料理屋接客の基本
食べ物屋に限った話ではなく、すべての接客サービス業に普遍的な基本というものが色々あります。その中から特に料理を出す飲食店に突出して重要な接客のイロハを書いておきましょう。
Waitingは「緊張緩和の技術」
基本中の基本であるがゆえに、見落とされているのか、或はこの事が一番大切なんだと知らないのか、等閑にしているお店が多い気がするのです。
お客様に接するにあたり最も重要なこと
それは【お客さんに安心感を与える】です。
今はGWの真っ最中。
日本のあちらこちらで混雑にうんざりしてる方が多いでしょう。
飲食店も例外ではありません。
料理人やホール係、従業員達もあまりの忙しさにグッタリ。
それゆえに「お客さんからの視点」を忘れがち。
何十組もの客から次から次へとオーダーの山。
調理場への通し伝票はまるで正月の「おみくじ」のごとし。
料理は「作る」工程があります。したがいまして最低限の時間がかかり、伝票を即Uターンさせるのは物理的に不可能。
忙しくなるのを見越して仕込みや段取りも行っておりますが、「手をかけねばいけない料理」がある以上この段取りにも限界があり、どのみちすぐに底を突く。
そうこうしながら従業員は戦場の兵士みたいに気合を入れて懸命にやっているのです。
しかしお客にしてみればそんな事情は関係が無い。
入り口で並ばされてイライラしている。
そもそも空腹だから食べ物屋に来たのです。
だから着席すると同時に一気に注文を浴びせる。
だから料理が来るまでの時間を長く感じ、イラつく。
この時にプロとアマの違いが出るのですよ。
要するに「自分は忙しい中懸命にやってる」から、そんな客さんの心情を察しているヒマはないし、やる事があると、客の前を素通りする。
あるいは心情は想像が付くが、怒られそうだからさっさと通り過ぎる。
これがアマチュア、もしくは二流の接客。
「忙し過ぎてかまってるヒマが無い」では通らないのです。
待たされてる客としてはそういう雰囲気を敏感に察し、不安になる。
「注文を忘れられているのではないか」、そう思う。
なのに何のアナウンスも無いから不安はそのうち怒りに変わる。
「お客さんを待たせない」というのは理想論。絵に書いた餅にすぎません。実際にはどうしてもある程度待ってもらう結果になります。
ですから「安心感を与える」の意は、店側の誠意ある対応によってお客様に怒りの感情を起させない事と同義なのです。
「ケア」ができるか出来ないか。
これが最も重用なのです。
無為に待たせている訳ではない事を伝える。
前提として、どのくらい待たせているのか常に把握しておく。
マネジメント能力ウンヌン以前に、これが出来なきゃ商売人失格。
再三申し上げるが「忙しい」のは理由にならない。
状況把握もできないのに店にお客を入れる事自体が間違いですので。
お客の構成がファミリーかアベックか一人客かで「待っていられる限度」というのが違ってきます。その他にもあらゆる要素が微妙に違う。その判断を間違えない様にする。
それが誰一人として怒らせないための接客技術なのです。
お詫びをかねてお客様のオーダーを忘れてるのではないと意思表示するタイミング。そしてその時の言動に「プロの技術」を出さなきゃいけません。
こう書くと簡単に感じるかも知れませんが、安心させ、ついでに怒りを鎮め、尚且つ店への好感度を上げる。それは生易しい事ではありません。
「プロの技術」とはね、テクニックではなく「誠意」なのです。
その誠意が相手に伝わるかどうか、
それは「一期一会」の精神を持ってお客様と相対できるか否かで決まります。
こんにちは、魚山人さん。
正直なところこれに対するレスは辞めようと思っていました。
あまりに当然と思えたからです(失礼^^;)
料理は美味しくて当たり前。しかしお客様が金を払っていってくれるのは、あくまでもそれプラス、人間だろうと思います。それがなければ2度と来てはいただけません。とても難しいと思います。
マニュアルの出る幕ではありません。
最近の居酒屋、特に接客担当の従業員の姿には・・・言後同断ですね。
茶髪、ピアス、長髪、お前はホストか
と言うツッコミもいれたくなります。
何故教育しないのか?それが時代とでも勘違いをしているのでしょうか?
