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築地

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60~70年代のへドロ

記憶してる人間もだんだん減っていきますなぁ。
あれは何処に消えたんでしょうかねぇ・・


寒くなりましたねぇ
ああ、寒いねぇ
そんな挨拶が交わされる店先で、「腰が次の動きに備えてる」感じの落ち着きの無さが特徴の「魚屋」の連中。中卸で働く人間はどうしても忙しなくなって行きます。当然ボンヤリでは勤まらない仕事ではありますが。

最近すっかり観光名所になった感のある築地市場ですが、一般の買い物客が増えたのはいいんですが、ヒールで場内に入り、横一列に広がってユルユル歩く人等も増加、古参の築地人には眉をひそめる連中が多い。それでも経済効果が高くなった事の方が重要だってんでしょうかねぇ。

けど築地も2012年には豊洲に移転する予定。
移転先は東京ガスの跡地、ゆりかもめなんかもう駅まで作ってる(市場前駅)
ところがこの豊洲新市場の予定地が土壌汚染。地下水まで汚染。(生鮮食品に水は不可欠。魚河岸で大量に使うのは海水を清浄したものや水道水ではありますが、地下水といえど、市場に『水の汚染』は論外ってものでしょう)

それでも知事は「移転する」の一点張り。
「築地市場は不潔・・・」ときた。

石原知事のオツムはどうなってるんでしょうか。
というのは、元々東京都は、移転反対の立場で改修を前提にしてたからです。
あの方は臨海に何か「特別な思い」でもあるんですかな。

何が東京オリンピックメディアセンターなんだか。
時々胸のすくようなセリフで大衆を喜ばせるのは得意ですが、個々の政策はとても「まとも」と言えるシロモンじゃない。理屈にならない「押し」で疑惑はシカト。弁明ができない場面では脳に霧がはってボケたりもする。どうせオリンピック招致は失敗しますので、「公約」の通り辞めて猪瀬さんにでも席を譲ればいい。
猪瀬さんはまだボケるにゃ早いでしょうからね。

都は、汚染の原因はすべて東京ガスの責任だという立場で、汚染除去の費用を負担させる考えの様です。責任の押し付け合いにでもしようってんでしょうかね。それにしてもなんで国の基準の1500倍(発ガン性物質ベンゼン)もの「ドロ」が溜まっているのか。

当たり前ですわな、戦後の東京見てりゃ。あんだけの公害が「どこかに消えてなくなる」なんて事はありえん話です。多摩川に鮎が戻ろうが、汚染が霧消した訳じゃない。食う気にはなりませんね。どこかに凝縮して保存されてるはずです。

その「どこか」はね、大気上層、深海底、そして動物の体内です。
動物でも食物連鎖の頂点に近いほど凝縮が著しくなる理屈です。
マグロもそうですね。でもそのマグロを食べてる動物。
そりゃぁ人間でしょうっての。

精霊を迎える江戸の街

全国的には盆に入りまして、迎え火でご先祖様を招かれてらっしゃる事でしょうけども、手前どもは7月盆ですので、亡父や祖父母とは先月すでに逢わせて戴いております。

隅田川の下流も随分と趣きが変わってまいりました。
大川端に立ち並ぶ無骨で味気の無い高層マンション群にはこの国のセレブ達がお住まいなさっているそうな。北斎に見せて現代建築家の仕事ぶりの感想を訊いてみたもんですな。月島や佃周辺には古い町並みが多く、風情を残していたんですが、今ではまるで安っぽい三文漫画の世界です。

隅田川には色々な思い出が御座いましてね、ガキの頃吾妻橋あたりから、何に夢中になったのか定かじゃありませんが、どんどん上流に向かい、荒川から入間川まで遡行して母や祖母に散々叱られた記憶などがあります。帰るに帰れなくなり、埼玉の巡査さんに泣き付いたってあんばいでして。

供養の折に、久しぶりに勝鬨橋から湾に向かい徒歩で散策してみました。
近年念仏でも唱えるように「流入する河川の環境が回復した。東京湾もキレイになった。だから江戸前の魚もずいぶん増えた」と言われます。
確かに透明度はよくなった気がいたします。
だけど東京の街並み眺めてみて、この海の魚なんぞ食う気になりますかね。
例え70年代のドブ臭い記憶の無い人でもですよ。
それに埋め立てをやめる気持ちなんぞ役人にはこれっぽっちもありません。
漁師だって跡継ぎがいないのが事実でしょうよ。お年寄りばかりで、しかもまったく商売にならない。

多摩川に鮎が来たからどうなんだっておいらは思うんですよ。
そりゃ水質改善に努力なさってる皆さんには頭が下がりますよ。少しでも後世によい環境を残そうとする行動は立派です。口だけではなく実際に地道な努力をしてます。なかなかできるもんじゃありません。

日本列島を人体に例えてみましょう。生き物ですからね国も。
東京は「脳」ですな。
そこに各種の細胞が血流に乗って流れ込む。
脳は沢山の栄養が必要だから血も沢山脳に向かう。
しかしそのままじゃパンクするんで人体には関門があります。フィルタです。
でもそいつをすり抜けてくる輩もいて、それが脳の病気を起こします。
日本ってのはどうでしょうか。どう考えても病気じゃないでしょうか脳の。
いくら首都だからってこんなに何もかもが一極集中するのは異常ですよ。

そこで、
霞ヶ関はどうせ縦割りなんだから全国に分散する。
国会は北海道と沖縄に置き交替で開けばいい。
東大は閉鎖する。
大企業は過疎県に本社を移転する。
「こんなもんでどうかな?ばあちゃん」
そう祖母に問いましたところ、こうです。

「馬鹿だねおまえは」

味も素っ気も無いアスファルトの歩道から立ち昇る熱気の中、祖母の蜃気楼を無理やり拵えてみたんですが・・・
祖母は今の東京が気に入らないのか、輪郭をはっきりと見せてくれません。

でも本当のところは祖母たちはこの地に変わらず愛着を持っており、変わってしまったのは擦れてしまったおいらなのかも知れないと、そう思います。

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