「客に喋らせる」板前の接客話術
板前という職業はお客様と向き合う場面が多くなるケースがあります。
ケースと言いましたのは形態によっては厨房のみでの仕事で終える板も沢山いるからでして、カウンターを備えている店に限られるからですね。
食事のみで酒は飲まないという方はあまりおりません。たいがいはお客同士で語らい、会話を肴にして飲まれるので板前は料理や酒に配慮していればいいのですが、板も会話に引きこまれる事も稀ではありません。
当然ですがお客の年齢や職業は様々。
したがいまして話の内容は多岐に亘るものです。
あらゆる分野の知識を備えておきたいもの。って言いたいところですが、そんな必要は無いと申しましょう。そもそもそれは無理な相談ですし、不自然に背伸びする事はありません。分からないものは「分かりません」とした方が人間的に自然だというもんです。
ところが人というのは酒が入りますと熱くなりがち。
ヒートアップして止まらなくなる場合も多い。
先日ある分野で名の高いお客さんが次第に熱くなり、テンションがアップしてとまらなくなってしまいましたのですが、その内容の骨子は以下の通り。
＞庵野監督は碇シンジと葛城ミサトの成長譚だと語っているが、この物語の鍵はアスカと綾波レイの存在にある。特に核心は綾波レイだね。この二人の少女のキャラを正反対にしている事が綾波レイを一層際立たせている。永井豪のバイオレンスジャックやデビルマンの世界観を踏襲し破綻しているストーリーは宮崎駿など多くの業界人の不評を浴びた。しかしストーリーそのものよりも、おそらくは圧倒的な隠れファンを持つ綾波レイの存在が新世紀エヴァンゲリオンの問題点なんだ。
確かこの方は50歳を超えているはず・・・・・・・
おいら達は仮面ライダー世代。アニメでもアトムから鉄人28号の系譜から宇宙戦艦ヤマト・ガンダムときて最近の攻殻機動隊までの流れをおおまかに知らないわけではありません。
しかしあくまで「おおまか」であって細部は知りません。他にすべき事が山の様にありましたので、全部を観ていられるわけがない。新世紀エヴァンゲリオンの流行期は特に仕事その他が忙しい時期でもあり、まぁ要するに観ていません。概略くらいは知ってますけどね。
つまり上の話はまったく「みえない」わけですよ。
なのに何故固有名詞などをここに書けるほど憶えているかと言えば、それは職業柄の記憶術があるからです。それにまったく知らぬ話でもないし興味がゼロってわけでもありませんからね。
「主人公ではない綾波レイという少女がエヴァファンに与えた影響は社会的とも言える。なぜなら綾波レイは日本の男の理想型であるからだ。歪んだね」
という話はかなり興味深くはあります。
興味深くはあっても自分の考えは口にしません。
言いたい事があればこのブログにでも書けばいい。
お客さんが喋っている時、話の腰を折ってはいけません。
意見や自己主張は話を引き出す「あいの手」に留める。
延々と口を開けば主客転倒になるからです。
話を引き出す。そこに主眼をおきます。
話したい人は内部に充満しているものがある。
それを吐露させる。
その話の内容が自分の知らぬ分野であって、その事に無知だと看破された場合に相手は口を閉ざす可能性がありますが、それをカバーする方法もあります。
「言ってる事が理解できる」「興味がある」「黙って聞く」という意思表示をする事です。それが「あいの手」になりましょうかね。
なぜそうまでして話をさせなきゃいけないのか。
もちろん料理人としてはいらぬ配慮です。しかし接客サービス業として、あるいは人間として、「相手に気分良くなって欲しい」という単純な動機ですよ。
鬱屈したものを吐き出すと人は気持ちが晴れる。料理、酒の味わいも変化するし、気分良く店を出れます。
当然ですが「黙っていたい人」からまで話を引き出すのは僭越。
そんな事する必要はまったくないです。
まあ 飲み行く人達は 酒が入れば それこそ
時間を忘れ 話が話を呼んで 永遠に終わらなくなりますね。
まあ 私も 経験が無い訳では 有りませんが。（笑）