古いと言われても、そんな下らない新しいものなぞ願い下げです。
いつもの様に脱線してしまいました。
すみません^^;)
Posted by 藤井茂男 at 2010年05月04日 17:45
こんばんは、藤井さん。
>あまりに当然と思えたからです
そうですね、「当たり前の事」です。
しかしね、おいらは何十年も「内部から」業界を見てますが、この当たり前をこなせる日本人に遭遇するのは極めて稀なんですよ。
さりげない一言で、お客を安心させ怒りを笑顔に変える。
そんな超一流の接客師はダイヤモンドに等しいほど少ない。
「あまりに当然」の、なんとハードルの高い事か。
恥ずかしがりでは誠意は相手に伝わらぬもの。
プライベートでは無口・内向的・恥かしがり屋でもね、
がむしゃらでひたむき、それで頭も回る。
仕事ではそれができる人。それがプロなのです。
ナイーブな日本人には少し難しいのかも知れません。
Posted by 魚山人 at 2010年05月05日 00:09
『生易しいことではありません。』どこジャネェ。
ごくごく一般的な方々が利用するような飲食店でゎ爺の記す『一期一会』な精神で『誠意』を持って『もてなし』をする店なんて皆無に近いでしょう。
お疲れ様です。爺。そして下らネェなにがゴールデンなんだか説明してもらいてぇ連休で 糞忙しくしてる方々や
もぬけの殻になっちまった街で商売上がったりな暇疲れな方々も。
バブル中にね あまりの忙しさで文句言う従業員に対し『客の顔を万札と思え』って説くバカヤロウがいた(笑)商売をナメてかかっても 利益が出た時代の話。だからそんな時代ゎ葬られた。ざまぁみろってのよ。
反省したのかと思いきや
次なるバカヤロウが取った手段がMANUAL。もう言葉もネェ。
皆無に近いとゎ言ったが
気持ち良く常に『もてなし』てくれる店もある。
小さな小料理屋とか赤提灯の店とか。そんな店にゎホール係も下足番も勿論存在しネェ。
下手すりゃ大将一人か夫婦で切り盛りしてる。
俺ん店も接客にゎかなりの難がある…恥ずかしながら
簡単に言えば『目先の売上』を『一期一会』より重要視してる。出前注文なんて
明らかに指定された時間にゎ不可能なのに受注するしな(;-_-+
しかもホール係にゎ身内の恥をさらすようだが 言葉の使い方が かなり乱暴な方を雇ってますんで…
がね
『鯔チャン。ゴメンな!現状しかたないんだ』って親方。
俺ゎなにも言えネェゎさ。
理解したフリをするだけ。
給料を貰う身。何も反発するつもりもネェ。忍耐忍耐!
胃?
俺14歳で潰瘍患ってます。
ヘリコ除菌したら かなり楽になりました。
人間関係ゎ胃に来るネェ不思議と(笑)
今日のコメゎ愚痴ジャネェっすよ!未来があんだよ 俺も見習い君達も。
『接客』
いかに仕込みが早く上手でも イケメンでも 『一期一会』の精神ゎ必要です。
『ぉ客様ゎ神様ならぬ人間です』
接客技術なんてのゎ存在しません!
