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秋の夜長に想う仕事と妻の事

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仕事と妻の事

「この仕事に命はってます」
って言葉に弱いっすよね、みんな。

武家社会からの影響なのか
家庭よりも仕事が大事ってのが公然と美化されちゃってます。

いえね、かみさんが入院しちまいまして
でも今は毎日かみさんの好きなもんを見繕って、手製の料理を病院まで届けるだけで済んでるんで、たいした事はねえんですが、それでも万が一んときゃおいら付きっきりで看病するつもりです。

そうなりゃ問題は仕事ですわ
ただでさえ時間帯が長く不規則な商売だもの。

おいらはっきり言って仕事よりかみさんが大事です。

もともと仕事ってなぁ家族にメシを食わせるためにするもんでしょ。
仕事はやり直しがききます
ひとつが駄目になったからってそれで人生が終わるわけじゃねぇ
道は沢山あるし、また一生懸命頑張りゃいいんです。


ところが女房はこの世に一人だけしかいねえ
ましてや手前が惚れて一緒んなった恋女房だ
とっ代えなんかきくわきゃねえんです。

爺ィんなってから、もっと大切にしときゃよかったなんて馬鹿な後悔したくないんですよおいらは。

皆働かなきゃ食べていけません
でも食えなくなりゃまた懸命に働けばいいんで
その為に大事なもんを蔑ろにしたんじゃ意味がねえ

人生は一度きりです

仕事に生きる男って響きは
いかにもカッコよさげだけど、おいら思うんですよ、そういう風に生きた男は、妻を亡くした時、それか手前が死ぬ間際に、絶対後悔するんじゃねえかって。


そういう生き方って本当は単なるエゴでしょう
家族を食わせる為に俺は仕事してるんだってなぁ
逃げでしかないんじゃないかな、人生からの。

もしもの時は家族の為にきっちり腹をくくる
それが男の筋じゃないのかな


仕事に目の色変えるだけが男じゃねえでしょう。


なんて偉そうな事をならべてしまいましたが
こいつはもしかしたら自分自身への言い訳
と言うか慰め 釈明 覚悟 ?


まぁそのうちのどちらかなのかも知れません。

長すぎる秋の夜長に
そんな事をつらつらと想います。

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