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飲食店の景気

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不景気と飲食

売り上げが前年比で百パーを超える飲食店。
三年前の同期に比べて売り上げが増加した飲食店。

これがほとんど消滅してるのが現状だという話題が多くなりました。

景気に左右される飲食店

そんな話は昔からありはしましたけども、景気に左右されない店ってのは存在してたもので、影響されず売り上げグラフを右肩に上げる店やチェーンって奴があったものです。例外ですな。


ところが今回は例外が無い。軒並みってことです。
(当たり前ですが 全部 とは言いません)


慌てて従業員を整理にかかったり、ネタを薄くして原価を下げようなんてところも出てきてますが、弱いところを突っつくだけでそんな事しても何の意味もないどころか逆効果になるってのが解らないんでしょうか。

※一般に原価率と思われているのは原料費率です。原価とは営業に関する全ての諸費用を指し、従って売上からこれを引いたのが営業利益です。売上高から原料費を引いたものがいわゆる「荒利」になります。*飲食店では使用総資本の利益率と回転率が重要になり、この数値で店がペイできるか判断する事が可能です。これを算出するのは売上高/年のデーターが必要。

原価と売上げ

以前「テコ入れ屋」の真似事をしてました頃にね、月1千そこそこの店を2千越えに持って行く方法として実践してたのは、「原価率を無視して売上高に重きをおく」って手法でした。

分かりやすく言いますと、例えばマグロの原価は高いので刺身一切れを薄く軽くカットしたくなるわけですよ、経営上の数字を気にしてるとね。そうすれば原料費率を下げる事になり利幅は増すからです。

ところがこれでは客足が遠くなるんですよ。

そうしたら全体の売上高は減少します。

売上高が縮小してしまえば原価率が良くなったってなんの意味もないんですよ。

しかし全体の売上高が伸びればね、原価率のコントロールも簡単になってくるんです(旦那の給料でやりくりしてるご家庭のおかみさんは直感的に分かりいいでしょう)。

勢いのある華やかで人を引き付ける料理ってのは無駄が多く、当然原料費を引き上げコスト増になります。しかしそれをしない限りは客数も客単価も伸びる訳がありません。

ですから最初に経営者にこう言います。「一年後には確実に2千超にしますから半年間は原価率を無視してください」

具体的な例を書きますと、お客さんってのは「シンボル」が目当なんです。祭りの時は人混みで前が見えないほど混雑しますけども、あの人達は「ヒトゴミ」を観たくて集まっているんじゃありません。神輿や山車を観たいんですよ。


この事を例えば回転寿司にあてはめますと、レーンに回っているのがシンボルになんなきゃいけないんです。へいへい凡々のネタじゃシンボルにゃならない。

そこで店の外からレーンを見てみるんです。答えは「立体感」になりますね。

要するに「ヒトゴミの後頭部の集まりから突き出して見えるミコシ」ってわけ。つまり皿のネタはタコやイカでは駄目で、「イベント」そのものが皿にのってまわっていなきゃいけない。

この理屈は和食店でもその他のどんな店でも同じです。料理や菓子やラーメンや蕎麦を売るのではない。イベントを売るんですよ。ランドマークです。

視覚的に目立つものという意味ですが、それは物に限らずなんでもいいんです。「高さ」さえあればいい。これは東京の何処に群集が集まるかを考えてもらえば直感的に意味が分かるんじゃないでしょうかね。

チンケなネタを回してるよりも皿に東京タワーやヒルズの模型の様なケーキを乗せて流すってことです。乱暴な例えですけどね。


このケースではマスコミも巧妙に利用してしまうのがよいです。どうせ向こうさんも利用してるんだからお互い様ってことです。

今説明したのは大型店舗の話でして、個人店でランドマークもないでしょう。でも同じなんですよ。個人店ならば「なにか飛び抜けた一品」などがそれに該当するんです。

「なんで人は訪問しようとするのか」です。そこを考えてもらえば「一品」が料理でなくてもかまわないって気が付かれるでしょう。ただし個人店では絶対にマスコミは禁物です。

長期で考えれば一時期の「ハゲタカの期間」よりも、マイナスの方が大きいからです。これで後悔してる人間を大勢知っております。心ある人間ってのはマスコミの薄っぺらさを見抜いてもいますからね。

長々と書きましたが単純に言えば「儲けより集客が先」って事です。

経営を学習した経験はまったくありません。ただ料理には言うべきものを持っていた。どうしたら店に人を呼べるのかもそこから敷衍して身に付けました。たんなる「勘」っても言えます。それを面白く感じたから「店おこし」に呼ばれる事が嫌いではなかったですね。自分試しでもあり、結果が出れば満足感が得られる。

ただし上に書いた経験の部分は「過去形」です。また自分の店にその手法を使おうと思った事は無いですね。自分には自分に向いたやり方ってのが一番よいんです。

売上高を言うのは経済の原則で、これが「経済成長」と呼ばれるものでしょう。日本がそうだったし、今は中国が突出している様子です。

「成長を維持する」これは矛盾した話ではないですか。「どこまで成長するんだ***は!?」なんて言い方も存在しますが、その言い回し自体がジョークでしかない。

永遠に成長するモンなんざ、この世界にはないと思いますよ。何かありますか?限界が無いのが?