爺の言う『誠意』しかないんです。
『誠意』を『MANUAL』に当て嵌めてみる。
矛盾だらけ…
商い(アキナイ)と利益
こりゃ難しいね
俺ゎ雇われの身
だから簡単にこんなコメが出来るんだろうよ
経営ゎかなり病気覚悟ジャネェと出来ネェゎな
オヤスミナサイ
Posted by 鯔次郎† at 2010年05月05日 01:36
『MANUAL』、大型店はこれに依存せざるを得ない。
だからこそ我々零細にチャンスがあるんですよ、鯔さん。
巨象が踏み潰す蟻をおいら達が生き返らせる。
そういう気持で商売をしているし、それしか無いと思う。
兎も角、連日お疲れ様。
もう少しで終わりですよ(^_^)
Posted by 魚山人 at 2010年05月05日 08:19
ご苦労様です 板場も段々蒸してきまして仕事帰りに一杯引っ掛けたいと痛烈に思う今日この頃です(笑)
今の店は年季の入った仲居が、忙しいときは板前とお客様の間に立ち随分助けられていますが カウンター10人さんで手一杯なときもあり アラカルトも豊富ってのが女将や社長の方針 尚且つコース、馴染みのお客さんにお品書きにない料理 二階には個室も含め50人ちかいお客さん 一階の個室や小上がりに合わせて25人さん こんなキャパで2人仕事…… 流石に満席は毎日は無理ですが 戦場のような雰囲気になることがあります けど記事にございますようにお客様には関係のないこと
いくら忙しいからって雑な段取りはできないですし 自分なりの誠意は忘れず仕事をしてます どうしても待たせてしまう時… 忙しいからってイライラしてると まず仲居とのコミュニケーションがとれなくなり お客さんの状況が見えなくなります これに陥ると 店側の都合ばかりでお客さんが安心できません 自分の板前の立場からの接客と仲居の立場の接客はちがうかもしれませんが 日頃から良い信頼関係があれば 板前側から思う接客を仲居側も理解してくれて 良い仕事が出来ると思うですよ
自分が手一杯、でも仲居も手一杯。料理だけ作ればいいわけじゃなく 自分はお客様のお席にもどんなに忙しくても短時間ですが一階の席に行きます 待たせてしまっていても 誠意を尽くせば 店の利益にもなります お品書きにない料理を作らせていただける事もあります 板さんいそがしそうだから 無理しないでと言われても 精一杯身体と頭と手先を集中して 気持ちの入った料理を自分でその席にお持ちします 一見様もです 板前も仲居も忙しくて、自分の仕事に手一杯なだけだと ビジネスチャンスはスルリと逃げていくものだと思います。
そしてもう一つ自分の心にあるのは 十人くらい入る小さい店で自分ふくめて二人でやる店が魅力です 掃除も仕込みも仕入れも 何もかも一人でやってみたい。精神的にも肉体的にもきついでしょうが 店のスタッフもいわば赤の他人 ぴたりと感性が合うのは稀。ならば骨肉以上のかみさんしか居らず。 時々、みんなで頑張ってますが そう思う場面があるんですね(笑) まぁ一回りも歳がはなれた仲居が結構いますんで(笑)
しかしこの記事は自分のバイブルの記事になります 世間様じゃ経営MANUAL 成功する商売 あなたもこれで勝ち組(笑)なんて本が数えきれないほどあったりしますが 読む気にもなりません 3年間魚山人ブログにてお返事いただいた言葉は、売りたいっ気プンプンの本なんかより 読者側に誠意が伝わります ご自身の経験からの魚山人さんのお言葉は自分たち世代の板前にドンピシャです(^-^)
今日も板前目線からの書き込みしか出来ませんでしたm(__)m
旅館仕事から25歳で、さらし仕事になりましたが そのとき毎日お客さんの反応が垣間見れて嬉しかったなぁ
大自然に囲まれるゆったりした空間の小さい宿 ピカ一な気配りと静かな接客に 日々の疲れがとれていき これまた心落ち着く料理… 街場は1日の疲れがほぐれる旨い酒と料理がリアルに味わえる
どちらも人間にとっては心にいいですよね(^-^) そう思っていますのでならば自分もお客さんにそう感じてほしいとおもっています
Posted by たいら at 2010年05月06日 23:17
お疲れ様、たいらさん。
この記事は忙しいい最中であった事と、わざと曖昧にすべき部分があると考えましたので、waitingについての記述がモヤモヤしており、明らかに書き込みが不足しております。
waitingとはホテルや航空業界での予約を意味し、転じて外食では「受付業務」「受付を担当する者」を指します。
したがってこの記事で語られている「料理が来るまでの待ち時間」とは本来意味が異なります。
でもね、「待つ事」であるには大差が無い。
「プロの技術」とは自分の感情をコントロールする技術です。
そして「説得して納得させる技術」でもあります。
コツはたったの一つ、
「相手の目を見て話す」です。
>掃除も仕込みも仕入れも 何もかも一人でやってみたい
いいですなぁ。
いつの日かその店にこっそり訪問する時が来るかも知れませんね(^_^)
Posted by 魚山人 at 2010年05月08日 00:09