。
要点① 味付け
だし巻き1本で卵5個を使用します。
※業務用の大銅鍋ですと10個前後を使いますが、これはだし巻きを握り寿司などにも使うからです。普通は1本5個でちょうど良いです。
卵5個に対し、だしカップ1/4、砂糖大さじ2~3、しょう油小さじ1、塩少々くらいが標準。甘味の砂糖はお好みで増減します。
和食の板前は、だしをこれの3~5倍以上加えることが多いです(握り寿司用はこれほど入れない)。カップ1以上は当たり前。ですが、仕事で焼いている板前だから平気で巻けますが、慣れない人だと巻けたものではありません。卵液が薄くなりすぎ箸でつまむと切れてしまうからです。
ですから、だしはせいぜいカップ1/2くらいまでにしておいた方が良いです。それ以上だと練習にもならないと思いますから。
だしはきちんと作った方が良いですが「和食のだし」、やむを得ない時はだしの素を使うといいでしょう。
だしに調味料を混ぜ溶かしたら冷ましておきます。
要点② 卵
卵は出来ればMサイズくらいを使います。Lサイズ以上は白身が多くなり過ぎるからです。
また、だし巻き卵のような卵を多数使う料理の場合、ボールに割り入れる前に椀などの容器に1個ずつ割り入れてからボール入れた方が良いです。直接ボールに割り入れていると、万が一ダメな卵だったとき、先に入れた卵が全部パーになってしまうので、ワンクッション挟んだ方が安心できます。
卵焼きのように「ふんわり」仕上げたい卵料理は、混ぜすぎないないようにします。混ぜすぎて腰を切ってしまうと、ふわふわな卵焼きにはなりません。
だしと調味料を加えたら、箸をボールの底に当たるように刺し
白身を切る感じで混ぜる
あまり泡立てないように注意。ざっくり黄身と白身が融合するくらいで良い。
だし巻き玉子作り(2)焼き方
だし巻き玉子を上手に焼くポイントを紹介します。
① 卵焼き鍋を熱しておく
鍋の空焼き
薄く煙があがるまで鍋を加熱します。その後、油をたっぷり入れてさらに加熱し、油を容器にあけて、布の切れ端で綺麗に余分な油をふき取る。
テフロン等の加工フライパンなら少し空焼きしておくだけであとは省略します
薄く油を塗る
油を鍋に薄く塗ったら卵液を入れて焼きましょう。
火力は始めから終わりまで「強めの中火」にしておきます。卵料理は火力が弱いとふわふわに仕上がりません。
② 卵液を流し入れる
卵液を入れます
お玉の一杯か、鍋底全体に広がる量を入れる
鍋一面に広がる量
③ 箸で気泡を潰す
箸先でつつく様にして泡を潰します
気泡が出来ないようにトントンと
④ 折りたたむ
鍋を傾けても卵液が流れなくなったら巻き込み開始
向こう側を箸でつまみ上げ
巻き込むように折りたたむ
鍋をシーソーのように動かしながら
もう一回折りたたみましょう
⑤ 整える
鍋の手前にまとめ
押し付けて形を整える
⑥ 二度目の巻き込み
向こう側の隙間に油を塗り
鍋を動かしながら向こう側へ滑らせます
ストンと向こう側へ押しやる
空いた手前空間に油を塗り
そこに卵液を加える
全面に卵液を広げる。
向こう側を持ち上げて、その下にも流し込む
再び気泡を突いて潰す
⑦ 焼き上げる
卵液がなくなるまで⑥を繰り返して巻きます。
押して形を整え
取り出す
鍋の蓋代わりにマキスを使うと良いです。
そのまま軽く巻き込んでおきます。
完成
※卵液に青ネギなどを混ぜ込んで焼いてもいいでしょう。また、中心に具を入れたいときは、1回目の巻き始めに横に並べるようにして巻きます。この場合は向こうから折りたたむよりも、手前から向こうへ巻いて行く方法がやりやすいです。鰻とかチーズ、タラコ、色々お試し下さい。最初に海苔を置きその上に具を並べるとキレイに巻きあがります。
だし巻き玉子 焼き方のポイント
難しいのは卵液に火を通す加減。焼きすぎればひっ付かないので切ったときほぐれてしまい、火が通ってなければベタベタになります。焼けたと言うより、「乾いた」加減で巻けば、丁度良い具合ですよ。卵液が流れなくなった一呼吸あとですね。
火加減を強くしておくと「焦がすのが怖い」かも知れません。しかし途中で火を弱くしたりするのは厳禁です。卵を焼く料理は火加減を落としたりすればベタリとしてしまい、ふわふわにならないからです。
コンロの横に濡れ布巾をたたんでおき、巻き込みに手間取ってしまい「焦げるかも」と思ったら、いったん鍋ごと火から離し、布巾の上に置きましょう。そうして手間取った箇所を直して気が落ち着いたら素早く火に戻して作業を続けるといいでしょう。
使い終わった卵焼き鍋やフライパンに金ダワシや洗剤は厳禁です。せっかく鍋になじんだ油が落ちてしまいます。タワシでさっと水洗いするだけで充分。焼く前に空焼きしますので衛生面の心配は必要ありません。汚れを洗い流したら、水気を完全に乾燥させて仕舞いましょう。