「お客さんが来ないなぁ~」と思い悩んだり、
「忙しくて手が回んないよ、どうなってんだ!もう店じまいだ」なんて嬉しい悲鳴が出たり、商売ってのは暇だろうが忙しかろうがどっちみち気苦労の連続です。自分が思い描いていた通りになるなんて事はまず無いと考えていた方がよいですな。これは確実です。
客数周期の摩訶不思議
お客様の流れはとても不思議に思えます。
「準備万端さあいくらでも来い」なんて時に限って異様に来店客が少なかったり、今日はヒマだろなんてノンビリしてたら満席が続いて慌てたりします。
これがお客の「周期/波」です。やっかいな現象ですが、この周期があるうちは商売は大丈夫だという事を少し書いてみましょう。
商売の数字
商売には数字がつきもんです。客単や原価計算、荒利益率なんぞは基本です。
しかしね、そんな細かな計算よりも一番大切なものは「客数」です。
客単が悪いだの、原価をおさえなきゃ、なんてのはお客さんが来てくれてからナンボですわ。いちいち細かい数字に振り回されて本末転倒しちゃいけません。
「人が来てすべてが始まる」んです。
常識ですが商売は「立地条件」が第一です。と言うか、ほとんど運命を左右するのこれですけどね。言っちゃ悪いと思うんですが、世の中には、こんな不味い商品出して何で食べ物商売やってるんだろう?って首をかしげる店が数多くあります。
もっと不思議なのは潰れないこと。
これは「お客さんが来る場所」に店があるからです。
つまり「周期」に悩む事がない幸運な事例なんですね。
でも大部分の人はそんな場所に店を出せるわけではありません。
よく分からない立地条件で商売してるのが大半でしょう。
そして壁にぶちあたる時期が必ず来ます。
客の動向が分からない
お客さんの、
足が読めない
波が読めない
流れが分からない
ピークタイムが一定しない
株式投資はやった事ありませんが、おそらく株価とお客さんの足というのは似てると思います。上がるのも下がるのも予想できる様でいながら実際は誰にも分からないって事ですな。
美味しい商品を開発して地道にコツコツ頑張ればいつか軌道にのる。よく言われることですが、実はこれ、商売が上げの波にのる沢山の「複合的要素」の一つでしかありません。つまりそれだけじゃ駄目ってことです。
腕の良い板前が店を出し、いつの間にかその店は消える。
そんな例を数えきれない程見てきました。
そんな例をつぶさに見て感じるものがありました。
「毎日来店してくれるお客よりも、予備客の方が大事」ってことです。
毎日来て酒を飲んでくれるお客さんは大事です。でもそれじゃ駄目になるんですよ。食べ物ってのは例えば寿司ならそれを毎日食えるものじゃありませんよね、ある期間を置いて食べるのが普通です。
一組の客が月に2回訪れてくれると考えてみましょう。年に24回。10組いれば240回。100組いれば2400回。
そうしたお客様が予備客です。見込み客と言ってもいいでしょう。
この方々の数で商売は成り立つんです。
料理人あがりはこれを理解できずに御馴染客オンリーになり店を傾けるんです。
料亭でさえ「一見さんお断り」なんて言ってらんない時代なんですよ。
贔屓客ばかりで店があふれたら、先は長くないってことです。
この予備客の方達の「来店意向」が偶然重なったり、その逆だったりするのが、すなわち「周期」なんですよ。これを「波」だと考えますと、その波の高さが「客数」です。
この波が打ち寄せやすい店にしなきゃいけません。贔屓の客ばかりで一般の人が入り難い店は、海岸の奥深くにある入り江ってわけで、徐々に波は来なくなります。
しかし実際問題として大事なお馴染さんをないがしろには出来ません。
でもそう思うのは間違いです。
そういった思いが態度に現れて分け隔てになり、人を不快にさせるんです。
「御馴染さんであろうが、お初さんであろうが誰だろうが、店に来てくれた人には同じように精魂込めて料理を召し上がって頂く」
つまり来店者はすべて「お馴染さん」だと考えるべきなんです。
今日も下町の何処かの店で、
「自慢じゃねぇがなぁ~、生まれてこのかた天神様の庭先は別だが東京タワーってのに登った事ねぇんだよ!おりゃぁ!」
なんて、自慢も何も(笑)意味不明のゴタク吐いて、
(以心伝心で気持ちは分かるんですがね地元のモンにゃ)
赤ら顔の酔客がトグロ巻いてますが、こういった酔いどれでも、今日初めて来た上京したばかりの青年でもね、同じようにお客様として温かく接してやりましょうよ。
最後は店主の姿勢だけ
何かWEBサイトと似てるようでもありますが、
リアルの世に「検索エンジン」はありません。
マスコミや宣伝によってつかめる「波」は空虚で中身はありません。マスコミの力で大波が来たってそれは「台風」ですよ。「波」では無いし一過性に終わる。物見高い見物客は刺激につられてやって来ますが、決して「予備客」にはなってくれないからです。
嵐が来たって良い事は何もありゃしないんですよ。
あなたの「姿勢」だけが予備客を増やす鍵で、
それが商売を続ける秘訣なんですよ。
あなたは自分の「予備客」が何千何万いるか、その数を把握してますか?
よく富豪さんが仕事とは無関係のボランティアや慈善事業のお手伝いをさせていただくようになり、ビジネスの数字がさらに伸びたっていいますが、
最近、小規模ながら理解できるようになりました。
ひとは無償行為で信頼をはかるところがありますよね。
Posted by futaba at 2008年05月22日 16:20
こんにちは。
今この瞬間の利益に目の色を変えるか、
それとも将来の安定を考えるか。
人の常識は後者でした。
それも昔の話になりましたが・・・
お互い商売は色々ありますが、お天道様が用意してくれたレールです。肩を張らずに楽しく歩いて行きたいもんですね(^_^)
Posted by 魚山人 at 2008年05月22日 17:44
こんばんは。
だいぶ以前、刺身と鮨がすばらしいお鮨屋さん(お鮨屋さんですからおいしいのは当然なのですが、大変レベルが高い)でアルバイトをしたことがありました。
常連客が多く、数限られたカウンター席で領収書で飲食する同じ人たちがとぐろを巻いていました。
お酒をたくさん飲んでタバコを吸い、舌が麻痺したところで最後にお鮨をつまむ・・・こういう常連さんだけのお店になってしまったことで、そのお鮨屋さんは人手に渡ってしまいました。
辻静雄さんが吉兆に通っていたときに一度として同じ料理が出てきたことがなかったことを湯木貞一さんに問うと、「一期一会ですから・・・」と答えたと聞きますが、本当に常連さんでも一見のお客様でも等しく接することが商いの基本だと思います。
Posted by ポコ at 2008年05月24日 21:29
日本の創始者達は本当に偉大ですよね。
それが二代三代と後世に伝わらないのは、「人」ではなく「会社」が商売の主役になるからだと思います。
Posted by 魚山人 at 2008年05月25日 05:53