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「喪失した食」日本と中国

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 失った食の安全

ホームページは当たり障りのない事しか表現できませんので、ある面人任せにしたほうが良いという考えでして、実際そうしてます。

で、自分は好き勝手の出来るブログをしてるわけですけども、「好き勝手」っていうのは、かなり継続が難しいものだって最近感じますねぇ。いつの間にか保守的になってたりします。久々に鹹い事でも書きますか。

大きな食品販売店へ行きますと、とても数え切れない程膨大な食料品の山、その彩りに圧倒されます。しかしね、おいらはその前で悲しい気分になります。


見てくれの良さと甘さを念頭に置いて、品種改良を続けて来た果物や野菜。整然と同じ形で、きれいに整列できている背後に【農薬】の存在を感じます。米や農産物全般も同じ。


人工的な、締まりの無い、おまけに妙な香りのする「脂がたっぷり乗った」肉や魚。油を塗ったくったような大トロや中トロ。板前から見たら気色の悪くなるマグロの赤身。

病的な牛のサシ。薬品臭のするブロイラー。工場で人工乾燥させる「干もの」


要するにここにある何万何十万って食べ物の中に「まとも」な物が皆無に近いって事が悲しんです。


味噌に塩、砂糖、醤油、油、味醂、酢だって例外ではありません。


整然と並んだ「人工的な美」、それを美しく高級に感ずる感性。

そして外食では、まっとうな板前ならば、絶対に口に入れる事は無い、真っ白い色した「エンガワ」と称するモノの人気ぶりに茫然。


保証できますね。壊れているのはおいら達の舌ではなく、人気ぶりのほうだと。


こうなった背景は簡単な事で、砂糖や塩が辿った歴史を100年ばかり遡って調べたら、すぐにお分かりいただけるでしょう。


結論から言えば、「日本経済の発展」、全てはここに収斂するんだと思います。日本が高度経済成長を果たした代償でしょうね。

ここ20年来続く「グルメブーム」は、失くしてしまった食への【懐古趣味】、皮肉っぽいかもしれませんが、おいらはそう捉えています。


グルメブームそのものは、料理人としては言うべきではないかもですが、好きではありません。結局、本当に美味い物は、金持ちしか食べれないという事実を証明して行くだけが本質だからです。

例えば誰も知らない滋味の深い食べ物が田舎に埋もれているとしましょう、発見されたとして、それは結局大衆のものにはならず、値段がつり上がっていく運命です。

それがグルメブームの姿。

もう一つの道は、企業が大量販売に乗り出し、その味を均一にする技術を確立する事。その均一化された味はもう本来の滋味とは別物になっているでしょう。

ですが、長く続くグルメブームも、無駄ではなかった思うところもあります。
日本経済に一定の貢献をしてきた、反面、日本人の健康と舌を破壊してきた「食塩」の専売が終わり、自然塩をやっと取り戻しつつある事。


20年前に比べれば明らかに砂糖水みたいな「飲み物」を好まない人が増えている事。

食材に関心を持つ人が増えた事。

そうは言いましても、巨大な食品売り場のフロアで、おいらは失くした物の大きさに呆然と立ち尽くしてしまいます。


減塩が良いとなると、酢に漬けたすっぱい梅干だらけになって本物の梅干が見当たらなくなってしまう現状をどうすりゃいいのか。

噴出を続ける日本企業のモラルハザード。氷山の一角の確信。

仮にね、おいらが自分の思うような食材を自給できるとします。
世の中の食品は「人工」から逃げられないんでしょうがねぇ、自分で調達するってわけです。

太陽の光。清い空気。これはなんとかなるでしょう。けどもね、一番肝心な「汚れのない土」と「汚れてない水」と「汚染のない海」、これをどうしたらいいんです?

タイムマシンで過去に戻る以外にないですな。非現実的って事です。

そんな事にはなりはしませんが、もし万が一日本国内で食材の「人工汚染」がきれいに解消したとしましょう。

そしたら中国の問題が浮上します。
あの国はね、日本が何十年も前にやらかした同じ轍を今踏もうとしてるんです。

天然の滋味の深い、しかも体にも良い「岩塩」を、人工的に作った「薬品」みたいな不味い「食塩」で追い払おうとしているんですよ。


背景には当然経済効率優先があります。一事が万事その調子で、「本当に良い物」を消し去ろうとしています。整然と並んだ「人工的な美」を踏襲しようとしてるんですわ。

昨今日本で中国の食品管理のずさんさが問題になったりもしてます。
笑っちまいますね。


ではこの国の食品は「まとも」だと言いたいんですかな?