尖がり続ければ当然角が鋭く突出し、それは道理を刺して傷をつけます。

その想いが重くなって来た時に「おこし屋」の話はすべてお断りする様になりました。

おいらは今の景気の萎みを悲観的に考えていません。色々言葉を並べるよりずばり言いますと、「日本人は貧乏な方が幸せになれる」そう思うからですよ。その過渡期である時期だと思いたいんです。

次世代に良い世界を残してやりたいじゃないですか。


その世界は、
銭まみれであっぷあっぷして、分厚い札入れとは反対に薄っぺらい心と濁りきった目をして、きらめき輝くネオンを人々が闊歩していたあの「バブルの時代」の様な経済〈だけ〉が成長してる世界か、


それとも、
人が人として等身大で素直に真面目に生きていける「脂の薄い」、他人に優しくても奇異ではない正常な世界なのか、

子供らはどちらを選ぶか考える必要はないですよ。けど馬鹿げた世だからとそれを拒否する事は子供達にはできない。


我々大人が播種し、子供は稲の色を待つ。
食べられる稲かどうかは収穫期にしか分かりませんけども、美味い米を食べさせてやりたいですよね。

ごもっともですね。押し付けられた文化から本来の日本文化に戻る時が来てるって感じですね。

Posted by porapusk at 2008年10月15日 19:13

porapuskさん。

時間は逆戻りはしませんが、やはり温かい社会の方がいいですよ。
そういう国になって欲しいですねぇ。

Posted by 魚山人 at 2008年10月16日 05:51

爺…
記事を今読み終えたとこ

正直 途中までゎ『なにゴタク並べてやがんだ?今日の爺ゎ』って思ってた でも最後まで読むもんだネェ

今『ありがとう』の気持ちに包まれてんだよ 俺


子供達を取り巻く環境が
バブル以降 変わり果てた

遊び塲ゎ粗利の犠牲になり遊ぶアイテムもまた粗利の為に産まれ…

社会の縮図である筈の学校ですら 大人の都合で分別が『かたずけ』られる†

お客の中で何人も見て来た壊れてく子供達…

貧困生活でもネェのに 産まれ間もない赤ん坊を保育所に預け 凛と社会の波に消えて行く母親

子供に共稼ぎして得た金を株券にでも投資するが如く費やす親御さん

『目』が死んでんだよ
早く気付けよ†
限界がわからネェんだよ
子供達ゎ†

愛情も躾も知らネェ人間を
造るなよ†



ゴメンね爺…爺のblogを汚しちまうな俺


貧しい中にも幸せってやつぁ必ずあるよ

子供達の寝顔
夢見るささやかな時間
昼間とゎ別人なカミサンの素顔(笑)


今日ゎ久々に
涙がしょっぺーこと
再確認したよ

『ありがとう』



あと10年そこそこゎ
ま~だ爺も御尊名かと…

息子が親の反対を振り切り『板前になりたい』なんぞ吐かした日にゃ 爺

『よろしくお願い申しあげます』

馬鹿なまんま
お渡しします故

Posted by 鯔次郎† at 2008年10月16日 01:38

鯔次郎さん。

熱いねぇ、いつも。でもほっとしますよ(^_^)
奥さん息子さん、幸せですよ。主が鯔次郎で(笑)

頭で分かっていても、人間、強く生きれる人ばかりじゃないですよね。
それに努力しても幸に縁が無い気の毒な人もいる・・・
そういう人達まで突き放す気持ちにはなれません。
だだそういう人達に助言するならば、
「鯔次郎の様な気持ちを持ちなさい」
でしょうか。


クラクラする事ばかり続き、爺は疲労気味だが・・・
(ゴメンね・・ゴタク並べて)
なんとかあと*年は、ギラギラした目でいましょうかね。
鯔に泳ぎ負けちゃいけねぇし(笑


