包丁傷
包丁で手指を切る。
料理を続けていれば、必ずあることです。
家庭のおかみさんにもある事でしょうが、
当然ながら料理人だって切ります。
切れば痛いし、血まみれになっちゃう。
だから注意しますが、それでも「はずみ」ってもんがある。
おいらの左手、数えた事などありゃしませんけど、
多分200くらいの包丁傷があると思う。
その殆どは肉眼では見えないくらいに消えちゃってますが、
白い線になって見えてるのもかなりある。
さすがに10年、15年とやってますと年々うかつに切ってしまう回数は減って来ます。
やはり最初の5年くらいでしょうかね、よく切るのは。
おいらは板前を判断する場面では、必ず左手をさりげなく見ます。
手傷が無い板前の事を「ああ、腕が良いから切らないんだなぁ」なんてことは思いません。
切れば切るだけ、上手になっていくもんなんですよ。
だから良い板前なら、傷だらけなはずです。
真剣に修行した時期があるんだなこの板さん。
そう考えます。
失敗を何度も繰り返したって事は、
思い切り良く何度も、一段上のレベルに挑戦した根性の持ち主だって事ですね。
ミスを怖れず仕事をやって来た証ですわ。
大袈裟に言えば、修羅場をくぐって来たってわけです。
だからある程度信頼して仕事を任せられるって寸法ですね。