そもそも中国製品が消えたら、日本のスーパーは、いや全ての商売がです、翌日から営業できないってご存知なんでしょうか。

この国が経済成長の真っ盛り、東京湾は「ドブの悪臭」がしてました。
その道を辿ろうとしてる国を「批判するだけ」の姿は利己的ってモンです。

そして中国がある程度成長を果たしたら、今度は中国自身が、ベトナムやタイといった国から同じ問題を突きつけられるでしょう。同じ道を辿れば同じ苦しみを味わうって事になります。

自分の国が自動車だらけなのに、中国や他の国の国民に、「自動車に乗るな、空気が汚染するから」って言えんでしょう。食品もこれと同じ構造です。

チェルノブイリの食品汚染が例でして、ひとつの国で「自己完結」するなんざ現代ではありえないって事実。環境に国境は無いからですね。


本来は当たり前なはずの「まとも」な食べ物。

それを手にしようと思ったら、膨大な手間とコストがかかる現状。


それならまだしも、入手不可能なモンが多すぎる。
どうしてこうなっちまったのか。


あまりにも異常すぎないか、それともこれが「世の中」ってやつなのか。
それなら「板前」って仕事に意味があるんだろうか。

年々不味くなっている魚をみながら、
「あと何年魚を捌くモチベを維持できるのだろう」
などと考え込んでしまいます。


「潮時」ってのは意外と早く訪れるのかもしれません。

おいらは「沖縄の食」にかなり昔から注目してました。
グルメブームの悪しき風に良く耐えて、郷土食の伝統を守り続けてるからです。

沖縄の若い世代には、「タコス」だの「ビーフステーキ」が新たな郷土料理になってたりと、少し悲しい現実はあるにせよ、伝統料理がそれで駆逐されたわけではありません。

なにかのヒントがあるとしたら、沖縄料理にあるのではないかと考えています。

ただし「昔の」です。

いやまったく、おっしゃるとうりで グウのねもでませんね、 小さい頃田舎に帰った時に手伝いついでに食べたもぎたてトマトの味が忘れられません。今の変に甘いトマトがどうも美味しいと思えないんです、あと風味の無いピーマン・・・人工甘味料が入っていないタクアンってどこ行ったら買えるんでしょう。 甘い=旨い・・では無いでしょうに。
Posted by うめです☆ at 2007年09月11日 23:11

生で食って旨い風味のある野菜も、
塩だけで漬けた梅干も、
混ぜ物一切なしの沢庵も、
存在はします。「消費者のニーズに合わない」、そう勝手に解釈されて、それが店頭に並ぶ事はほとんどないのが問題なんですね。
店で買えないなら存在しないのと同じ事ですから。

消費者のニーズへの勘違いは、「商品はおりこうさんでなきゃ困る」という、流通販売業界の事情から起きます。本当に良い物は、形が一定ではありません。
「こんなモノは売れない」、「扱い難いので商売の邪魔」で、姿を消すって寸法ですね。

むずかしいのは、本当に売れない(消費者は良い物を選ばない)って事実があることなんですよ。
果物は熟成したのが旨い、ですが黒いシミだらけのバナナを買う人はいません。
とても美味そうには見えないが理由です。

でもね、「保存料の使用は、食品衛生上むしろ良心的である」といった論調が一部に根強くありますけども、これは販売側の擁護にしかなりません。
消費者には選ぶ権利がある。
餌をもらう家畜ではありません。
「保存料を使用しなきゃロスになるから商品としては弱い」
こんなのは大量に売る事だけを商売と考える「企業の理屈」で、消費者にはなんの関係もない話です。
Posted by 魚山人 at 2007年09月12日 00:08

はじめまして。「アジ 活き作り」で検索していて、ココにたどりつきました。
食材を扱う仕事をしてます。宜しくお願いします。

>「あと何年魚を捌くモチベを維持できるのだろう」

どうか、悲しいことをおっしゃらないで下さい。生産者からそういうつぶやきを聞く事も多いので …

友人がフランス在住ですが、自給率140%の国だけに、普段のTVでも農業や漁業などのニュースが多く、食についての国民の関心が高いとのこと。

それにひきかえ、日本は輸入大国のせいか、農水関連報道が圧倒的にすくないです。食の基本と大切さを、国もメディアも国民に周知徹底させようという姿勢がないんですね。
「そんなの作らなくても買えばいいじゃん」という政府の姿勢が台所に反映されているというか …

ドイツのある地域で、そこの産品のリンゴジュースが飛ぶように売れるのだそうです。ほかに大手のメーカーのジュースも売り場に並んでいるのにです。
なんでかと尋ねてみたら、「私たちはリンゴ果樹のある、私たちの地域の景観と自然を支えるために買う」と答えたのだそうです。