Posted by 魚山人 at 2008年10月16日 05:52

お疲れ様です 自分はこの時代に生まれて本当に幸せに感じます。両親が生んでくれて、かみさんとの出会い 新しい家族、板前の世界に出会い いろんな方に出会い そして魚山人さんのブログに出会った事 そして残りの人生 包丁と共に生きる上で 大事な事をいつも考えさせていただける記事です。      自分は経営の基盤は人にあると思っています しいて言えば遊び心だと(経営を熟知していらっしゃる方からすれば青二才と叱られてしまいますか…)板前道しか歩いてきていませんが 自分が暖簾を出せるならお持て成しとしてお客様に喜んで頂く それには人と人の心が触れ合う事それが一番重要なんじゃないかと。ただ旨い 雰囲気がいい 場所がいい 流行ってるから そんな条件だけでも賑やかなとこは見かけます それはそれで一生懸命働いていらっしゃる方ががんばっていますから 良い店なんでしょう。遊び心 これはただ面白く、とか、いたずら心ではなく 来るであろう壁に直面したとき 客観的に考えられるか 頭でっかちになっていないか そういったときに 必要な気持ちなんじゃないかと感じてます。市場、板場で原価を弾き出し お品書きを立てますが 原価率のかけ方は 月単位で変えています 6月7月に原価をかけ 冬場にまた来て頂きたい理由と 夏に食欲が落ちる頃 記憶の片隅に 残っていただけるように 考えてやっていますが  経営者さんのご理解もあり 原価は五十前後でやっています 古い店ですから馴染みの方も多く 集客数はいいほうですが波があります 前年度を上回るためにしなきゃならないことは 店全体で人を感じてもらえるか ここがまだ課題です。もちろん料理も姿勢もです。雇われの身 数字が大事だと感じますが 打率を気にしすぎると 打てなくなる野球人になってしまいますから 手間をいただく以上日々勉強です。まだまだ若輩者 あらためて魚山人さんの記事に深くかんがえさせられます ありがとう御座います。義理の親父の自家焙煎珈琲家は、色んな職業の方が見えます 笑いと難しい話しが目まぐるしく飛びかった 安らぎの場所 そこで休憩時間 貴殿のブログにピコピコしてますと引退した左官家のとっつあんが かみさんにラブレターかぃ?嬉しそうな顔してピコピコしやがって(笑)

Posted by たいら at 2008年10月16日 01:42

たいらさん。

今日の記事は少し整理がついてなくて分かり難いですが、数字に踊らされ過ぎてはいけないって主旨です。勿論プロなら基本的な数字を把握しておくのも大切な仕事ですけどね。

しかしコメントを拝見しますとあなたはもう何もかも理解なってる(笑
たいらさんの文章からは、いつも真摯な人柄が感じられて、気持ちが安らぎますよ。どうもありがとう。

それと、先日は失礼いたしました。
あの記事は収納庫に一時保管して温めております。いつか再構成するかも知れません。ウェブサイトも料理のごとく手馴れていればと思います。イメージを形にできない(スキルが無い)ってのは悔しいですね。
まぁ「乱心」だと思って勘弁してください(笑)


奥様やご子息はきっとあなたに似てきますでしょう。一つ屋根の下ですから。
特に息子さんは素直な良い子になるに違いない。想像しただけでとても可愛らしいですよ。仰る通りで、あなたは幸せ者です。でもその幸せは、あなたが自分の力で招いたものに違いないのも確かです。

Posted by 魚山人 at 2008年10月16日 05:53

初めまして。
魚をあまり食べない国から、市場に沢山の魚たちが並ぶ地域に引っ越してから、急に「私は魚のことを何も知らない。」自分に気がついてネットでいろいろと検索してるうちに、男前、板前さん(笑)のサイトに繋がりました。

文章を書くのが得意ではないので、コメントを残すのを躊躇していたのですが、きょうの
ブログ中にある「自分には自分に向いたやり方」に感動しました。
現在、強烈な資本主義社会に身を置いていながら、日々子どもたちとの関係や躾を考えるとき、国を変わるごとに自分自身の経験と価値観がぐらぐらと揺れて、いまだに心の芯を見つけられないでいます。
板前、男前さんのブログ、いつも心の持ち方の指標にさせてもらっています。
読ませていただいて、ありがとうございます。
すごくためになります。感謝。

Posted by ジュン at 2008年10月17日 00:40

ジュンさん。
コメントありがとうございます。
大変なお仕事ですなぁ、ご苦労様です。

こちらもご同様ですよ。知った風な事ばかり書いておりますが、とても恥ずかしくなる時がありまして、それは >価値観がぐらぐらと揺れて、いまだに心の芯を見つけられない  からですよ。齢をとっても料理の事、人の事、ますます分からなくなるばかりです。ですから日々精進なんでしょうかねぇ。

Posted by 魚山人 at 2008年10月17日 07:43

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