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板前主夫の糟糠メニュー

後漢の初代王「光武帝」の時代、「宋弘」なる賢者がおりました。
その仁徳により光武帝に重く用いられ、三公に次ぐ位「六卿」の大司空にまで出世します。租税を得る立場にまでなったということ。

光武帝の姉が夫と死別した折に、光武帝と次の夫について話し合いました。未亡人いわく「宋弘の威容と人徳は、群臣の及ぶところではない」
その後光武帝は義兄となるに相応しいかというより、姉の夫になる気があるかをそれとなく試してみます。
「俗に、貴賓となれば友を代え、富裕となれば妻を代えるというが、これは人情というものではないか」
宋弘はこう応えました。
「貧しい時の友を忘れることはなく糟糠の妻は堂より下さず」
帝とその姉は諦めるしかなく、あらためて仁と義に感じ入ったそうです。

糟糠とは酒かすと米ぬかの事で、粗末な食べ物という意味です。
貧しい頃から共に苦労を重ねてきた妻の事を【糟糠の妻】と言いますが、その所以はこの故事にあると云います。

妻は一緒になる前から続けている仕事がありますので、店の仕事にはタッチしておりません。女将役は別の者に頼んでおります。
子を産んでないせいか、はたまた神経質とは逆の性格からなのか、いつまでたっても20代にしか見えず、血色も良いうえに食欲も旺盛でおまけにいくら食べても太らないという天真爛漫な気質と体質。
健康そのものなんですが、子供時代からの持病を持っています。

時に悪化して病院の世話になるか自宅療養を余儀なくされます。
この時が実はおいらにとって待ちに待ったチャンスなんです。
食事療法ができるからです。
妻は料理はできる様ですが、家庭での食事はおいらが作ります。
「毎日和食を作ってくれるなら一緒になってあげる」
そう約束させられたからです(強制的に(笑)
しかし朝食はともかく、仕事に出たら何を食ってるのかしれたもんじゃありませんね。大めし喰らいの女ですから(笑)

そこで自宅療養で閉じ込められた時に絶好の機会が訪れるって寸法。
食事療法は「継続」と「余計なものを食べない」がポイントで、これを守らないと無意味というか逆効果にすらなってしまいます。
逃げられないですからおいらの作るのを食べるしかない、だからチャンスなんです。

おいらは食事内容で体質が変化すると信じています。
もっと言えば病気は食事で治ると思ってます。(外科的疾患以外)

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板前主夫 料理メニュー

そんな日々に作った料理のメニューを紹介いたします。

某月某日(初日)
朝食
用意したのは
ヨーグルトの木苺ソースかけ。
人参と林檎の生ジュース。
カタクチイワシの山椒和え。
ナメコの赤だし味噌汁。
麦飯の金胡麻散し。

妻は低血圧。
寝坊で食欲が無い時は生ジュース以外は食べさせません。

昼食
鮑のすりおろしかけウドン。
レタスの温菜5色キンピラのせ。
*特製茶の①(熱い麺と合わせて汗をかかせる為)

夕食
まる鍋(すっぽんと野菜8種の鍋)
まる雑炊。(白米の雑炊。ホウレン草等で欠損を補助)
日本酒(純米)二合。

某月某日(翌日)
朝食
人参と林檎の生ジュースのみ。
人参一本半と林檎一個をジューサーでしぼったもの。

昼食
貝の炊き込みご飯。
ちりめんじゃこと大根おろし。
ホウレン草の蒸しおひたし。
アルフルファとパプリカの魚醤ソース。
あら汁。

夕食
マグロの刺身(赤身・天然)
大根の刺身。
蒟蒻の刺身。
仔牛のレバーの刺身。
新生姜の刺身。
生牡蠣の刺身。
生ワサビの巻き寿司。
ワイン、ハーフボトル。

某月某日(翌々日)
朝食
人参と林檎の生ジュースのみ。

昼食
ハマグリと蒟蒻と人参の雑炊。

夕食
海ぶどうと黒酢。
ラフテイ(豚ばら角煮)
とうふよう(腐乳豆腐)
蒸しゴーヤ。
泡盛。

文字に書くと豪華な内容みたいに見えますが、店の半端物を利用した「あまりものメニュー」が多く、買出しは市場でのまとめ買いが基本ですので材料費自体は低いです。何よりも単品の「量」をおさえています。
少しずつカロリーを減らしていくのが狙いで、この後徐々に生ジュース以外は「まやかし」みたいな内容に変えて行きます。
二日目からは一日二食。そして一日一食にします。

食べた気にさせるのは食材の種類を分散させたメニューにする事。
チャンプルーより単品にするのが効果的。
ダイエットさせる気はありませんが、結果的に一日1キロほどやせてしまいます。(療養期間平均値)しかし栄養失調にはしません。何かを強制してもいけません。嫌がるならすぐに内容を変えます。

食事は本人が旨いと感ずるものが正道です。
味覚が狂っているとすれば、それは精神の何処かが狂っている訳であり、決して舌自体がおかしくなっているのではありません。
従ってマトモな食事をすれば誰でも正常な舌に戻ります。
変な物を食って旨いと感ずるのは、精神の狂いであり間違いです。本人は美味しいと勘違いしてますが、身体はそれを認めてはいません。精神と肉体の乖離現象であり、この場合は肉体の声が正常なのです。
狂いは一発で治るような易しいものではありません。
本当の味覚を精神が取り戻すには、本当の味を食べなければいけないのです。慌てずに徐々におかしな食物を旨くないと感じる様に持っていくしかないのです。

*特製茶とは
①が沖縄知念の茶葉「くみすくちん」の茶に黒糖とおろし生姜を入れたもの。
②は寿司用の粉茶にニガリを数滴入れて冷やしたもの。
③はウーロン茶と麦茶を煮出したものを冷ましてニガリを数滴加えたもの。

他に常時食卓に出すもの。
茸類の胡麻油炒め煮
割り干し大根の塩煮か糠漬け等の漬け物
ヒジキと大豆とコンニャクの伽羅煮
昆布の佃煮

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