日本の消費者が、少しずつでも国産野菜や、近海ものの天然魚を「買い支え」て、良い方向に変わって行けますように … 。

なので、頑張ってください。私も頑張りますので。
Posted by orangina at 2007年09月26日 11:01

oranginaさん、こんにちは。
70年代以降、ちょうど高度経済成長がひと段落したあたりでしょうか、過度の大量消費を反省して、人間の基本とも言うべき「食」の安全の悲惨な現状を改めようと、日本各地で小さな『見直し運動』を始められる方々が増えて来まして、今日までその流れは途切れてない様に思います。
すでに歴史は長いというわけですが、なのに全国的に広まり定着する事はありませんでした。例えば酒造りですが、戦後長い間「毒水」としかいえない「三増酒」を平気でユーザーに飲ませて恥じない酒造メーカーの体質が内部から崩壊して体質改善される気運が訪れました(地酒ブームー)、しかしマクロには変化なしで、逆に悪くなってしまった部分すらあります。

国(酒税)と企業(大手メーカー)の横槍、
そして安くて良い(つまり本物)を強く求めない消費者。

野菜や海産物、いや食品全部が同じ構造のもとで結局は『大量消費のシステム』に戻されてしまう様ですね。
米や野菜の生産者の一部は、今もって無農薬は「自家用」で、出荷用と分けておくといいますが、なにも好んでそんな事をしてる訳ではないと思います。出来れば安全な生産品を消費者に届けてあげたい気持ちはあるでしょう。
巨大な経済構造に個人で抗してみても、「メシが食えない」んだと察します。

食品それ自体の問題ではなく、社会構造全体の問題なんですね。

ですけど、やはり地道に本物を求める声は、発し続けるべきだと思いますよ。「消費者の求めが経済構造を変える基本」というのは唯一の望みですからね。
その鍵はメディアが握っているんじゃないでしょうかね。何が本当なのかを消費者に伝えられるメディアの力は大きいですから。けど日本のメディアは事実を伝えてないのが気になります。
Posted by 魚山人 at 2007年09月26日 14:20

レスをどうも有り難うございましたm(__)m

そう言えば、今年の春くらいに、東シナ海で操業した漁船が中国の沿岸都市に直行し、アジやサバを卸していると知りました。
急成長で一億の人口の食需要ができたためだそうですが、魚離れの日本で卸すよりお金になるのですね。それがまた粗悪な加工をされて日本に売られるのです。

インドでも同じく経済成長での食需要が増えてきたそうで、友人によれば、8月にドイツ国内でバター50%値上げをトップに、のきなみ乳製品が値上がり。原乳が足らなくなったためですが、背後にはこの「数億の食需要増」があるとの報道でした。イタリアも先日、パスタが27%値上がりしています。EUはほとんど全土で値上げで、この夏の天候不順もありましたから市民は危機感をつのらせています。

日本では「ドイツ、バター50%値上げ」は一切報道なし。「パスタ27%値上げ」は具体的な数値を出さず「値上げ」だけでした。尋常ではない上げ幅なのに …

おっしゃるように「食」の見直し運動は70年代から何度かヤマ場があったようですね。今回は農産物だけでなく水産資源もピンチです。食糧輸入自体、国際相場が上がったため、日本は競争力で買い負けという状況になっています。「世界中の食べ物の奪い合い」という構造でしょうね。

地場の産品を根気強く地場で育てて消費する小さなサイクルができていけばいいのですが … 何より子供にちゃんと本当の味覚を伝えないと、食の崩壊は日本人のアイデンティティの崩壊だろうという気がします。
Posted by orangina at 2007年09月26日 17:28

orangina さん、ご丁寧にどうもありがとうございます。

本文にも書きましたが、ひとつの国単位で考えても、どうにかなる時代ではないと思いますよ。

中国やインド、さらに背後を追う沢山の国。西側がたどった道を止めさせる方法も、理屈もありませんし、止め様がないでしょう。

科学が追いつけるかどうか、だけでしょうね。抜本的な解決は。
現在の世界人口を養う余力は、地球には無いと思いますんで。
天然食材をあきらめて、人工食のテクノロジーを加速するしか現実的な対応はないと予測しています。高度な合成食品生産技術。
人類が力を合わせてそれをしなけば、いつか戦争でしょうな。
世界人口の8割が飢餓状態になる、などといった愚かな道は選ばないと考えたい。


天然の食材がほぼ食卓から消える世界。
しばし紆余曲折の後、そこに落ち着いていくのだと思います。

近い将来、ノスタルジーでしかなくなるでしょうかね、このブログに書いた様な話ってのは。長い人間の歴史のなかで、ちょうど奇妙な時期に生きてるんだなぁ、そんな気がします。
Posted by 魚山人 at 2007年09月26日 19:40