話が 盛り上がってる時 お店の人が話しに入ってくるのは
合いの手ぐらいが 丁度 良いと思いますし それが
接客業の接客だと 思います。
昔 話好きのマスターの店に 何度か通った事が有るんですが
こっちが頼んだ料理も作らず 会話の主導権を取り こっちが
聞き手になる始末（笑）
こっちは プライベートで お忍び？で行ってるのに事情を分らず
毎回 会話に入ってくるんで うっとうしくて行くのを止めて暫くして
その店が火事になり お店も無くなったので二度と行く事も
なくなりましたがね
市ケ谷で勤めてる時 ちょっとしたフランス料理屋 と言っても
高級店じゃなく出す料理がフランスっぽいってぐらいな店でしたが
ここの マスターも 話し好きでしたが 営業時間中は
厨房にいるので顔を見せず 営業時間が終わり他のお客が
帰るのを見計らって一升瓶に入ったワインを持ち出してきて
ここからは 俺の驕りだとばかりに それこそ 飲めや 食べろで
毎週お世話になりました。
私と歳の差から言って 親父と思える年代の御夫婦が
やってた店で 仕事・人生などに対して 叱咤激励を受けながら
心の拠り所になってた気がします。
私も 魚山人さんと 同じ世代だと思いますが
巨人の星・鉄腕アトムなどを見て育った世代です
昭和の あの頃は 良かった ・・・
時間は 今より ゆっくり動いていた気がするし
経済も ますます発展していくんだと言う活気みたいなものが
有ったし
昭和は 良かった ・・・
こんな言葉が出てくる事自体 歳 食った証拠でしょうね（笑）
話しは変わりますが 字を大きくして頂いて ありがとうございます。
いつも 思うんですが いつＰＣをいじる時間が 有るんですか？
お忙しいのに その努力には いつも 感嘆・敬服しております。
これからも いろんな 話を聞かせてください。
下手くそ釣師のトミー
Posted by トミー at 2009年05月30日 00:50
こんばんは。
自分が行く店にも話好きの店主がかなりいますよ(笑)
それはそれで結構だと思っています。
嫌なら行かなきゃいいだけの事ですんで。
嫌じゃないんで顔を出します。
ブログの文字は自分でも小さくて見難いと思ってました。
それでＨＰと同じく可変にしました。
目が楽になりましたよ(笑)
Posted by 魚山人 at 2009年05月30日 01:12
お疲れ様です爺m(__)m
こればっかりゎ正論がﾈｪ…接客ってやつぁ永遠の
ﾃｰﾏだろね
カウンター商売の
しかもTalkに限ったことで言えば
板前なんざ所詮 種巻きしか出来ﾈｪし こんこんと話に入り込み夢中になったんｼﾞｬ商売にならﾈｪし…
店全体を常に見回し…
これも100％ゎなかなか難しい。忙しいときなんざ
何度反省させられ何度となく自己嫌悪に陥ったことか(;Д;)
ってさ！
違うんだよ！
最近やたら東横線が人身事故のために停まる
自殺だよ
爺のblog記事ゎ欠かさず読んでるが
日本人の中にゃ
想像を超える格差が
今 現実と成りつつある
爺がblogで 唱える以前の
生活を強いられてる家庭が存在してんだょ
どうしたもんだか…
このまんまｼﾞｬいけない
でも どうしたら…
右向けｰ!右！
これを履行するなら
俺ゎ飲食店に従事することを諦める
手間に対して
価値を下さる時代ゎ
もう存在しないのだろうか
鯔次郎†ゎ そんな中
遊泳中ですよ
おやすみなさい。
Posted by 鯔次郎† at 2009年05月30日 03:02
そうですねぇ。確かに殺伐としておりますよ。
人間ってやつは総体的にもう駄目だって気がします。
特に日本はこれからますます暮らしにくい国になって行くでしょうな。
今度の新型インフルの対応でさらに絶望の感を深めました。
見苦し過ぎる。救い様の無い国ですわ。
そんでも生きていかなきゃなんえぇでしょう。
そんな国でも自分の国。そこで生きて行くしかないんですよ。
Posted by 魚山人 at 2009年05月30日 06:12