お早うございます。
そうですね。奇妙な時期、という感じ、よくわかります。その時代に居合わせる私たち大人はまだしも、子供たちが生き延びていけるかどうか心配 …

穀物を食べさせて肥育する畜産自体をやめれば、地球は飢えないで済むとのことですが、今のままの気候であるという保証はなしです。

でも、お魚を家庭でさばく若いお母さんがたもいらっしゃいますし、みりんを使って煮つけた魚で離乳食、ごはんとお味噌汁の給食をしている保育園もありです。子供たちはやはり希望ですね。

今は大人が頑固一徹にホンモノにこだわり続けることが大事と思います。身体で継承する「味覚」の遺産です。
Posted by orangina at 2007年09月27日 09:19

こんにちは。

仰る通りだと思います。
子供の未来を真剣に憂慮する大人の数が、少しずつでも増える事、それが今一番大切な優先事項ですよね。

個人的には、教育が肝心だと感じてます。
でたらめな食品は拒否する。そんな若い人が育って欲しいです。

それと、確かに畜産は効率の悪すぎる食料生産法ですが、その飼料を食品に回したら多くの飢餓人口が減り、まんべんなく人類の口を満たせる、その話はおいらは信じていません。実現性の極めて低い、典型的な机上計算ですね。世界には今もって南北の格差が存在してますし、飢餓線上の人口は考えてるよりも実際多い。仮に南の人達が経済発展を遂げても、先進国のやりかたを踏襲するだけでしょう。肉食が無くなる事は絶対にないと思います。我々が魚に対して持つ愛着と同じものを、世界の人の多くは肉に持っていますから。
穀物他から肉や魚肉を合成して、それを培養して増やす。そんな方向に行くしかないと思いますね。
地球を食い尽くした後、地球と共倒れする、それを避けるにはこれ以上自然の産物に手を付けるべきではないでしょうな。

しかし、不遜を承知で正直に言いますが、その時代には死んでいたいですね、おいらは。生きられませんや。
Posted by 魚山人 at 2007年09月27日 13:35

こういう時代に居合わせたのを不幸と思って、どうか魚山人さまのお考えをたくさんの人に伝えてくださいませ。

人はいずれ死にます。有限の時間の中で。
でも私が息を引き取るその瞬間にも、どこかで生命が産まれてきます。


「明日、世界が滅亡するとしても、わたしは今日、林檎の苗を植える」(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)
Posted by orangina at 2007年10月01日 13:06

oranginaさん、こんにちは。

良くない時代に生きてるって考えるのも、
逆に史上一番幸福な時代に生きているって考えるのも、
どちらも間違ってないし、正解です。
何も考えないよりマシってもんですわ。
刹那的に自己のことばかり考えて、そんなのは一切考えない御仁が多いから歪んでいくんでしょうな。

でも、どちらか一方に偏るのも良くないと思いますけどね。
Posted by 魚山人 at 2007年10月01日 13:58

ご無沙汰して申し訳ありません
こちらは益々元気に勉学やアキナイに精進しております。。
お店の皆様は変わりなくお元気でしょうか?

大将のお気持ち、、、すっごく解ります

確かに今の中国は超問題児ですよね 
でも
忘れてますよね  日本って  昔を
そのむかし、、
日本は米国市場を開拓するため自国を公害まみれにしました
その次のむかし、、
金持ちんなった日本はバブル銭で世界中から食品を買い漁りました
その次の次のむかし、、
バブルがパンクした日本は安い安い食べ物さんが必要になりました
そしてからに、、
企業は利益を維持する為に 中国に 走りました
そいで日本市場は安い中国製品だらけになりました

『安かろう悪かろう商品』 その背後にちらつくのは日本企業でありますね

農薬まみれの野菜を作る中国農民の存在を
日本企業のせいだ! そこまで言う気はありません

でもその方向に向かわせた大きな力にはなってると思う
アジアの奇跡たる経済成長の手法を見習ったこともあるし
(薬品だらけのマガイモン国民に食べさせて国大きくするってやつ)



大将の論調はいつも優しい。。。
「腹は立つ。でも誰か特定の〔人・国・団体〕が悪いんじゃない」
そういうお気持ちをいつも感じます お人柄ですわね。。

廻る輪廻は避けられない それが人の世ならば 世は哀しい

そんな目線を強く感じます

だから、、、
山に引きこもると言い出しても、、
おひきとめしません(何?^^



DS始めたんですね 意外と新しもの好きなのでするのね^^
『企業はユーザーを甘やかさない』『自己利益にならぬ事は始めない』
『個人副収入を勧めること自体が商売になる背景』
こんな点に留意しつつ 
楽しんでくださいねん
Webという名のオモチャをいじくる子供みたい 大将ってば(笑

ではまたいずれ、、、
御身 御自愛くださいますように
Posted by マル子 at 2007年10月14日 05:24

いつもの事ながら、マルちゃんには頭が上がりませんm(__;)m

Posted by 魚山人 at 2007年10月14日 07:17

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